億り人とは?仮想通貨や株で資産1億円を達成した人々。その意味、実態、そして税金の注意点まで徹底解説
「億り人」の概要
「億り人(おくりびと)」とは、主に投資の世界で使われる俗語です。
株式投資、FX(外国為替証拠金取引)、そして特に仮想通貨(暗号資産)への投資によって、資産が1億円(おく)を突破した「人」を指します。
言葉の響きから「送り人」という映画を連想するかもしれませんが、こちらは資産の「億」とかけています。
特に2017年のビットコインをはじめとする仮想通貨ブームの際に、短期間で莫大な利益を得た人々を指して広く使われるようになりました。
現在では、投資で大きな成功を収めた人々の象徴的な呼び名として定着しています。
「億り人」の詳細
仮想通貨ブームと「億り人」
「億り人」という言葉が爆発的に広まったのは、2017年の仮想通貨ブームです。
当時、ビットコインやその他のアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)が、数ヶ月のうちに数十倍、数百倍という驚異的な高騰を見せました。
比較的少額の元手で投資を始めた無名の個人投資家が、短期間で資産を数千万円、果ては数億円に増やした事例が続出しました。
SNS(特にX、旧Twitter)上では「億り人になりました」という景気の良い報告が相次ぎ、メディアもこれをこぞって取り上げました。
これにより、仮想通貨は「一攫千金(いっかくせんきん)の夢がある」というイメージが強まり、多くの新規投資家が市場に参入するきっかけとなりました。
株式投資やFXにおける「億り人」
仮想通貨が注目される以前から、株式投資やFXの世界でも同様の成功者は存在していました。
デイトレードやスイングトレードといった短期売買、あるいは新興企業への集中投資などで成功した個人投資家は「○億円トレーダー」などと呼ばれていました。
「億り人」というキャッチーな言葉の登場により、これらの株式投資やFXで大きな資産を築いた人々も、包括して呼ばれるケースが増えました。
「億り人」の現実と税金問題
しかし、資産1億円を達成した「億り人」になることは、必ずしもゴールではありません。
そこには大きな落とし穴も存在します。
特に仮想通貨で得た利益は、多くの場合「雑所得」として扱われます(2025年11月現在)。
雑所得は給与所得などと合算される「総合課税」の対象となり、所得が増えれば増えるほど税率が上がる「累進課税」が適用されます。
所得税と住民税を合わせると、最高で税率55%もの税金が課せられる可能性があります。
例えば、1億円の利益が出た場合、約5,500万円を税金として納めなければならないケースもあるのです。
ブーム時に利益を確定(日本円に換金)したものの、翌年にやって来る高額な納税通知に対応できず「税金破産」してしまう人も現れ、社会問題となりました。
また、利益が出た後に相場が暴落し、税金を支払う時期には資産が激減していた、という悲劇も少なくありません。
資産1億円を「達成した」ことと、その資産を「維持し続ける」ことは、全く別の難しさがあるのです。
参考動画
まとめ
「億り人」という言葉は、日本における投資ブームの象徴であり、多くの人々に夢と希望を与えました。
同時に、一夜にして富を築くことの難しさ、そして得た富を維持するための知識(特に税金)の重要性を浮き彫りにしました。
仮想通貨や株式投資は、依然として大きな富を得るチャンスがある一方で、資産を失う大きなリスクも伴います。
「億り人」という言葉の華やかさだけに目を奪われるのではなく、投資は自己責任と余剰資金で行うこと、そして利益が出た場合の税金や出口戦略についてもしっかりと学ぶことが重要です。
あなたにとって「億り人」とは、憧れの存在でしょうか、それともハイリスクなギャンブラーに見えるでしょうか。
関連トピック
仮想通貨(暗号資産): 億り人を最も多く生み出したとされる投資対象。ビットコインやイーサリアムが有名です。
FIRE (Financial Independence, Retire Early): 経済的自立と早期リタイア。億り人になった後のライフスタイルとして、FIREを目指す人も多くいました。
雑所得と税金: 仮想通貨の利益(雑所得)にかかる税金の仕組み。億り人になった人が直面する最大の課題の一つです。
NISA(ニーサ): 日本の少額投資非課税制度。億り人が目指すようなハイリスク・ハイリターン投資とは対照的に、税制優遇を受けながら堅実に資産形成を行う手段として国が推奨しています。
デイトレード: 1日のうちに株式やFXの売買を完結させる投資手法。短期で利益を目指すスタイルの一つです。
関連資料
『ジェイソン流お金の増やし方』(厚切りジェイソン著): 投資全般、特に長期・分散・積立(インデックス投資)の重要性を説いたベストセラー。億り人のような短期売W買とは異なる、堅実な資産形成の方法を学べます。
『一番やさしい確定申告の書き方』(各種ムック本): 億り人になった場合、あるいは投資で利益が出た場合に必須となる確定申告の知識を得るための実用書です。
『投資の神様バフェットの教え』(日本経済新聞社 編): 長期投資の重要性や、価値ある企業を見抜く「バリュー投資」の哲学を学べる一冊。短期的なブームに流されない投資の基本がわかります。

