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「良いインフレ」と「悪いインフレ」の決定的な違い!コストプッシュとディマンドプルの仕組みを徹底解説

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「良いインフレ」と「悪いインフレ」の決定的な違い!コストプッシュとディマンドプルの仕組みを徹底解説

コストプッシュインフレとディマンドプルインフレの概要

ニュースで「インフレ」という言葉を耳にしない日はありませんが、実はインフレには「景気が良くなる良いインフレ」と「生活が苦しくなる悪いインフレ」の2種類があることをご存知でしょうか。経済学的には、これらを発生原因によって「ディマンドプルインフレ(需要牽引型)」と「コストプッシュインフレ(費用押し上げ型)」に分類します。

私たちが現在直面している物価高がどちらに当てはまるのかを知ることは、今後の生活設計や資産防衛を考える上で非常に重要です。この記事では、2つのインフレの違い、メカニズム、そして私たちの生活への影響をわかりやすく解説します。

詳細解説:2つのインフレのメカニズム

1. ディマンドプルインフレ(Demand-Pull Inflation):需要が引っ張る「良いインフレ」

「ディマンド(需要)」が「プル(引っ張る)」という名の通り、モノやサービスを買いたいという人々の意欲(需要)が、供給能力を上回ることで発生するインフレです。

  • 発生メカニズム: 景気が良くなると、人々の懐が温まり、多少高くてもモノを買おうとします。企業はモノが売れるので価格を上げ、増えた利益を従業員の給料アップや設備投資に回します。するとさらに消費が活発になる……という「好循環」が生まれます。
  • 特徴: 一般的に「良いインフレ」とされます。物価も上がりますが、それ以上に給料や企業収益が伸びる傾向があるため、生活の豊かさを実感しやすい状態です。

2. コストプッシュインフレ(Cost-Push Inflation):コストが押し上げる「悪いインフレ」

「コスト(費用)」が「プッシュ(押し上げる)」という名の通り、原材料費や燃料費などの生産コストが高騰し、企業がやむを得ず価格に転嫁することで発生するインフレです。

  • 発生メカニズム: 原油価格の高騰、急激な円安、人手不足による人件費増などが主な原因です。この場合、「モノが売れているから値上げする」のではなく、「作れば作るほど赤字になるから値上げせざるを得ない」という消極的な理由になります。
  • 特徴: 一般的に「悪いインフレ」とされます。物価は上がりますが、企業の利益は圧迫されているため、従業員の給料は上がりづらい(あるいは下がる)傾向にあります。給料が変わらないのに生活費だけが上がるため、家計は苦しくなります。最悪の場合、不況とインフレが同時に進む「スタグフレーション」に陥るリスクがあります。

3. 日本の現状と2つのインフレの関係

近年の日本経済は、海外の資源高や円安を背景とした「コストプッシュインフレ」の傾向が強く見られました。しかし、2024年から2025年にかけては、政府や日銀の方針もあり、賃上げを伴う「ディマンドプルインフレ」への転換を目指す動きが活発化しています。

サービス価格の上昇などはその兆候とも言えますが、完全に好循環に入ったとは言い切れず、まさに過渡期にあると言えるでしょう。

参考動画

まとめ

「コストプッシュインフレ」と「ディマンドプルインフレ」。同じ「値上げ」でも、その中身は天と地ほど異なります。私たちが目指すべきは、賃金上昇を伴うディマンドプル型の経済成長です。

現状の日本では、まだコストプッシュの痛みが残っています。この状況下での個人レベルの対策としては、節約で支出を抑えるだけでなく、インフレに強い資産(株式や不動産など)を持つことで、現金の価値目減りを防ぐ視点も重要になります。経済ニュースを見る際は、「今の値上げは需要増によるものか、コスト増によるものか」という視点を持つと、景気の先行きがよりクリアに見えてくるはずです。

関連トピック

スタグフレーション
景気後退(Stagnation)とインフレ(Inflation)が同時に起こる現象。コストプッシュインフレが悪化・長期化した際に起こりうる、経済にとって最悪のシナリオ。

円安
他国の通貨に対して円の価値が下がること。輸入原材料の価格高騰を招き、コストプッシュインフレの主要な要因となります。

実質賃金
物価変動の影響を除いた賃金の実質的な購買力。これがプラスになれば生活は豊かになり(ディマンドプルへの移行)、マイナスなら生活は苦しくなります。

関連資料

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