【2025年最新】なぜ「円安」は止まらない?FRB利下げ&日銀利上げでも「円高」にならない本当の理由と今後の展望
現在の円安状況の概要
「アメリカ(FRB)が金利を下げて、日本(日銀)が金利を上げれば、日米の金利差が縮まって『円高』になるはずだ」。
経済の教科書的にはその通りなのですが、現実の相場はそう単純には動いていません。「利下げ・利上げ」というニュースが報じられても、依然として歴史的な円安水準が続いている、あるいは思ったほど円高が進まないことに違和感を覚えている方も多いのではないでしょうか。
実は、現在の為替相場を動かしているのは、単なる「金利差」だけではないのです。日本の構造的な変化、新NISAの影響、そして「デジタル赤字」という新たな課題が、円の価値を押し下げ続けています。
本記事では、なぜセオリー通りに円高にならないのか、その複雑なメカニズムを分かりやすく解説し、今後のドル円相場がどう動くのか、私たちの生活防衛策とあわせて徹底予測します。
詳細:金利差だけではない「構造的円安」の正体
セオリーが通じない?「金利差」の縮小と「絶対値」の壁
まず、基本をおさらいしましょう。通貨は「金利が低いところ」から「金利が高いところ」へ流れる性質があります。これまでは「米国の高金利(約5%)」と「日本の低金利(ほぼ0%)」の差が大きすぎたため、ドルが買われ、円が売られてきました。
現在、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げに転じ、日銀は利上げを行っています。本来なら円高に向かう局面です。しかし、円安が止まらない大きな理由は「縮まっても、まだ差が大きすぎる」からです。
たとえアメリカの金利が3%台に下がり、日本の金利が0.5%や1%に上がったとしても、依然として「2〜3%の金利差」が存在します。機関投資家にとって、少しでも有利なドルで運用したいという魅力(キャリートレードの優位性)は完全には消えていないのです。
円安の真犯人1:止まらない「構造的な円売り」需要
金利差以上に深刻なのが、日本の貿易・サービス収支の構造変化です。これを解決しない限り、いくら日銀が金利を上げても円安圧力は消えません。
- デジタル赤字の拡大: 今や私たちは、Google、Amazon(AWS)、Netflix、Apple、Microsoftなどの米国ITサービスなしでは生活も仕事もできません。これらのサービス利用料や広告費は、日本から海外へ巨額の「ドル払い」として流出しています。これが「デジタル赤字」であり、年間5兆円以上とも言われるこの支払いは、為替レートに関係なく毎月発生する「実需の円売り」です。
- エネルギー・食糧の輸入: 資源のない日本は、原油や天然ガス、小麦などを輸入に頼っています。これらもドル決済が基本であり、輸入企業は常に円を売ってドルを調達し続ける必要があります。
円安の真犯人2:「新NISA」によるキャピタルフライト
2024年から始まった「新NISA」も、皮肉なことに円安を加速させる要因の一つとなっています。
新NISAで最も人気があるのは、米国株(S&P500)や全世界株(オルカン)に投資する投資信託です。私たちがこれらを購入するために振り込んだ「円」は、運用会社によって即座に「ドル(などの外貨)」に両替され、海外資産の購入に充てられます。
つまり、日本の家計が将来のために貯蓄をすればするほど、数兆円規模のマネーが日本から海外へ流出し、円売り圧力を高めているのです。これは実質的な「キャピタルフライト(資産逃避)」に近い現象と言えます。
今後の展望:1ドル=100円時代はもう来ないのか?
今後の展開を左右するのは、FRBの利下げペースと米国経済の強さ(ソフトランディングするかどうか)です。
- シナリオA:緩やかな円高(135円〜145円レンジ)
米国経済が堅調で、FRBがゆっくりと利下げを行う場合。金利差は徐々に縮小しますが、日本の「構造的な円売り」が下支えするため、急激な円高にはならず、ジリジリと円高方向に修正される展開です。多くの専門家がメインシナリオとしています。 - シナリオB:急激な円高(120円台突入)
米国経済がリセッション(景気後退)に陥り、株価が暴落、FRBがパニック的に大幅利下げを行った場合。リスクオフ(安全資産への逃避)として円が買い戻され、一気に円高が進む可能性があります。ただし、これは世界経済にとってバッドシナリオです。 - シナリオC:円安定着(150円〜160円維持)
米国のインフレが再燃し、利下げがストップする場合。あるいは日本の貿易赤字がさらに悪化する場合。日本円の価値そのものが信認を失い、「悪い円安」が常態化するリスクもあります。
私たちはどう備えるべきか
「円」だけを持っていることのリスクがかつてないほど高まっています。輸入品の価格(ガソリン、食料、iPhoneなど)が下がらない未来を想定し、資産の一部を外貨(ドル建て資産や外国株)で持つ「通貨分散」の考え方が、これまで以上に重要になります。
経済ニュースの参考動画
まとめ
現在の円安は、単なる「金利差」の調整局面ではなく、日本経済の弱体化(稼ぐ力の低下)と資産流出という「構造的な問題」を映し出す鏡です。
FRBの利下げと日銀の利上げは、円高要因ではありますが、それだけでかつてのような1ドル100円の時代に戻るパワーはありません。
私たちは「日本に住んでいれば円だけで大丈夫」という常識を捨て、円安時代を生き抜くために、グローバルな視点で資産を守り、増やしていくリテラシーが求められています。
関連トピック
デジタル赤字
クラウドサービス、動画配信、SNS広告、アプリ決済など、海外IT企業への支払いによって生じる赤字。日本のモノの輸出で稼いだ黒字を食いつぶす勢いで拡大しており、構造的な円安の主犯格とされている。
キャリートレード(円キャリー取引)
低金利の円を借りて、高金利のドルなどで運用し、金利差益を得る取引手法。ヘッジファンドなどが巨額の資金で行うため、これが巻き戻される(解消される)と急激な円高が起きるが、金利差がある限りは継続しやすい。
実質実効為替レート
物価変動などを考慮した、通貨の「本当の実力(購買力)」を示す指標。これを見ると、現在の日本円は1970年代と同水準まで弱くなっており、「安いニッポン」の原因となっている。
関連資料
書籍『円安の正体』 (唐鎌大輔 著)
為替アナリストの第一人者が、金利差だけでは説明できない円安の構造的要因(需給バランスの変化)を鋭く分析したベストセラー。
書籍『安いニッポン 「価格」が示す停滞』
なぜ日本の物価や賃金が上がらないのか、円安がどう影響しているのかを多角的に取材した衝撃のレポート。
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ご注意:これは情報提供のみを目的としています。投資に関する決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。金融情勢は日々変動するため、最新の情報を確認することをお勧めします。


