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薬が効かない?「百日咳」の耐性菌が急増中!症状・対策・ワクチンの重要性

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薬が効かない?「百日咳」の耐性菌が急増中!症状・対策・ワクチンの重要性

「百日咳」と「耐性菌」の概要

長引く咳が特徴の感染症「百日咳(ひゃくにちせき)」において、従来の治療薬が効きにくい「耐性菌」の報告が増加し、医療現場で警戒が強まっています。

特に小さな子どもや乳児にとっては重症化のリスクが高い病気ですが、近年では大人への感染も珍しくありません。

本記事では、百日咳の基本的な症状や経過に加え、今問題となっている「マクロライド系抗菌薬への耐性菌」の実態、そして私たちがとるべき対策や予防接種の重要性について、分かりやすく解説します。

百日咳・耐性菌問題の詳細

【百日咳とは? 特徴的な3つの病期】

百日咳は、「百日咳菌(Bordetella pertussis)」という細菌に感染することで起こる呼吸器感染症です。

その名の通り、治療をしても咳が長期(数週間〜数ヶ月)にわたって続くのが特徴です。

症状は主に以下の3つの時期を経て進行します。

1. カタル期(約1〜2週間):風邪のような症状(鼻水、くしゃみ、微熱、軽い咳)が続きます。

実はこの時期が最も感染力が強く、周囲へ広げやすい時期です。

2. 痙咳期(けいがいき・約2〜3週間):咳が激しくなります。

「コンコンコンコン……」と激しく咳き込んだ後に、息を吸う際に「ヒュー」という笛のような音(吸気性笛声)が鳴るのが典型的です。

顔が真っ赤になるほど咳き込んだり、咳のあとに嘔吐したりすることもあります。

3. 回復期(数週間〜):激しい咳発作は徐々に治まりますが、忘れた頃にまた咳が出るなど、完全な回復までには時間がかかります。

【急増する「薬剤耐性菌」の脅威】

通常、百日咳の治療には「マクロライド系」と呼ばれる抗菌薬(ジスロマック、クラリス、エリスロシンなど)が第一選択薬として使われます。

この薬は、菌の増殖を抑え、周囲への感染力を弱める効果が高いとされてきました。

しかし近年、このマクロライド系抗菌薬が効かない「マクロライド耐性百日咳菌」が世界的に、そして日本国内でも確認されるようになっています。

特に中国などアジアの一部地域では非常に高い割合で耐性菌が見つかっており、日本でも地域によっては分離される菌の過半数が耐性菌であるという報告も出てきています。

耐性菌に感染した場合、従来の薬を飲んでも菌が減らず、症状が長引いたり、感染期間が延びてしまったりする恐れがあります。

【耐性菌への治療と対策】

もしマクロライド系抗菌薬を服用しても症状が改善しない場合、医師は耐性菌の可能性を疑います。

その際、別の種類の抗菌薬(ST合剤など)への切り替えが検討されますが、これらの薬は副作用や使用制限(新生児や妊婦への慎重投与など)があるため、治療の選択肢が狭まるという難しさがあります。

だからこそ、「感染してからの治療」よりも「感染しないための予防」がこれまで以上に重要になっています。

【大人の百日咳と「咳ハラスメント」】

百日咳は子どもの病気と思われがちですが、ワクチンの効果が薄れてきた成人(大人)も感染します。

大人の場合、典型的な「ヒュー」という音が出ず、単に「しつこい咳が続く」だけのことが多いため、ただの風邪や喘息と勘違いされがちです。

しかし、本人が軽症でも菌を排出しているため、家庭内で免疫のない赤ちゃんや高齢者にうつしてしまうリスクがあります。

また、職場や電車内で激しく咳き込むことで周囲に不安を与える「咳ハラスメント(咳ハラ)」のような状況を招くこともあり、社会的なマナーとしても早期発見が求められます。

【最も有効な予防策はワクチン】

現在、日本で推奨されている最も効果的な予防策はワクチン接種です。

乳幼児期に受ける定期接種(五種混合または四種混合ワクチン)を確実に受けることが、重症化を防ぐ鍵となります。

また、就学前の追加接種や、海外渡航前、妊娠を希望する女性やそのパートナーなど、大人であっても医師と相談の上で任意接種を検討することが推奨されています。

「百日咳」の参考動画

まとめ

百日咳は、単なる「咳の風邪」ではなく、乳児にとっては命に関わることもある重大な感染症です。

さらに「薬が効かない耐性菌」の出現により、治療の難易度が上がりつつあります。

「風邪薬を飲んでいるのに咳だけが2週間以上続く」「咳き込んで吐いてしまう」といった症状がある場合は、早めに呼吸器内科や小児科を受診しましょう。

そして、母子手帳を確認し、必要なワクチン接種を済ませておくことが、自分だけでなく大切な家族を守ることにつながります。

関連トピック

五種混合ワクチン (従来の四種混合にヒブワクチンを加えた最新の定期接種ワクチン。百日咳予防の要です)

マイコプラズマ肺炎 (百日咳と同様に、長引く咳が特徴でマクロライド耐性菌が問題となっている感染症です)

咳喘息 (感染症ではありませんが、風邪の後に咳だけが続く病態として百日咳と間違われやすい疾患です)

関連資料

『プライマリ・ケアの現場でもう困らない!止まらない“せき”の診かた』 (医師向けですが、咳の原因を深く知りたい方にも参考になる専門書です)

不織布マスク(高機能タイプ) (飛沫感染を防ぐための基本アイテム。咳がある時は必ず着用しましょう)

アルコール除菌ジェル (接触感染のリスクを下げるため、こまめな手指衛生に役立ちます)

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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