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😷百日咳の病態、特徴的な症状、乳児の重症化リスク、そして予防接種を徹底解説

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😷百日咳の病態、特徴的な症状、乳児の重症化リスク、そして予防接種を徹底解説

「百日咳」の概要

百日咳は、「百日咳菌(Bordetella pertussis)」という細菌の感染によって引き起こされる急性呼吸器感染症です。

名前の通り、咳の症状が長く(約2〜3カ月)続くことが最大の特徴で、特に乳幼児がかかると無呼吸発作や脳症など重篤な合併症を引き起こし、命に関わる危険性の高い病気です。

潜伏期間は7〜10日程度と比較的長く、初めは軽い風邪と区別がつきませんが、次第に特徴的な発作性の激しい咳(痙咳)へと移行します。

ワクチン接種が広く行われていますが、成人では免疫が低下していることがあり、大人が軽症で感染源となり、免疫のない乳児へ感染させてしまうことが問題となっています。

「百日咳」の詳細

百日咳の進行と特徴的な3つの病期

百日咳の症状は、通常約2カ月間をかけて、以下の3つの段階(病期)をたどって進行します。

  • カタル期(約1〜2週間):
    • 症状は、鼻水、微熱、軽い咳など、一般的な風邪とほとんど区別がつきません
    • この時期が最も感染力が強いため、気づかないうちに周囲に感染を広げやすいので注意が必要です。
    • 咳は徐々に回数が増し、程度も強くなります。
  • 痙咳期(けいがいき)(約2〜6週間):
    • 百日咳に特有の発作性の激しい咳(痙咳)が現れます。
    • 短い咳がコンコンコンと連続的に起き(スタッカート)、咳の最後に「ヒュー」という笛のような音(笛声)を立てて苦しそうに息を吸い込むのが特徴的です。
    • 咳の発作は夜間にひどくなることが多く、嘔吐を伴ったり、顔面が赤く充血したりすることもあります。
    • 発作時以外は比較的元気なことが多いですが、乳幼児では無呼吸発作チアノーゼ(皮膚や唇が青紫になる)を起こすことがあり、非常に危険です。
  • 回復期(約2週間〜数カ月):
    • 激しい咳発作は次第に減衰し、徐々に落ち着いてきます。
    • しかし、全経過で2〜3カ月と咳が長く続くことがあり、冷たい空気やちょっとした刺激で発作性の咳が再発することもあります。

感染経路、検査、そして治療薬

百日咳は、感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手で口や鼻を触る接触感染で広がります。麻疹やインフルエンザに比べ、比較的濃厚な接触で感染します。

  • 診断: 特に発症初期の診断は難しいため、PCR法やLAMP法といった遺伝子検査が発症後2週間以内に行われることがあります。感染後2週間以上経過した場合は、抗体検査(血清学的検査)が行われますが、ワクチン接種歴により判定が難しい場合もあります。
  • 治療: 百日咳菌の除菌には、主にマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が使用されます。しかし、咳の原因となる毒素には抗菌薬の効果がないため、咳の症状自体は抗菌薬を投与してもすぐに止まるわけではありません。カタル期(発症初期)に服薬を開始すれば、症状と感染力の軽減が期待できます。
  • 登校/登園の目安: 適切な抗菌薬治療開始後、5日を経過するまでは登校・登園は不可とされています(学校保健安全法 第二種感染症)。

予防接種と成人の再感染リスク

百日咳の予防には、予防接種が最も効果的です。日本では乳幼児期にDPT-IPV(四種混合ワクチン)として定期接種が行われています。

ワクチン効果は接種から時間が経つにつれて低下するため、免疫のない乳児の感染源とならないよう、成人に対しても追加接種(TDAPワクチンなど)が推奨されることがあります。特に、乳幼児と接する機会が多い医療従事者や保護者、妊婦は、追加接種を検討することが重要です。

「百日咳」の参考動画

「百日咳」のまとめ

百日咳は、特徴的な咳の発作が長く続き、特に乳幼児の生命を脅かす危険な感染症です。

軽い風邪のような症状から始まり、診断が遅れることが多いため、2週間以上続く原因不明の咳がある場合は、百日咳を疑い、早期に医療機関を受診することが極めて重要です。

予防接種による免疫獲得に加え、特に乳幼児を持つ家庭や集団生活の場では、大人の再感染が乳児への感染源となるリスクを認識し、適切な予防対策(手洗い・うがい、マスク着用など)と追加接種を検討することが社会全体の百日咳予防に繋がります。

関連トピック

DPT-IPVワクチン: ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの病気を予防するための混合ワクチン。日本では乳幼児の定期接種に使用されています。

痙咳(けいがい): 百日咳に特徴的な発作性の連続する激しい咳のこと。

笛声(whoop): 咳き込んだ後に、ヒューという音を立てて息を吸い込む、百日咳特有の吸気音です。

無呼吸発作: 特に生後6カ月未満の乳児にみられる、呼吸が一時的に止まってしまう重篤な症状です。

関連資料

病原体検出マニュアル 百日咳: 国立感染症研究所が作成する、百日咳菌の検査や検出に関する詳細な技術マニュアルです。

小児呼吸器感染症診療ガイドライン: 百日咳の最新の診断と治療の考え方について、小児科専門医向けにまとめられた指針です。

百日せきワクチンに関するファクトシート: 厚生労働省や国立感染症研究所が作成する、百日咳ワクチンの効果や接種に関する公的な情報資料です。

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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