はじめに
東京の街を見渡したとき、空に向かってひときわ高くそびえ立つ美しい塔。みなさんもテレビや雑誌、あるいは実際にその足で「東京スカイツリー」を訪れたことがあるのではないでしょうか?「高くて見晴らしが良い場所」「お買い物が楽しい観光スポット」というイメージが強いかもしれませんが、実はこのスカイツリーがなぜ作られ、どのようにしてあのとてつもない高さを支えているのか、その本当の凄さを知っている人は意外と少ないかもしれません。毎年5月22日は、そんな日本の新しいシンボルが産声を上げた記念すべき日です。本記事では、世界一の高さを誇る自立式電波塔が誕生した歴史的な背景から、知っていると誰かに話したくなるような秘密まで、わかりやすく解説していきます。
👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇
- 【テーマ1】2012年5月22日に開業した東京スカイツリーの誕生秘話と「634m」の理由
- 【テーマ2】日本の伝統技術と最新科学が融合した、地震に強い安全なつくりの秘密
- 【テーマ3】展望台の絶景だけじゃない!東京ソラマチの楽しみ方と美しいライトアップ
この記事を最後まで読んでいただければ、見慣れた東京スカイツリーの姿が全く違って見えるようになり、次に訪れるときのワクワク感が何倍にも膨らみますよ。日本が世界に誇る大建築の裏側に隠された、たくさんの工夫と情熱のストーリーを一緒にのぞいてみましょう!
2012年(平成24年)5月22日、東京スカイツリーがついにグランドオープン
今から十数年前の2012年(平成24年)5月22日、東京都墨田区(すみだく)に、一つの巨大な塔が誕生しました。それこそが、世界一の高さを誇る自立式電波塔「東京スカイツリー」と、その足元に広がる巨大な商業施設「東京ソラマチ」です。
開業当日のニュース映像を覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、この日はあいにくの雨模様でした。しかし、日本の新しい観光名所であり、新しいランドマーク(その土地の目印となるような建物)の誕生を一目見ようと、初日から信じられないほど多くの人々が詰めかけ、周辺は大お祭り騒ぎとなりました。長年日本のシンボルであった東京タワーに次ぐ、新しい時代の象徴が生まれた瞬間として、日本中が明るいニュースと喜びに包まれた、非常に記念すべき一日だったのです。
世界一の高さ「634メートル」に込められた深い意味とは?
東京スカイツリーといえば、その圧倒的な高さです。タワーの高さは「634メートル」となっており、これは鉄塔などのように自立して立っている電波塔としては、世界で一番の高さとしてギネス世界記録にも認定されています。では、なぜキリの良い600メートルや650メートルではなく、「634メートル」という中途半端に思える数字になったのでしょうか?実はこれには、日本人ならではのとても素敵な理由が隠されています。
この数字は、日本の古い言葉遊びである「語呂合わせ(ごろあわせ)」から来ています。東京や埼玉、神奈川の一部を含む地域のことを、昔の日本では「武蔵の国(むさしのくに)」と呼んでいました。この「むさし」という響きを数字の「6(む)・3(さ)・4(し)」に当てはめて、634メートルに決定されたのです。誰にでも覚えやすく、この塔が建っている地域の歴史や文化を大切にしたいという願いが込められた、とても親しみやすい数字の決め方ですよね。
なぜ新しい電波塔が必要だったの?東京タワーからのバトンタッチ
そもそも、東京にはすでに立派な「東京タワー」があるのに、なぜこれほどまでに高い新しい電波塔を建てる必要があったのでしょうか。その最大の理由は、私たちの家庭にある「テレビ」の進化と深い関係があります。
日本は長らく「アナログ放送」という仕組みでテレビの電波を飛ばしていましたが、より綺麗で便利な「地上デジタル放送(地デジ)」へと切り替わることになりました。テレビの電波は、高いところから遠くへ向かって飛ばす必要があります。しかし、東京の街には昔と違って、200メートルを超えるような超高層ビルが次々と建ち並ぶようになっていました。そのため、高さ333メートルの東京タワーからでは、高層ビル群が邪魔をしてしまい、電波がうまく届かない地域(電波障害)が出てくる心配があったのです。
そこで、東京のどんなに高いビルよりもはるか上から、関東地方の隅々にまで確実にデジタルの電波を届けるために、600メートルを超える圧倒的な高さを持つ新しい電波塔が必要になりました。こうして、東京タワーから重要な役割のバトンを受け継ぐ形で、東京スカイツリーの建設プロジェクトがスタートしたのです。
地震大国でも安心!日本の伝統と最新技術が合体した「心柱」の秘密
これほどまでに背が高い建物を日本のような地震の多い国に建てるとなると、「強い地震が来たらポキッと折れてしまわないの?」と心配になる方も多いと思います。しかし、東京スカイツリーには、絶対に倒れないためのものすごい工夫が隠されています。それが「心柱(しんばしら)」と呼ばれる特別な仕組みです。
