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COP30とは?ブラジル・ベレン開催の重要性を徹底解説!1.5度目標の未来を左右するNDC(削減目標)提出期限

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COP30とは?ブラジル・ベレン開催の重要性を徹底解説!1.5度目標の未来を左右するNDC(削減目標)提出期限

「COP30」の概要

COP30(コップ30)は、2025年11月にブラジル・ベレンで開催される「国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議」の略称です。

これは、世界の気候変動対策の方針を決める最も重要な国際会議の一つです。

特にCOP30は、パリ協定で定められた世界共通の目標「1.5度目標」の達成に向け、各国が2035年までの新たな温室効果ガス削減目標(NDC)を提出する「締め切りの年」にあたります。

世界最大の熱帯雨林アマゾンの玄関口で開催されることにも大きな象徴的意味があり、地球の未来を占う極めて重要な会議として世界中から注目されています。

「COP30」の詳細

開催地ベレン(ブラジル)が象徴する「ネイチャーCOP」

今回のCOP30の概要を語る上で欠かせないのが、開催地です。

開催地はブラジルのパラー州ベレン市です。

ベレンは、世界最大の流域面積を持つアマゾン川の河口に位置する都市です。

ご存知の通り、アマゾン熱帯雨林はCO2の巨大な吸収源であり「地球の肺」とも呼ばれています。

しかし、近年は違法な森林伐採や火災による広範な破壊が、地球規模の深刻な問題となっています。

議長国であるブラジル政府(ルラ政権)は、あえてこの地で開催することで、気候変動対策と表裏一体である森林保全、生物多様性の損失、そして先住民の権利といった「自然」に関する課題を国際社会の主要議題に押し上げる強い意志を示しています。

そのため、COP30は別名「ネイチャーCOP(自然のCOP)」とも呼ばれ、その動向が注目されています。

最大の焦点「NDC 3.0」と1.5度目標の行方

COP30が過去のCOPと比較しても決定的に重要な理由は、各国が2035年に向けた新しい温室効果ガス削減目標(NDC:国が決定する貢献)を国連に提出する、最初のデッドラインだからです。

これは通称「NDC 3.0」と呼ばれています。

2023年にドバイで開催されたCOP28では、世界の気候変動対策の進捗を評価する「グローバル・ストックテイク(GST)」が初めて実施されました。

その結果は「世界はパリ協定の1.5度目標の達成軌道から大きく外れている」という、極めて厳しい「成績表」でした。

COP30は、この「悪い成績表」を受け取った各国が、それに応答し、どれだけ野心的な目標(=より多くのCO2削減約束)を再提出できるかを世界に示す「回答の場」となります。

もし各国がこれまで通りの低い目標しか提出しなければ、世界の平均気温上昇を1.5度に抑えることは絶望的になると懸念されています。

COP29(資金)からCOP30(行動)への流れ

COP30の成果は、2024年に開催されたCOP29(アゼルバイジャン・バクー)の結果にも大きく左右されます。

COP29の最大の議題は「気候資金」でした。

途上国が化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーへ移行したり、すでに起きている気候変動の被害に適応したりするためには、莫大な資金(お金)が必要です。

COP29では、2025年以降の新しい世界的な気候資金目標(NCQG)が合意されました(年間1.3兆ドル規模とも言われます)。

COP30は、その「資金」(COP29)を裏付けとして、各国がどれだけ具体的な「行動」(NDC 3.0)を起こせるか、その真価が問われる舞台となります。

一方で、主要排出国であるアメリカがパリ協定からの再離脱を表明するなど、国際協調の足並みの乱れも大きな懸念材料となっており、予断を許さない状況です。

参考動画

まとめ

COP30は、単なる年に一度の国際会議ではありません。

パリ協定で約束した「1.5度目標」という人類共通の約束が、まだ実現可能なのかどうかを測る「最後の分岐点」の一つと言えるかもしれません。

COP28のグローバル・ストックテイクで「危機的状況」が公式に確認され、COP29でその対策のための「資金」の議論が進み、そしてこのCOP30で各国が「具体的な行動と野心」を提示します。

開催地アマゾン・ベレンが象徴するように、気候危機と生物多様性の損失(自然の危機)は表裏一体であり、分けて考えることはできません。

この会議の結果は、各国のエネルギー政策、産業構造、そして回り回って私たちの将来の生活にも中長期的に大きな影響を与えます。

日本政府がどのようなNDC(削減目標)を提出するのか、そして世界が1.5度目標の軌道に戻るための国際協調を見せられるのか、その動向を厳しく注視していく必要があります。

私たち市民一人ひとりも、この問題を「遠い国の会議」としてではなく、自らの未来に直結する重要な出来事として関心を持ち続けることが求められています。

関連トピック

NDC (国が決定する貢献): パリ協定に基づき、各締約国が自ら定める温室効果ガス削減目標のことです。COP30は、2035年をターゲットとする新しいNDC(NDC 3.0)の提出期限となっています。

パリ協定: 2015年のCOP21(パリ)で採択された国際的な枠組みです。世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して「2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をする」ことを目標としています。

グローバル・ストックテイク (GST): パリ協定の目標達成に向けて、世界全体の進捗状況を5年ごとに評価(棚卸し)する仕組みです。第1回がCOP28(2023年)で行われ、対策が不十分であることが確認されました。

気候資金 (Climate Finance): 途上国が温暖化対策(緩和・適応)を進めるために、先進国が中心となって提供する資金のことです。COP29(2024年)で2025年以降の新しい資金目標(NCQG)が議論されました。

生物多様性 (ネイチャーポジティブ): アマゾンでの開催と関連し、気候変動対策と生態系・森林保全(自然の損失を止め、回復に向かわせる「ネイチャーポジティブ」)を同時に解決するアプローチが重視されています。

関連資料

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書: COPでの気候変動交渉における、最も重要な科学的根拠となる報告書です。気候危機の現状と将来予測が詳細にまとめられています。

UNFCCC(国連気候変動枠組条約)公式サイト: COPを主催する国連事務局の公式ウェブサイトです。最新の決定事項やプレスリリース、公式文書が(主に英語で)公開されています。

(書籍)「人新世の「資本論」」: 気候変動問題の根底にある経済システムそのものについて深く考察し、日本でベストセラーとなった書籍です。

(ドキュメンタリー)「Our Planet (わたしたちの惑星)」 (Netflixなど): 気候変動や人間活動が生態系にどのような影響を与えているかを、圧巻の映像美で視覚的に理解できる高品質なドキュメンタリーシリーズです。

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