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イスラム教だけじゃない!世界に実在する「他の宗教過激派」の実態と背景

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イスラム教だけじゃない!世界に実在する「他の宗教過激派」の実態と背景

「他の宗教過激派」の概要

「宗教過激派」と聞くと、多くの人がニュースで頻繁に取り上げられるイスラム過激派(アルカイダやISISなど)を思い浮かべるかもしれません。しかし、過激な思想や暴力行使を肯定する集団は、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教、ユダヤ教など、世界の主要な宗教すべてに存在します。

これらは宗教そのものの教えというよりも、政治的な対立、民族主義、あるいは排外主義と結びついた「歪んだ信仰」の結果として生まれることがほとんどです。本記事では、あまり知られていない「イスラム教以外の宗教過激派」の実態について解説します。

「他の宗教過激派」の詳細

1. 仏教過激派:平和の宗教の裏側

一般的に「平和の宗教」というイメージが強い仏教ですが、東南アジアの一部地域では、仏教ナショナリズムと結びついた過激な運動が起きています。

ミャンマー(969運動): 僧侶ウィラトゥ氏などが主導し、イスラム教徒(特に少数民族ロヒンギャ)を敵視する運動です。「仏教徒の国を守る」という名目で、イスラム教徒の商店の不買運動や、時には暴力的な排斥行為を扇動しました。

スリランカ(ボドゥ・バラ・セナ / BBS): シンハラ人仏教徒の至上主義を掲げる組織で、イスラム教徒やキリスト教徒に対する襲撃やヘイトスピーチに関与しているとされています。

2. キリスト教過激派:欧米に潜む暴力

欧米諸国を中心に、聖書の解釈を極端にねじ曲げたり、白人至上主義と結びついたりした過激派が存在します。

神の軍隊(Army of God): アメリカのプロテスタント系過激派組織です。人工妊娠中絶に激しく反対し、中絶を行うクリニックへの爆破や、医師の殺害などを「神の意志」として正当化してきました。

クリスチャン・アイデンティティー: 白人至上主義とキリスト教を融合させた運動で、KKK(クー・クラックス・クラン)などの人種差別団体とも深い関わりがあります。「白人こそが神に選ばれた民」とし、他民族を敵視します。

神の抵抗軍(LRA): ウガンダで活動した武装組織で、キリスト教の十戒に基づいた統治を掲げましたが、実際には少年兵の強制徴募や虐殺など残虐な行為を繰り返しました。

3. ヒンドゥー教過激派:ナショナリズムとの融合

インドでは、ヒンドゥー教を国の基盤とみなす「ヒンドゥー・ナショナリズム(ヒンドゥー至上主義)」が高まっています。

牛自警団: ヒンドゥー教で聖なる動物とされる「牛」を守るため、牛を屠殺したり牛肉を食べたりした疑いのある人(主にイスラム教徒や不可触民)を集団でリンチ(私刑)にする事件が近年相次いでいます。

過激な政治運動: 歴史的なモスク(イスラム礼拝所)を破壊し、ヒンドゥー教寺院を建設しようとする運動などが、大規模な暴動に発展することもあります。

4. ユダヤ教過激派:約束の地を巡る争い

イスラエルでは、旧約聖書の記述を根拠に「パレスチナ全土はユダヤ人の土地である」と主張する極右勢力が存在します。

価格タグ(プライス・タグ)政策: 急進的な入植者が、パレスチナ人の財産への放火や破壊を行う報復活動の総称です。

カハネ主義: かつて存在した極右政党「カハ」の流れを汲む人々で、アラブ人の追放やテロリズムを辞さない過激な主張を展開しています。1995年のラビン首相暗殺も、和平に反対するユダヤ教過激派の青年によるものでした。

5. 日本における事例:オウム真理教

日本において忘れてはならないのが「オウム真理教」です。仏教やヒンドゥー教、ヨガなどの要素を独自に混合させ、最終的には「日本国家の転覆」と「無差別テロ(地下鉄サリン事件)」を実行しました。これは、既存の宗教カテゴリに収まらない「カルト(破壊的カルト)」が、いかに過激化しうるかを示す世界的な事例となっています。

「宗教過激派」の参考動画

まとめ

宗教過激派の問題は、特定の宗教の教義そのものに欠陥があるというよりも、「信仰」が「政治的な武器」や「アイデンティティーを守るための盾」として利用された時に発生します。

どの宗教にも、平和を愛する大多数の信者がいる一方で、排外主義的な解釈を行う一部の過激派が存在します。「イスラム教=怖い」という偏見を持つのではなく、その背景にある貧困、政治的対立、ナショナリズムといった根本的な原因に目を向けることが、問題を正しく理解する第一歩となります。

関連トピック

宗教ナショナリズム(宗教的アイデンティティーと国家への所属意識を強く結びつけ、他宗教を排除しようとする政治思想)

原理主義(聖典の記述を字義通りに解釈し、近代的な世俗主義や科学的解釈を拒絶する立場)

カルト(特定の指導者を狂信的に崇拝し、反社会的な活動を行う宗教団体。新興宗教の一部に見られる)

ロヒンギャ問題(ミャンマーのラカイン州で、仏教徒中心の社会から迫害を受けているイスラム系少数民族の問題)

関連資料

『宗教と過激思想』(藤原聖子 著 / 中央公論新社)

『仏教のなかの男女観―原始仏教から法華経に至るジェンダー平等の思想』(植木雅俊 著 / 岩波書店 ※仏教の本来の姿と変容を知るための参考)

『イスラエル 人類の希望と絶望』(広瀬隆 著 / 集英社新書)

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