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【指が伸びない!】デュプイトラン拘縮の症状、原因、最新治療法と手術のすべて

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【指が伸びない!】デュプイトラン拘縮の症状、原因、最新治療法と手術のすべて

デュプイトラン拘縮の概要

デュプイトラン拘縮(Dupuytren’s Contracture)は、手のひら(手掌)にある手掌腱膜という組織が、異常に肥厚・線維化することで収縮し、指が徐々に曲がって伸びなくなる進行性の疾患です。

通常は痛みを伴いませんが、進行すると指が曲がったまま固定されてしまい(屈曲拘縮)、日常生活に大きな支障をきたします。

50代以降の男性、特に薬指や小指に多く発症する傾向があり、原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や糖尿病との関連が指摘されています。

デュプイトラン拘縮の詳細

デュプイトラン拘縮の病態と特徴的な症状

デュプイトラン拘縮は、手のひらの皮膚の下にある手掌腱膜という扇状の薄い線維性の膜が病的に変化することが原因で起こります。

この腱膜にコラーゲンが異常に沈着し、硬いしこり(結節)や、それを指に向かって結ぶ太い線維の束(拘縮索)が形成されます。

この拘縮索が収縮することで皮膚を引きつらせ、指を引っ張り曲げたまま固定してしまうのが主な症状です。

1. 症状の進行段階

  • 初期: 手のひらに小さなしこり(結節)や、皮膚のへこみ、引きつれが出現します。この段階では痛みはほとんどありません。
  • 中期: 結節が大きくなり、指に向かって硬い索状物(拘縮索)がはっきりと触れるようになります。指が徐々に曲がり始め、わずかに伸びにくさを感じます。
  • 後期(進行期): 拘縮索の収縮が強くなり、指が曲がったまま自力で伸ばせなくなります(屈曲拘縮)。手の機能が大きく制限され、洗顔時に指が目や鼻に当たったり、手袋がはめられなくなったりと、日常生活での不便さが顕著になります。

2. 発症しやすい指と性別

最も発症しやすいのは薬指(環指)小指で、次に中指にも見られます。

一般的に50歳代以降の男性に多く発症する傾向があり、女性の発生は比較的少ないとされています。

この疾患は白人に多いとされてきましたが、日本人での発症も増えてきています。

デュプイトラン拘縮の原因とリスク要因

デュプイトラン拘縮の具体的な原因は未だに不明ですが、いくつかの要因が関与していると見られています。

  • 遺伝的要因: 家族内に同じ疾患を持つ人がいる場合、発症リスクが高いことが指摘されており、遺伝との関連が強いと考えられています。
  • 基礎疾患: 糖尿病の患者は、デュプイトラン拘縮を発症しやすい傾向があります。また、てんかんの治療薬やアルコール摂取、喫煙などもリスクを高める可能性が報告されています。
  • 微小外傷の繰り返し: 手のひらの腱膜への繰り返しの小さな外傷(機械的な刺激)が、線維組織の増殖を引き起こすのではないかという説もあります。

治療法:保存療法、注射療法、手術療法

デュプイトラン拘縮は進行性の疾患であり、指の拘縮を完全に予防する有効な内服薬や保存的治療法はありません。

1. 保存的治療

  • 装具・牽引療法: 軽症の場合や手術後のリハビリとして、スプリント(装具)を使用して指の拘縮を抑えたり、可動域を維持したりする試みが行われます。ただし、病気の進行自体を止める効果はほとんどないとされています。
  • リハビリテーション: 痛みのない進行期では、無理に指を伸ばすストレッチやリハビリを行っても効果は薄く、かえって症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

2. 注射による治療(酵素注射療法)

過去には、肥厚した手掌腱膜を溶かすコラゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)を注射する治療法が承認されていました。これは手術をせずに拘縮を改善できる画期的な方法でしたが、2020年3月をもって販売が中止されています。現段階では、この治療の再開の予定はありません。

3. 手術療法(腱膜切除術)

指の屈曲拘縮が進行し、日常生活に大きな支障をきたすようになった場合(目安として、手のひらを机に置いたときに指がまっすぐ伸びない「テーブルトップテスト」が陽性になる場合)は、手術が検討されます。

腱膜切除術:病的に増殖した腱膜(結節や拘縮索)を皮膚を切開して切除し、指が伸びるようにする手術です。

術後: 手術後は、再発を防ぎ、指の機能を回復させるために、リハビリテーションや夜間装具による固定(夜間伸展位固定)などの後療法が非常に重要となります。手術は、大切な神経や血管を損傷しないよう、十分な訓練を受けた手外科専門医が行うべきとされています。

デュプイトラン拘縮の参考動画

デュプイトラン拘縮のまとめ

デュプイトラン拘縮は、手のひらにしこりができ、徐々に指が曲がって伸びなくなる進行性の疾患で、主に50代以降の男性に多く見られます。

初期は痛みが少ないため見過ごされがちですが、放置すると指が曲がったまま固定され、洗顔や物をつかむといった日常の動作に大きな不便を生じます。

有効な保存療法が確立されていないため、指の拘縮が進行して日常生活に支障をきたすようになった場合は、**手術療法(腱膜切除術)**が最も確実な治療法となります。

指の機能制限で困っている方は、手の外科専門医のいる整形外科を受診し、「デュプイトラン拘縮」ではないか診断を受けることが大切です。

早期の相談と適切な治療計画の立案が、手の機能を維持するための最善策となります。

デュプイトラン拘縮の関連トピック

手掌腱膜(しゅしょうけんまく): デュプイトラン拘縮の原因となる、手のひら(手掌)にある線維性の膜状組織です。

バネ指(弾発指): 指の腱鞘炎の一種で、指の曲げ伸ばし時に引っかかりや痛みを伴いますが、デュプイトラン拘縮とは病態が異なります。

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん): 手首の神経(正中神経)圧迫による指のしびれや痛みで、指の拘縮は伴いません。

ライオネル・メッシ: サッカー選手のメッシ選手も罹患したと言われることがありますが、これは一般的な情報として誤りであり、デュプイトラン拘縮の患者が有名人であるという事例は特に見当たりません。

デュプイトラン拘縮の関連資料

デュピュイトラン拘縮研究会ホームページ: 過去に行われていた注射療法や疾患に関する最新情報が掲載されています。

「デュピュイトラン拘縮」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる: 疾患の概要、症状、治療法について専門的な情報が簡潔にまとめられています。

やさしい手外科 上巻: 手外科に関する専門書で、手術治療の基礎やテクニックについて解説されています。

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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