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眠れる資源大国ニッポン!近海の「レアアース」「メタンハイドレート」実用化への現在地と課題

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眠れる資源大国ニッポン!近海の「レアアース」「メタンハイドレート」実用化への現在地と課題

日本近海の海底資源、概要とポテンシャル

日本の排他的経済水域(EEZ)は世界第6位の広さを誇り、その海底には「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートや、ハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)が大量に眠っています。

これらは「準国産エネルギー」「夢の国産資源」として長年注目を集めてきましたが、未だ私たちの生活を支える主要エネルギーや資源としては定着していません。

「ニュースではよく聞くけれど、一体いつになったら使えるようになるの?」

「技術的な問題なのか、コストの問題なのか?」

そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、日本近海に眠るこれら2つの巨大資源の現状と、実用化を阻む壁、そして最新の採掘技術や今後の展望について分かりやすく解説します。

レアアースとメタンハイドレートの詳細

【1. 「燃える氷」メタンハイドレートの現状】

メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンと水が低温・高圧の状態で結晶化した物質です。

日本周辺、特に愛知県から三重県の沖合にある南海トラフや日本海側には、日本の天然ガス消費量の約100年分にも相当すると言われる埋蔵量が確認されています。

国は2000年代から本格的な調査を開始し、2013年と2017年には世界初となる海洋産出試験に成功しました。

しかし、商業化への道は険しいのが現状です。

最大の課題は「コスト」と「技術」です。

海底の地層からメタンガスを取り出す際、砂がパイプに詰まるなどの技術的トラブルが多発しており、安定して長期的に生産する技術がまだ確立されていません。

また、現時点では輸入する液化天然ガス(LNG)の方が安価であるため、民間企業が参入しにくいという経済的なハードルもあります。

現在は2027年度以降に民間主導での商業化プロジェクトを開始することを目指し、技術開発が進められています。

【2. 南鳥島沖の「レアアース泥」という希望】

一方、近年急速に期待が高まっているのが、小笠原諸島の南鳥島沖深海で見つかった「レアアース泥」です。

レアアースは、電気自動車(EV)のモーターやスマートフォン、風力発電などに不可欠な物質ですが、現在は供給の大部分を中国に依存しており、経済安全保障上のリスクとなっています。

南鳥島周辺の海底には、世界需要の数百年分とも言われる超高濃度のレアアースが存在することが判明しています。

こちらの課題は「深さ」です。

水深約6,000メートルという超深海から、大量の泥をポンプで吸い上げる技術が必要となります。

しかし、2024年には東京大学やJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)などが、この水深からの揚泥(ようでい)実験に成功するなど、技術的なブレイクスルーが起きています。

こちらは2020年代後半からの試験的な生産開始が視野に入ってきています。

【3. なぜ「今」掘り出す必要があるのか?】

「安い資源を買えばいい」という時代は終わりを迎えつつあります。

国際情勢の不安定化により、エネルギーや重要鉱物を他国に依存することのリスクが露呈しました。

もし日本がこれらの資源を自国で賄えるようになれば、資源輸入国から「資源輸出国」へと生まれ変わる可能性があります。

また、レアアースの採掘に関しては、中国による輸出規制への対抗カード(外交的な交渉材料)としても極めて重要です。

ただし、海底資源の開発は海洋環境への影響も懸念されており、環境保全と開発のバランスをどう取るかも重要な議論となっています。

日本の海底資源に関する参考動画

まとめ

日本近海のレアアースとメタンハイドレートは、まさに「宝の持ち腐れ」状態から、ようやく「宝箱の鍵を開ける」段階に入りつつあります。

すぐに私たちの電気代が安くなったり、資源で大儲けできたりするわけではありませんが、10年後、20年後の日本の未来を左右する極めて重要なプロジェクトです。

「いつまで眠らせる?」という問いへの答えは、「目覚めさせるための技術は整いつつあるが、コストと環境の壁を乗り越える最後のひと押しが必要」という段階です。

私たち国民も、目先のコストだけでなく、日本の「自立」という観点から、こうした海洋開発への投資や研究を応援していく視点を持つことが大切ではないでしょうか。

関連トピック

経済安全保障 – 重要物資の供給網を確保し、他国からの経済的な圧力から国を守る考え方。

排他的経済水域(EEZ) – 沿岸国が水産資源や鉱物資源の権利を持つ海域のこと。

脱炭素社会(カーボンニュートラル) – 化石燃料依存を減らす動きだが、EV普及にはレアアースが不可欠というジレンマがある。

都市鉱山 – 廃棄された家電製品などからレアメタルなどを回収・リサイクルする取り組み。

関連資料

日本が資源大国になる日 – 海洋資源開発の最前線を追ったドキュメンタリー書籍。

レアメタル・レアアースの教科書 – 現代産業に不可欠な鉱物資源の基礎知識と地政学リスクを解説した本。

知られざる「海底資源」の真実 – メタンハイドレートや熱水鉱床など、深海に眠る可能性を科学的に解説した資料。

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