現代社会において、貧血は多くの人が経験する症状のひとつです。
貧血とは、血液中のヘモグロビンの量が少なくなって、全身に酸素を運ぶ能力が低下した状態のことです。
ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、鉄分が必要です。
貧血の原因はさまざまですが、最も多いのは鉄不足によるもので、約70%程度を占めます。
鉄不足は食事や出血などで起こります。
貧血になると、疲れやすさや動悸、息切れなどの症状が現れます。
1.貧血とは
1.1 貧血の定義
貧血とは、赤血球やヘモグロビンの数や量が不足している状態を指します。
正常な赤血球の数やヘモグロビン量が低下することで、酸素を運ぶ機能が低下し、体の各部位に十分な酸素が行き渡らなくなります。
貧血は、慢性的な出血、栄養不良、鉄欠乏性、ビタミン欠乏性、慢性疾患などの様々な要因によって引き起こされることがあります。
1.2 貧血の症状
貧血の症状は、個人差がありますが、以下のような症状が現れることがあります。
・疲れやすい
・息切れがする
・めまいや立ちくらみがする
・頭痛やめまいがする
・食欲が低下する
・手足が冷たくなる
・肌の色が青白くなる
・髪が薄くなる
・爪が割れやすくなる
これらの症状が現れた場合は、早期に医師に診てもらい、原因を確認して治療することが必要です。
1.3 貧血の原因
貧血の原因には、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、腎臓病性貧血、溶血性貧血などがあります。
鉄欠乏性貧血は、鉄分が不足しているために赤血球が作られず、貧血になる病気です。
ビタミンB12欠乏性貧血は、ビタミンB12が不足しているために赤血球が正常に作られず、貧血になる病気です。
腎臓病性貧血は、腎臓の機能が低下しているために、エリスロポエチンというホルモンが不足し、貧血になる病気です。
溶血性貧血は、赤血球が破壊されるために、貧血になる病気です。
また、遺伝子異常や病気、出血なども貧血の原因となります。
貧血を引き起こす原因は多岐にわたります。
自己判断での対処はせず、早期に医師の診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。
2.貧血の種類
貧血は、原因や症状によっていくつかの種類に分類されます。
ここでは、代表的な貧血の種類について説明します。
2.1 鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は、鉄分が不足していることによって引き起こされる貧血の一種です。
鉄は、赤血球を作るための重要な栄養素であり、鉄分が不足すると赤血球の数が減り、貧血が進行します。
鉄欠乏性貧血の主な原因は、出血や栄養不良です。
女性の月経や妊娠、授乳期など、鉄分が必要量以上に必要とされる場合は、特に注意が必要です。
2.2 ビタミンB12欠乏性貧血
ビタミンB12欠乏性貧血は、ビタミンB12が不足していることによって引き起こされる貧血の一種です。
ビタミンB12は、赤血球を作るための必須栄養素であり、不足すると赤血球が正常に形成されず、貧血が進行します。
主な原因は、食事による摂取量の不足や、ビタミンB12の吸収不良症候群などが挙げられます。
2.3 葉酸欠乏性貧血
葉酸欠乏性貧血は、葉酸が不足していることによって引き起こされる貧血の一種です。
葉酸は、DNAの合成に必要な栄養素であり、赤血球を作るためにも必要不可欠です。
葉酸の不足は、赤血球が正常に形成されなくなり、貧血が進行します。
主な原因は、食事による摂取量の不足や、腸の疾患などが挙げられます。
2.4 慢性疾患による貧血
慢性疾患(がん、腎臓病、炎症性腸疾患など)の場合、病気自体や治療(放射線療法、化学療法など)によって貧血が引き起こされることがあります。
病気や治療によって骨髄機能が低下したり、出血、栄養不良などが原因で貧血が生じる場合があります。
治療によって貧血を予防・治療するためには、定期的な血液検査が必要です。
また、慢性疾患による貧血の治療は、根本的な原因となる病気の治療が必要です。
3.貧血の治療法
貧血の治療法は、原因によって異なります。
一般的には、貧血の原因に対して治療を行うことが求められます。
3.1 鉄欠乏性貧血の治療
鉄欠乏性貧血の治療法は、鉄剤の補給が主流です。
鉄剤は、錠剤、シロップ、注射剤などがあり、医師の指示に従い適切な補給方法を選択します。
また、鉄剤の服用中は、食事でビタミンCを摂取することで鉄の吸収を助けることができます。
3.2 ビタミンB12欠乏性貧血の治療
ビタミンB12欠乏性貧血の治療法は、ビタミンB12を補給することです。
ビタミンB12は、注射剤や口内補給剤があります。ビタミンB12は食事から摂取されますが、胃腸の問題によって吸収されにくい場合があるため、医師の指示に従って補給方法を選択します。
3.3 葉酸欠乏性貧血の治療
葉酸欠乏性貧血の治療法は、葉酸を補給することです。
葉酸は、錠剤やシロップがあります。また、葉酸は食事からも摂取できます。
しかし、葉酸は水溶性ビタミンのため、体内に蓄積されず、摂取量を確保するためには、定期的に補給する必要があります。
3.4 慢性疾患による貧血の治療
慢性疾患による貧血の治療法は、原疾患の治療が主流です。
例えば、腎臓病による貧血の場合は、腎臓病の治療が進行することで貧血も改善されることがあります。
また、症状が重い場合は、人工透析や輸血が必要になる場合もあります。
原疾患の治療に加えて、鉄剤やエリスロポエチン製剤なども併用されることもあります。
4.貧血の予防法
4.1 鉄欠乏性貧血の予防
鉄欠乏性貧血は、鉄分の摂取不足によって引き起こされます。
そのため、予防には鉄分の摂取を増やすことが重要です。
鉄分が豊富な食品としては、赤身の肉類、レバー、貝類、穀類、葉物野菜、乾物類などが挙げられます。
また、鉄分の吸収を助けるビタミンCを多く含む果物や野菜と一緒に食べると、より効果的です。
4.2 ビタミンB12欠乏性貧血の予防
ビタミンB12欠乏性貧血は、ビタミンB12の摂取不足によって引き起こされます。
そのため、予防にはビタミンB12を含む食品を摂取することが大切です。
ビタミンB12が多く含まれる食品としては、レバー、牛乳、卵、魚介類、肉類などが挙げられます。
また、食しから十分に摂取出来ないほど場合は、ビタミンB12のサプリメントを摂取することが勧められます。
4.3 葉酸欠乏性貧血の予防
葉酸欠乏性貧血は、葉酸の摂取不足によって引き起こされます。
妊婦の場合は、胎児の神経管閉鎖障害を予防するためにも、特に注意が必要です。
葉酸が多く含まれる食品としては、レバー、緑黄色野菜、豆類、卵、果物などが挙げられます。
また、妊娠前から妊娠中期までは、サプリメントを摂取することが勧められます。
5.まとめ
貧血は、身体の機能に欠かせない酸素を運ぶ赤血球の数やヘモグロビンの量が不足する状態です。
主な症状には疲れや息切れ、めまいや失神などがあります。
貧血の種類には、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、慢性疾患による貧血があります。
治療法には、栄養補給や輸血などがあります。
予防法としては、鉄分やビタミンB12、葉酸を含むバランスの良い食事や、貧血のリスクを高める喫煙や過度のアルコール摂取の控え、適度な運動などがあります。
貧血は自覚症状が少ないこともあり、健康診断を受けたり、不調を感じた場合には早めに医師に相談することが大切です。
正しい知識を持って、適切な対策を取り、健康的な生活を送りましょう。