😷マイコプラズマ肺炎の正しい知識：しつこい咳の正体、原因菌、感染経路、最新の治療薬と耐性菌問題を徹底解説

「マイコプラズマ肺炎」の概要

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ（Mycoplasma pneumoniae）」という極めて小さな細菌に感染することで引き起こされる呼吸器感染症です。

一般的な細菌性肺炎と異なり、比較的症状が軽いことが多いですが、最も特徴的なのは、解熱後も3〜4週間と長期間続く、痰のからまない乾いた激しい咳です。

主に小児や若い人（14歳以下が約8割）の肺炎の原因として比較的多く、オリンピック肺炎とも呼ばれたことがあります。

感染経路は、感染者の咳のしぶきを吸い込む飛沫感染や、接触による接触感染です。潜伏期間は2〜3週間と長く、家庭や学校などの集団内でゆっくりと感染が広がります。

「マイコプラズマ肺炎」の詳細

マイコプラズマ肺炎の症状と風邪・インフルエンザとの違い

マイコプラズマ肺炎の診断と治療薬

マイコプラズマ肺炎の診断は、症状や胸部X線検査の結果に加え、以下の検査を組み合わせて総合的に判断されます。

• 迅速検査: 喉の粘膜をぬぐって行う検査ですが、感度が低く、陰性でも感染を否定できないことが多いです。
• 遺伝子検査（LAMP法・PCR法）: マイコプラズマ菌のDNAを検出する方法で、精度が高いですが、結果が出るまでに数日かかることがあります。
• 血液検査（抗体検査）: 血液中のマイコプラズマ抗体を測定しますが、感染初期には抗体が検出されにくいという問題があります。

マイコプラズマ肺炎の治療には、マイコプラズマに効果のある特定の抗菌薬（抗生剤）が用いられます。

主に、マクロライド系の抗菌薬が第一選択薬となります。

重症化と薬剤耐性菌の問題

ほとんどは軽症で治りますが、一部の人は肺炎が悪化したり、肺外の合併症（中耳炎、脳炎、心筋炎、発疹、関節炎など）を引き起こしたりすることがあります。

近年、特に問題となっているのが、マクロライド系の抗菌薬が効かない「マクロライド耐性マイコプラズマ」の増加です。

耐性菌に感染した場合は、テトラサイクリン系やニューキノロン系など、他の抗菌薬による治療が必要になります。

「マイコプラズマ肺炎」の参考動画

「マイコプラズマ肺炎」のまとめ

マイコプラズマ肺炎は、しつこく続く激しい咳が特徴の感染症であり、特に学童期から若年層で注意が必要です。

「風邪が治らない」と自己判断せずに、発熱が治まった後も咳が長く続く場合は、マイコプラズマ肺炎や他の長引く咳の原因を特定するため、速やかに医療機関（特に呼吸器内科や小児科）を受診することが重要です。

抗菌薬による適切な治療で治癒しますが、耐性菌の流行により、治療薬の選択が複雑化している現状があります。

他人への感染を広げないためにも、咳が出ている間はマスクを着用し、手洗い・うがいを徹底する咳エチケットが非常に大切です。

関連トピック

飛沫感染と接触感染: マイコプラズマの主な感染経路です。麻疹やインフルエンザのように空気感染はしませんが、濃厚な接触で感染が広がります。

非定型肺炎: 肺炎マイコプラズマやクラミジアなど、従来の肺炎球菌などとは異なる原因菌による肺炎の総称です。

マクロライド耐性菌: マクロライド系の抗菌薬が効かないマイコプラズマ菌。これにより、治療薬の選択が慎重になります。

長引く咳: マイコプラズマ肺炎は、治癒後も咳が長く残る「感染後咳嗽」の原因となることがあります。

関連資料

小児呼吸器感染症診療ガイドライン: 日本小児科学会などが策定する、小児の肺炎マイコプラズマ感染症の診断と治療に関する最新の考え方をまとめた専門的な指針です。

最新マイコプラズマ学: マイコプラズマの細菌学的性状、分子生物学、感染と免疫応答など、基礎から臨床までを網羅した専門書です。

マイコプラズマ肺炎―耐性菌感染症にどのように対処するか―: マクロライド耐性マイコプラズマの増加を踏まえ、臨床現場での治療方針について解説した専門的な記事や資料。

ご注意：これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。