エネルギーと資源の安定供給を支える「JOGMEC」とは?役割や最新の取り組みを徹底解説
「JOGMEC」の概要
「JOGMEC(ジョグメック)」という言葉をニュースなどで耳にしたことはあるでしょうか。
正式名称を「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構」といい、日本のエネルギー政策において極めて重要な役割を担っている組織です。
私たちの生活に欠かせない石油、天然ガス、金属鉱物などの資源は、その多くを海外からの輸入に頼っています。
JOGMECは、こうした資源を安定的かつ低廉(ていれん)に確保・供給することを使命として設立されました。
経済産業省が所管する独立行政法人であり、2004年に当時の石油公団と金属鉱業事業団が統合して発足しました。
2022年の法改正により、従来の「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」から、現在の名称へと変更されています。
この名称変更は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、水素・アンモニアや洋上風力発電といった新たなエネルギー分野への対応強化を示しています。
「JOGMEC」の詳細と活動内容
JOGMECの活動は多岐にわたり、資源開発の上流から下流までを包括的にサポートしています。
主な活動の柱として、以下の要素が挙げられます。
1. 金融支援によるリスク軽減
まず一つ目は、「金融支援」です。
資源開発プロジェクトは巨額の資金が必要であり、同時に地質リスクやカントリーリスクといった高いリスクを伴います。
民間企業単独では参入が難しいこうしたプロジェクトに対し、JOGMECは出資や債務保証を行うことでリスクを軽減し、企業の挑戦を後押ししています。
2. 技術開発・支援と国産資源
二つ目は、「技術開発・支援」です。
地下深くに眠る資源を探し出す探査技術や、効率的に回収する生産技術の開発を行っています。
特に、日本周辺海域に存在するとされる「メタンハイドレート」や「海底熱水鉱床」といった国産資源の実用化に向けた研究開発は、将来のエネルギー自給率向上への鍵として期待されています。
3. 資源備蓄による安全網
三つ目は、「資源備蓄」です。
万が一、海外からの供給が途絶えるような事態に備え、石油、石油ガス、そしてレアメタルの備蓄を行っています。
これにより、地政学的なリスクや災害時においても、国内の経済活動や国民生活が混乱しないよう安全網を敷いています。
4. 環境保全とカーボンニュートラル
四つ目は、「環境保全・鉱害防止」です。
かつての鉱山開発に伴う鉱害(重金属による汚染など)の防止工事や、廃坑となった鉱山の管理支援を行っています。
資源を利用するだけでなく、環境への負荷を最小限に抑えることも重要な任務です。
そして近年、最も注力しているのが「カーボンニュートラルへの対応」です。
脱炭素社会の実現に向けて、燃焼時に二酸化炭素を出さない水素やアンモニアのサプライチェーン構築支援や、排出された二酸化炭素を地中に貯留するCCS(Carbon Capture and Storage)事業の推進など、新しいエネルギー体系への移行を技術と資金の両面から支えています。
また、地熱発電の導入拡大に向けた調査や、洋上風力発電のための風況・海底地盤調査なども実施しており、再生可能エネルギーの普及にも貢献しています。
「JOGMEC」の参考動画
紹介している動画は、資源・エネルギー業界に目指したい未来がある! です。この動画は、JOGMECの公式チャンネルが公開しているもので、資源開発の現場の様子やスケール感を視覚的に理解するのに役立つため選びました。
まとめ
JOGMECは、資源のほとんどを輸入に依存する日本にとって、まさに「縁の下の力持ち」といえる存在です。
私たちが普段何気なく使っている電気やガス、スマートフォンのバッテリーに使われるレアメタルなどは、JOGMECの活動によって安定供給が支えられています。
世界情勢が不安定化し、エネルギー価格の高騰や供給不安が懸念される現代において、その役割はますます重要度を増しています。
また、従来の化石燃料の確保だけでなく、脱炭素という地球規模の課題に対し、水素やCCSといった最先端技術で挑む姿勢は、日本の未来を切り拓く希望とも言えるでしょう。
エネルギー問題は遠い国の話ではなく、私たちの毎日の生活に直結する課題です。
この記事をきっかけに、JOGMECの活動や日本のエネルギー事情について、少しでも関心を持っていただければ幸いです。
関連トピック
経済産業省 資源エネルギー庁
日本のエネルギー政策、鉱物資源政策を企画・立案する国の行政機関であり、JOGMECの所管官庁です。
メタンハイドレート
「燃える氷」とも呼ばれ、日本周辺の海底下にも大量に存在するとされる次世代のエネルギー資源です。
レアメタル(希少金属)
ハイブリッド車、スマートフォン、電子部品などに不可欠な金属で、供給源が偏在しているため戦略的な確保が必要です。
CCS(二酸化炭素回収・貯留)
発電所や工場などから排出されたCO2を分離・回収し、地中深くに貯留して大気中への放出を防ぐ技術です。
水素・アンモニア
燃焼してもCO2を排出しないため、化石燃料に代わる次世代のクリーンエネルギーとして注目されています。
関連資料
『(改訂版)石油・天然ガス開発のしくみ』
JOGMECと日本エネルギー経済研究所が共同編集し、資源開発の基礎から最新技術までを解説した入門書です。
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JOGMECが発行する広報誌で、最新のプロジェクトや技術動向、職員のインタビューなどが掲載されています(公式サイトで閲覧可能)。



