LGBTQ+とは? 多様な性のあり方と私たちが知っておくべきこと
「LGBTQ+」の概要
「LGBTQ+(エルジービーティーキュープラス)」とは、現代社会における多様な性のあり方を表す言葉の一つです。
これは、特定の性的指向や性自認を持つ人々(セクシュアルマイノリティ=性的少数者)を包括的に示す総称として使われています。
L、G、B、T、Qといった頭文字にはそれぞれ意味があり、最後の「+(プラス)」は、これら5つ以外にも多様な性のあり方が存在することを示しています。
近年、日本でもパートナーシップ制度の導入が進むなど、理解と受容が広がりつつありますが、同時に法的な課題や社会的な偏見も依然として残っています。
この記事では、LGBTQ+の基本的な意味から、私たちが直面している現状について分かりやすく解説します。
「LGBTQ+」の詳細
LGBTQ+ それぞれの意味
LGBTQ+ という言葉は、以下の頭文字を組み合わせたものです。
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L:レズビアン (Lesbian)
性自認が女性で、性的指向が女性に向かう人(女性同性愛者)を指します。
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G:ゲイ (Gay)
性自認が男性で、性的指向が男性に向かう人(男性同性愛者)を指します。
(広義には、同性愛者全般を指す言葉として使われることもあります。
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B:バイセクシュアル (Bisexual)
男性と女性の両方の性に性的指向が向かう人(両性愛者)を指します。
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T:トランスジェンダー (Transgender)
出生時に割り当てられた性別と、自身の性自認(心の性)が一致していない人を指します。
(例:出生時は男性だが性自認は女性、またはその逆、あるいはどちらにも当てはまらない人など。
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Q:クエスチョニング (Questioning) / クィア (Queer)
「Q」には二つの意味が込められることが多くあります。
「クエスチョニング」は、自身の性的指向や性自認がまだ定まっていない、または意図的に決めていない状態の人を指します。
「クィア」は、元々「風変わりな」といった侮蔑的な言葉でしたが、現在では性的少数者が自身のあり方を肯定的に捉え直す言葉として使われることもあります。
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+ (プラス)
上記(LGBTTQQIA=レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング、クィア、インターセックス、アセクシュアル)以外にも、多様な性のあり方(例:アセクシュアル=他者に恋愛感情や性的欲求を抱かない人、ノンバイナリー=性自認が男性・女性の枠組みに当てはまらない人など)が存在することを示す記号です。
「SOGI(ソジ)」との違い
最近、「SOGI(ソジ)」という言葉もよく使われます。
これは「Sexual Orientation(性的指向)」と「Gender Identity(性自認)」の頭文字を取った言葉です。
LGBTQ+が主に性的少数者(マイノリティ)を指す総称であるのに対し、SOGIは「すべての人が持っている属性」を指します。
つまり、異性を好きになる人(ヘテロセクシュアル)も、出生時の性と性自認が一致している人(シスジェンダー)も、全員がそれぞれのSOGIを持っています。
「LGBTQ+の問題」ではなく、「SOGI(性)に関するすべての人権の問題」として捉える考え方が国際的に広まっています。
日本と世界の現状:法整備と社会的課題
日本では、LGBTQ+の人々に対する社会的な理解は進みつつあります。
2015年に東京都渋谷区と世田谷区が導入した「パートナーシップ制度(同性カップルを公的に証明する制度)」は、2025年現在、全国の多くの自治体に広がり、人口カバー率は9割を超えています。
しかし、これは法律上の婚姻(同性婚)とは異なり、相続や税制上の優遇措置、法的な親子関係の構築など、多くの面で法的な保障がありません。
G7(先進7カ国)の中で、国レベルでの同性婚やそれに準ずる法的保障がないのは日本だけとなっており、国際的にも法整備の遅れが指摘されています。
また、学校や職場での差別的な言動、アウティング(本人の許可なく他人のセクシュアリティを暴露すること)、公的サービスでの格差など、当事者が直面する困難は未だ多く残されています。
参考動画
まとめ
LGBTQ+とは、私たちの社会が持つ「多様な性」の一側面を示す言葉です。
性のあり方は、男性と女性の二択ではなく、グラデーションのように多様であるという認識が広まっています。
大切なのは、他人の性のあり方を勝手に判断したり、差別したりするのではなく、一人ひとりのSOGI(性的指向や性自認)を個人の属性として尊重することです。
すべての人が自分らしく、安心して暮らせる社会を実現するために、私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、偏見のない目で世界を見ることが求められています。
関連トピック
SOGI(ソジ): 性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の略。
LGBTQ+だけでなく、すべての人々が持つ性の属性を指す言葉です。
カミングアウト: 当事者が自身の性的指向や性自認を他者に開示することです。
これは非常に勇気が必要なことであり、本人の意思が最大限尊重されるべきです。
アウティング: 本人の許可なく、その人の性的指向や性自認を第三者に暴露する行為です。
重大な人権侵害であり、当事者を深刻な精神的苦痛に陥れる可能性があります。
アライ (Ally): 英語で「同盟者・支援者」を意味します。
LGBTQ+の当事者ではない人が、LGBTQ+の人々の権利を理解し、積極的に支援する姿勢を示すことです。
プライドパレード: LGBTQ+の権利と文化を祝い、社会的な認知と平等を訴えるために行われるパレードやイベントのことです。
関連資料
『弟の夫』 (田龜源五郎 著): 主人公のもとに、亡くなった弟の「夫」と名乗るカナダ人男性が訪れるところから始まる漫画作品。
家族とは何か、偏見とは何かを優しく問いかけます。
『ミッドナイトスワン』 (映画): トランスジェンダーの主人公と、親から虐待を受けた少女との交流を描いた日本映画。
社会的な困難と疑似家族の絆が描かれています。
『カランコエの花』 (映画): ある高校のクラスで「LGBTについて」の授業が行われたことをきっかけに、生徒たちの間に広がる憶測や不安を描いた短編映画。
学校現場でのリアルな葛藤を描いています。
『Love, サイモン 17歳の告白』 (映画): 自身がゲイであることを隠している男子高校生の葛藤とカミングアウト、そして初恋を描いたアメリカ映画です。

