トイレが近い、我慢できない…「過活動膀胱」の原因と治療法、自分でできる対策を徹底解説
「過活動膀胱」の概要
「急に強い尿意に襲われて、トイレまで我慢するのが辛い」「夜中に何度もトイレに起きてしまい、睡眠不足だ」。
このような症状に悩まされている方は、単なる加齢や性格の問題ではなく、「過活動膀胱(OAB)」という病気かもしれません。
過活動膀胱は、膀胱が過敏になり、自分の意思とは関係なく収縮してしまう状態で、日本では40歳以上の男女の約8人に1人(推定1,000万人以上)が抱える非常に身近な病気です。
本記事では、過活動膀胱の主な症状、原因、病院での治療法から、自宅でできるケア方法までを分かりやすく解説します。
「過活動膀胱」の詳細
1. 過活動膀胱のサインとは?(主な症状)
過活動膀胱の最大の特徴は「尿意切迫感(にょういせっぱくかん)」です。
これは、普通の「おしっこがしたい」という感覚ではなく、「急に我慢できないほどの強い尿意」が突然起こる状態を指します。
その他に、以下の症状がセットで現れることが多いです。
・昼間頻尿:朝起きてから寝るまでに8回以上トイレに行く。
・夜間頻尿:寝ている間に1回以上、トイレのために起きる。
・切迫性尿失禁:トイレまで間に合わずに漏らしてしまう。
これらの症状によって、外出がおっくうになったり、バス旅行や映画鑑賞を楽しめなくなったりと、生活の質(QOL)が低下してしまうことが大きな問題です。
2. なぜ起こる?男女別の原因
原因は大きく分けて「神経のトラブル」と「それ以外(骨盤底筋など)」、そして「原因不明」のものがあります。
脳卒中やパーキンソン病などの脳や脊髄の病気が原因となることもありますが、多くの場合は加齢に伴う変化が関係しています。
男性の場合:「前立腺肥大症」が関与しているケースが多く見られます。肥大した前立腺が尿道を圧迫し、膀胱に負担がかかることで過敏になります。
女性の場合:加齢や出産によって、膀胱や尿道を支える「骨盤底筋」が弱くなることが一因とされています。
また、ストレスや寒さなどの刺激が引き金になることもあります。
3. 治療法とセルフケア
過活動膀胱は、適切な治療を行えば改善が期待できる病気です。
泌尿器科では、主に以下のような治療が行われます。
・薬物療法:膀胱の勝手な収縮を抑える「抗コリン薬」や、膀胱を広がりやすくする「β3作動薬」などが処方されます。
・行動療法:水分の摂りすぎを見直す生活指導や、少しずつトイレに行く間隔を延ばして膀胱を訓練する「膀胱訓練」を行います。
・骨盤底筋体操:肛門や尿道をキュッと締めたり緩めたりする運動で、尿道を支える筋肉を鍛えます。これは副作用もなく、自宅で手軽にできるため非常に推奨されています。
恥ずかしさから受診をためらう方も多いですが、悩んでいる時間はもったいないと言えるほど、治療の選択肢は広がっています。
参考動画
まとめ
過活動膀胱は、決して「年のせいだから仕方がない」と諦めるべき症状ではありません。
適切な診断と治療、そして日々の生活習慣の見直しによって、症状をコントロールし、以前のように不安なく外出や睡眠を楽しむことは十分に可能です。
もし「急な尿意」に心当たりがある場合は、一人で悩まず、近くの泌尿器科専門医に相談してみることを強くおすすめします。
その一歩が、快適な毎日を取り戻すための大きな前進となるはずです。
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ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

