「オレオレ詐欺」だけじゃない!巧妙化する特殊詐欺の最新手口と家族でできる対策ガイド
「オレオレ詐欺、特殊詐欺」の概要
「特殊詐欺」とは、犯人が被害者と対面することなく、電話やメール、ハガキなどを使って信頼させ、不特定多数の人から金銭をだまし取る犯罪の総称です。
その代表例が、息子や孫になりすまして電話をかける「オレオレ詐欺」です。
しかし、近年はその手口が非常に巧妙化・多様化しており、「預貯金詐欺」や「還付金詐欺」など、警察官や役所の職員を名乗るケースも急増しています。
被害者の多くは高齢者ですが、その手口は「自分だけは大丈夫」という油断や、「家族に迷惑をかけたくない」という心理につけ込んできます。
この記事では、特殊詐欺の主な手口と、被害を防ぐための具体的な対策を詳しく解説します。
「オレオレ詐欺、特殊詐欺」の詳細
特殊詐欺の被害は、警察庁の発表でも依然として深刻な状況が続いており、他人事ではありません。
犯人グループは、私たちの心の隙を突く様々なシナリオを用意しています。
巧妙化する特殊詐欺の主な手口
特殊詐欺は、警察庁によって10類型に分類されていますが、特に被害が多いのは以下の手口です。
1. オレオレ詐欺
最も有名でありながら、いまだに被害が絶えない手口です。
息子や孫、あるいはその上司や弁護士を名乗り、「会社の金を使い込んだ」「事故を起こして示談金が必要だ」「カバンを失くし、小切手が入っていた」などと緊急性を装って電話をかけてきます。
声が違うことを指摘されても、「風邪をひいた」「携帯が壊れて番号が変わった」と言い訳をし、動揺した被害者から金銭をだまし取ります。
最近では、複数の犯人が登場する「劇団型」や、あらかじめ「携帯番号が変わった」とだけ連絡して信用させるなど、手口が巧妙になっています。
2. 預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗
警察官、銀行協会職員、大手百貨店の店員などを名乗って電話をかけてくる手口です。
「あなたの口座が犯罪に利用されている」「キャッシュカードの交換手続きが必要」などと不安を煽ります。
その後、犯人が被害者宅を訪問し、言葉巧みに暗証番号を聞き出し、「古いカードは回収します」と言ってキャッシュカードをだまし取ったり、被害者が目を離した隙に偽物のカードとすり替えて盗み取ったり(キャッシュカード詐欺盗)します。
警察官や銀行員が暗証番号を聞いたり、自宅にカードを取りに来ることは絶対にありません。
3. 還付金詐欺
市役所や税務署、年金事務所の職員を名乗り、「医療費の還付金がある」「保険料の払い戻しがある」と電話をかけてくる手口です。
「今日中に手続きが必要」などとせかし、「ATMで手続きができる」と言って被害者を無人のATMに誘導します。
そして、電話で指示をしながらATMを操作させ、実際には被害者の口座から犯人の口座へお金を「振り込ませる」のが目的です。
ATMでお金が戻ってくる(還付される)操作は絶対にできません。
4. 架空料金請求詐欺
「有料サイトの未払い料金がある」「登録料が未納だ」といった内容のメールやSMS(ショートメッセージ)、ハガキを送り付けてくる手口です。
「本日中に連絡しないと裁判になる」「延滞金を請求する」などと脅し、連絡してきた被害者に対し、電子マネー(コンビニで購入できるギフトカードなど)で支払うよう要求するケースが多発しています。
被害に遭わないための具体的な対策
特殊詐欺の犯人は、私たちが冷静に考える時間を与えないように仕向けてきます。
被害を防ぐには、事前の対策が非常に重要です。
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在宅中でも留守番電話設定にする:
最も有効な対策の一つです。
犯人は自分の声を録音されることを嫌うため、留守番電話のアナウンスが流れると電話を切る可能性が高いです。
知り合いからの電話であれば、メッセージを残してくれるはずです。
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迷惑電話防止機能付き電話機を活用する:
電話が鳴る前に、相手に「この通話は録音されます」という警告メッセージを流す機能が付いた電話機は、詐欺の抑止に絶大な効果があります。
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「お金」と「キャッシュカード」の話は詐欺を疑う:
電話で「お金」や「キャッシュカード」「暗証番号」という言葉が出たら、たとえ相手が誰であっても、一度電話を切って詐欺を疑ってください。
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家族で「合言葉」を決めておく:
本人にしか分からない「合言葉」を家族で決めておくことも有効です。
例えば、ペットの名前や好きな食べ物など、他人が知り得ない情報を確認することで、本人かどうかを判断できます。
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すぐに相談する:
少しでも「おかしいな」と思ったら、一人で判断せず、すぐに家族や警察(#9110または最寄りの警察署)に相談してください。
犯人は「誰にも言わないで」と口止めをしますが、それこそが詐欺のサインです。
参考動画
まとめ
特殊詐欺は、もはや「オレオレ詐欺」という言葉だけではカバーしきれないほど多様化し、私たちのすぐそばに迫っています。
「自分は大丈夫」「騙されるはずがない」という思い込みが最も危険です。
犯人は、高齢者だけでなく、あらゆる世代の不安や優しさにつけ込んできます。
日頃から家族間でコミュニケーションを取り、最新の手口を共有し、「電話でお金の話が出たら切る」というルールを徹底することが、あなたとあなたの大切な家族の財産を守る最大の防御策となります。
関連トピック
フィッシング詐欺: EメールやSMS(ショートメッセージ)で実在する企業(銀行、ECサイト、配送業者など)を装い、偽のウェブサイトに誘導し、ID、パスワード、クレジットカード情報などを盗み取る詐欺です。
闇バイト: 特殊詐欺の「受け子(現金やカードを受け取る役)」や「出し子(ATMから現金を引き出す役)」を、SNSなどで高額報酬をうたって募集する手口です。
軽い気持ちで応募すると、犯罪組織の一員として逮捕される重大な犯罪です。
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺: SNSの広告やダイレクトメッセージを通じて接触し、投資や恋愛感情を利用して金銭をだまし取る詐欺です。
被害額が非常に高額になる傾向があります。
関連資料
警察庁「SOS47 特殊詐欺対策ページ」: 警察庁が運営する公式サイトで、最新の手口や被害状況、対策動画などが公開されています。
消費者ホットライン「188(いやや!)」: 詐欺かもしれないと不安に思った時に、専門の相談員に相談できる全国共通の電話番号です。
自動通話録音警告機: 現在使用している固定電話機に後付けできる機器で、多くの自治体で貸し出しや購入補助が行われています。