実はこの仕組み、最新のコンピューター技術だけで作られたものではありません。日本に古くからあるお寺の「五重塔(ごじゅうのとう)」の造りからヒントを得ているのです。五重塔の真ん中には、太い柱が一本ぶら下がるように通っています。地震が起きて建物が揺れたとき、周りの建物部分と真ん中の柱が「別々のタイミング」で揺れることで、揺れの力を打ち消し合い、建物を守るという魔法のような効果があります。実際に、日本の歴史上、地震で倒れた五重塔はほとんどないと言われています。
東京スカイツリーの真ん中にも、コンクリートでできた巨大な筒のような柱(心柱)が通っており、タワー本体とはバネやオイルのような装置で繋がっています。風や地震でタワーが揺れると、この心柱が少し遅れて揺れることで、全体の揺れを最大で50パーセントも小さく抑え込んでくれます。昔の日本の大工さんたちの知恵と、現代の最先端の科学技術が合体して、この巨大なタワーの安全を守っているのです。
空を歩くような大パノラマ!2つの展望台が魅せる究極の絶景
東京スカイツリーの最大の魅力といえば、やはり展望台からの息をのむような絶景です。展望台は大きく分けて2つの高さに用意されています。
一つ目は、地上350メートルの高さにある「天望デッキ」です。ここは非常に広々とした空間で、巨大なガラスが足元から天井まで張られており、関東平野をぐるりと360度見渡すことができます。天気の良い日には、はるか遠くの富士山や、東京湾、筑波山までくっきりと見ることができます。また、足元が透けて見える「ガラス床」に乗れば、350メートル下の地面を直接のぞき込むことができ、空中に浮いているようなスリルを味わうことができます。
二つ目は、さらに100メートル高い、地上450メートルの「天望回廊(てんぼうかいろう)」です。ここはガラス張りのチューブのようなスロープになっており、ぐるぐるとタワーの周りを歩きながら、一番高い到達点である「ソラカラポイント」を目指します。ここまで高く上ると、もはや街の景色というよりも、地球の丸みを感じられるような、空と宇宙の間にいるような不思議な感動に包まれます。
買い物もグルメも大満足!一緒に誕生した「東京ソラマチ」の魅力
2012年5月22日に開業したのは、タワーだけではありません。タワーの根元に広がる巨大な商業施設「東京ソラマチ」も同時にオープンし、初日から大勢の人で賑わいました。ソラマチは単なるお土産屋さんではなく、「新しい下町(したまち)」をテーマにした、一日中遊べるエンターテインメント空間です。
施設の中には、300を超えるたくさんのお店やレストランが立ち並んでいます。下町の職人さんが作った伝統工芸品から、最新のファッション、そしてここでしか買えないスカイツリー限定の可愛らしいスイーツやグッズまで、見ているだけでワクワクするものが溢れています。
さらに、お買い物だけでなく、本格的な水族館である「すみだ水族館」や、満天の星空を楽しめるプラネタリウム「天空」なども併設されています。展望台に上らなくても、美味しいご飯を食べて、水族館でペンギンを眺めて、プラネタリウムで癒やされるという、完璧な休日を過ごすことができるのが、東京ソラマチの素晴らしいところです。
毎日違う顔を見せる?夜空を彩る美しいライトアップの秘密
昼間の青空にそびえ立つ姿も素敵ですが、夜になると東京スカイツリーは全く違った美しい表情を見せてくれます。何百個ものLEDライトを使ってタワー全体を照らすライトアップは、環境に優しく、かつ非常に芸術的です。
基本となるライトアップには、大きく分けて3つのテーマがあります。一つ目は、隅田川の水をモチーフにした淡いブルーの光で、スッキリとした美しさを表現する「粋(いき)」。二つ目は、江戸紫(えどむらさき)という上品な紫色と金箔のようなキラキラした光で、優雅さを表現する「雅(みやび)」。そして三つ目は、縁起の良い橘(たちばな)色というオレンジ色をベースにして、元気や賑わいを表現する「幟(のぼり)」です。これらの光が日替わりで点灯するため、毎日見上げても飽きることがありません。
また、桜の季節にはピンク色になったり、クリスマスの時期にはツリーのように赤や緑になったりと、季節や特別なイベントに合わせて光の色が魔法のように変化します。夜の街を歩きながら「今日のスカイツリーは何色かな?」と空を見上げるのも、東京の新しい楽しみ方の一つになりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。2012年(平成24年)5月22日にグランドオープンした東京スカイツリーと東京ソラマチは、ただ背が高いだけでなく、日本の古い歴史、職人たちの伝統技術、そして最新の科学技術がすべて詰まった夢の結晶であることがおわかりいただけたかと思います。
テレビの電波を届けるという重要な役割を果たしながら、訪れる人々に圧倒的な絶景と楽しいお買い物の時間を提供し続けるこの巨大なタワーは、これからも長く日本のシンボルとして愛され続けていくことでしょう。今度スカイツリーの近くを訪れたときや、テレビの画面越しにその姿を見たときには、ぜひ今回ご紹介した「634メートル(むさし)」の意味や、五重塔からヒントを得た「心柱」の秘密を思い出してみてください。きっと、これまでよりもずっと、このタワーのことが好きになるはずです!
