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世界の議員が連携!「IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)」とは?目的、日本の役割、台湾問題をわかりやすく解説

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世界の議員が連携!「IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)」とは?目的、日本の役割、台湾問題をわかりやすく解説

「IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)」の概要

「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC:Inter-Parliamentary Alliance on China)」は、中国共産党による国際秩序への挑戦や人権問題などに対処するために結成された、世界各国の国会議員による国際的な議員連盟です。

2020年の発足以来、特定の政党に偏らない「超党派」の組織として急速に規模を拡大しており、日本、アメリカ、イギリス、欧州諸国、オーストラリアなど、民主主義の価値観を共有する国々の議員が参加しています。

各国の政府(行政)とは異なり、立法府である議会のメンバーが直接連携することで、対中政策の見直しや人権制裁法の整備、経済安全保障の強化などを各国政府に働きかける「圧力団体」としての側面も持っています。

近年では台湾の加盟や、中国当局によるIPACメンバーへの圧力などがニュースとなり、国際政治におけるその存在感は日に日に増しています。

IPACの活動詳細と日本の関わり

IPAC発足の背景と目的

IPACは2020年6月、中国の台頭に伴う様々な課題に対し、民主主義諸国が結束して対応する必要があるという危機感から設立されました。

発起人には、イギリスのイアン・ダンカン・スミス元保守党党首ら著名な政治家が名を連ねています。

当時の背景には、香港での国家安全維持法の施行、新疆ウイグル自治区での人権侵害疑惑、そして新型コロナウイルスの起源を巡る不透明さなどがあり、従来の「対話と貿易重視」の対中政策では対応しきれないという認識が広がっていました。

IPACの主な目的は、中国国民そのものを敵対視することではなく、中国共産党政府の強権的な振る舞いに対して、自由、人権、法の支配といった普遍的価値を守ることです。

主な活動内容と提言

IPACは主に以下の5つの分野で活動方針(キャンペーン)を掲げています。

1. 人権の保護: ウイグル、チベット、香港などにおける人権侵害への抗議や制裁(マグニツキー法の導入など)の推進。

2. 国際ルールの遵守: 南シナ海などにおける力による現状変更への反対。

3. 貿易の公正性: 中国による経済的威圧(エコノミック・コーション)への対抗や、強制労働に関わる製品の排除。

4. 安全保障の強化: 台湾海峡の平和と安定の維持、台湾の国際機関への参加支援。

5. 国家の健全性: データセキュリティ(HuaweiやTikTokなどの問題)や、政治工作からの民主主義の保護。

これらのテーマについて共同声明を出したり、各国の議会で関連法案を提出したりすることで、政府の外交方針に影響を与えています。

日本とIPACの関係、そして台湾サミット

日本はアジア唯一のG7メンバーとして、IPAC内で極めて重要な役割を期待されています。

自民党や立憲民主党、日本維新の会などから複数の国会議員が参加しており、2023年には東京で国際フォーラムも開催されました。

特に注目を集めたのが、2024年7月に台湾の台北で開催された年次総会です。

この総会には世界各地から多くの議員が集まりましたが、開催直前に中国当局から各国の参加議員に対して「出席しないように」という圧力(メールや電話など)がかけられたことが発覚し、大きな波紋を呼びました。

結果として総会は予定通り開催され、台湾が正式にIPACの加盟国として認められました。

これは、「中国の圧力には屈しない」という国際社会の強いメッセージとなり、IPACの結束をより強固なものにしました。

IPACに関する参考動画

まとめ

IPACは、一国だけでは対抗しきれない中国という巨大な存在に対し、各国の議員が「横のつながり」を持って共同戦線を張るためのプラットフォームです。

政府間の外交はどうしても経済関係や配慮が優先されがちですが、個々の議員が集まるIPACは、より原則的で厳しい声を上げやすいという特徴があります。

中国側はIPACを「反中勢力」として強く警戒しており、メンバーへの制裁や圧力を強めていますが、それが逆にIPACの正当性を際立たせる結果となっています。

日本においても、人権外交や経済安全保障を推進する上で、IPACを通じた国際連携は今後ますます重要になってくるでしょう。

私たち有権者も、自国の議員が世界とどう連携し、どのような価値観を守ろうとしているのか、その活動に注目していく必要があります。

関連トピック

マグニツキー法 – 重大な人権侵害に関わった個人や団体に対し、資産凍結や入国禁止などの制裁を科す法律の総称。

経済的威圧(エコノミック・コーション) – 貿易制限などを武器に、相手国の政策や行動を自国の望むように変えさせようとする行為。

戦狼外交(せんろうがいこう) – 中国の外交官による、好戦的で攻撃的な外交スタイルのこと。

重要土地利用規制法 – 安全保障上重要な施設や国境離島などの周辺区域での土地利用を規制する日本の法律。

関連資料

中国の「見えない侵略」 – オーストラリアでの事例を中心に、中国共産党による浸透工作の実態を描いた書籍。

ウイグル人に何が起きているのか – 民族学者による、新疆ウイグル自治区での人権弾圧の現状をまとめた資料。

経済安全保障と米中対立 – サプライチェーンの分断や技術覇権争いなど、経済と安全保障が融合する現代のリスクを解説した本。

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