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日本ドラマ界の逆襲!「VIVANT」と「地面師たち」が示した制作費の壁とクオリティ革命:地上波vs配信の仁義なき戦い

エンタメ
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日本ドラマ界の逆襲!「VIVANT」と「地面師たち」が示した制作費の壁とクオリティ革命:地上波vs配信の仁義なき戦い

概要

2023年、TBS日曜劇場『VIVANT』が日本中に巻き起こした旋風は、単なるヒット作の枠を超え、日本ドラマの「制作規模」に対する認識を根底から覆しました。そして2024年、Netflixシリーズ『地面師たち』がその衝撃を上書きするかのような圧倒的なクオリティで世界を席巻しています。

かつて「低予算」「国内向け」「恋愛か刑事ものばかり」と揶揄されることもあった日本のドラマ界ですが、今、劇的なパラダイムシフトが起きています。本記事では、『VIVANT』と『地面師たち』という二つの記念碑的作品を比較軸に、地上波と動画配信サービス(SVOD)の圧倒的な「制作費の格差」、それに伴う「脚本・演出の質の変化」、そして世界市場を見据えた「制作体制の進化」について徹底解説します。なぜ今、日本のドラマが面白くなっているのか、その裏側にあるマネー事情とクリエイティブの情熱に迫ります。

詳細:変化する制作現場とクオリティ

1. 「VIVANT」が壊した常識と、地上波ドラマの限界点

かつて、日本の地上波ゴールデンタイムのドラマ制作費は、1話あたり2,000万円〜3,000万円程度が相場と言われてきました。限られたスポンサー料の中で利益を出すためには、セットを使い回し、ロケを減らし、キャストの拘束時間を短くする必要があったのです。

しかし、TBS『VIVANT』はこの常識を打ち破りました。噂される制作費は1話あたり約1億円。モンゴルでの2ヶ月以上にわたる長期ロケ、ハリウッド映画並みの機材投入、そして主役級キャストの贅沢な起用は、視聴者に「テレビでもこれだけのことができる」という希望を見せました。

一方で、これは「地上波の限界への挑戦」でもありました。TVerなどの配信収入や海外販売を見越した特例的なプロジェクトであり、全ての地上波ドラマがこの水準に追随できるわけではありません。依然として、多くの地上波ドラマはコンプライアンスの波と予算縮小の板挟みにあっています。

2. 黒船Netflixの衝撃!『地面師たち』に見る「桁違い」の予算感

『VIVANT』が地上波の限界に挑んだ一方で、NetflixやAmazon Prime Videoなどの外資系配信プラットフォームは、最初から「世界基準」の予算感を持ち込みました。
特に話題のNetflixシリーズ『地面師たち』は、その象徴です。具体的な制作費は公表されていませんが、業界の推測では地上波の数倍〜10倍近い予算が投じられているとも言われています。

豊富な資金は、画面の隅々に現れます。

  • 美術セットの重厚感: オフィスの調度品から、破壊される建物のディテールまで、映画と同等かそれ以上の作り込み。
  • 時間の使い方: 1シーンにかけるリハーサルや撮影時間が潤沢で、役者の芝居の深度が深まる。
  • ポストプロダクション: 色調整(グレーディング)や音響効果に、劇場映画クラスの技術と時間を投入。

これにより、映像のルック(見た目)そのものが、従来のテレビドラマとは一線を画す「リッチな質感」を纏うことになりました。

3. 脚本と企画の自由度:コンプライアンスの呪縛からの解放

予算以上に大きな違いを生んでいるのが、「脚本の質」と「表現の自由度」です。
地上波ドラマは、スポンサーへの配慮から、過度な暴力、性描写、反社会的勢力の描写などが厳しく制限されます。また、視聴率を維持するために「わかりやすい勧善懲悪」や「説明過多なセリフ」が求められがちでした。

対して配信ドラマは、視聴者が自ら料金を払って選ぶメディアです。そのため、『地面師たち』のように、詐欺師を主人公にしたピカレスク(悪漢)ロマンや、人間の暗部をえぐるようなシリアスなテーマを真正面から描くことが可能です。
「説明台詞で状況を語る」のではなく、「役者の表情と映像美で語る」という映像本来の演出が可能になったことで、大根仁監督のような映画界の実力者が、その手腕を遺憾なく発揮できるフィールドが整いました。

4. 海外展開を見据えた制作体制の変化

日本のドラマは長らく「ドメスティック(国内向け)」に特化しすぎており、海外では「演技が大げさ」「セットが安っぽい」と敬遠されがちでした(ガラパゴス化)。
しかし、『今際の国のアリス』や『忍びの家 House of Ninjas』、そして『SHOGUN 将軍』(これは米国制作ですが、日本のスタッフ・キャストが深く関与)の成功により、状況は一変しました。

「日本独自のカルチャー(忍者、侍、独特の裏社会)」を「世界基準の映像クオリティ」で描けば、世界で勝負できることが証明されたのです。これに伴い、制作体制も変化しています。

  • 脚本の共同執筆: ショーランナー制の導入や、複数の脚本家によるライターズルーム制など、ハリウッド流の脚本開発を取り入れ始めています。
  • プリプロダクションの重視: 放送・配信開始前に全話の脚本を完成させ、撮影も完了させるスタイルが増加。これにより、一貫した演出とクオリティ管理が可能になります。

5. 今後期待される大型ドラマと未来予想図

今後、この流れは加速するでしょう。地上波局も単独での制作にこだわらず、TBSのようにNetflixと提携して世界配信を前提とした作品を作ったり、フジテレビのように制作会社として外資系プラットフォームに企画を売り込む動きが活発化しています。
次に期待されるのは、WOWOWと制作会社、そして配信プラットフォームがタッグを組んだ『ゴールデンカムイ』のドラマシリーズ版のような、「映画とドラマのシームレスな連動」です。
予算の壁が取り払われ、クリエイターが「本当に撮りたいもの」を撮れる環境が整いつつある今、日本のドラマは「第2の黄金期」を迎えようとしています。

参考動画

まとめ

『VIVANT』と『地面師たち』は、日本のドラマ制作における二つの頂点を示しました。一つは地上波が持つ底力と情熱の結晶、もう一つは黒船がもたらした世界基準の制作環境です。この二つが切磋琢磨することで、視聴者の目は肥え、日本のエンターテインメントのレベルは確実に底上げされました。

予算規模の違いはあれど、共通しているのは「面白いものを作りたい」というクリエイターの執念です。今後、私たちは「テレビだから」「配信だから」という区別なく、純粋に「世界レベルの傑作」を日本発で目撃する機会が増えることでしょう。日本のドラマは今、間違いなく、過去最高に面白い時代に突入しています。

関連トピック

VIVANT(ヴィヴァン):2023年にTBS系「日曜劇場」で放送されたテレビドラマ。主演は堺雅人。モンゴルでの長期ロケなど規格外のスケールが話題となった。

地面師たち(Tokyo Swindlers):2024年配信のNetflixシリーズ。綾野剛、豊川悦司のW主演。実在の事件をモデルに、土地詐欺師グループの暗躍を描く。

ショーランナー(Showrunner):ドラマ制作における最高責任者。脚本、演出、予算管理までを統括する。欧米では一般的だが、日本でも導入が進みつつある。

制作委員会方式:日本の映像制作で一般的な、複数の企業が出資する方式。リスク分散のメリットがある一方、意思決定の遅さや予算の分散がデメリットとして指摘されることもある。

関連資料

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地面師たち (集英社文庫)

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