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『サイレント・インベージョン』が暴く中国の静かなる侵略とは?オーストラリアの警告と日本の未来

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『サイレント・インベージョン』が暴く中国の静かなる侵略とは?オーストラリアの警告と日本の未来

「サイレント・インベージョン」の概要

近年、国際社会で大きな波紋を呼んでいる書籍『サイレント・インベージョン(Silent Invasion)』。

オーストラリアの著名な倫理学者クライブ・ハミルトン教授によって執筆されたこの本は、中国共産党によるオーストラリアへの目に見えない浸透工作の実態を克明に描き出しました。

軍事力による威嚇ではなく、政治、経済、教育、メディアといった市民社会の深層に入り込み、内部からその国の主権を蝕んでいく「静かなる侵略」。

本書は、その衝撃的な内容ゆえに、中国当局からの激しい圧力や出版社の自己検閲に遭い、一度は出版中止の危機に追い込まれたことでも知られています。

しかし、刊行されるやいなやオーストラリア国内で大論争を巻き起こし、同国の法整備や外交方針を転換させる歴史的な一冊となりました。

本書が告発する現実は、同じく中国の隣国である日本にとっても決して対岸の火事ではありません。

本記事では、『サイレント・インベージョン』が明らかにした中国共産党の影響力工作の手口とその恐ろしさ、そして私たちが民主主義を守るために何をすべきかを詳細に解説します。

「サイレント・インベージョン」の詳細

「静かなる侵略」とは何か

『サイレント・インベージョン』の核心となるテーマは、中国共産党による「影響力工作(インフルエンス・オペレーション)」です。

これは、伝統的なスパイ活動や軍事的圧力とは一線を画します。

その目的は、相手国の世論や政策決定プロセスを、中国共産党の利益になるように誘導することにあります。

ハミルトン教授は、これを「目に見えぬ侵略」と呼びました。

具体的には、政治家への献金を通じた買収、大学や研究機関への資金提供による学問の自由の侵害、華僑コミュニティや中国人留学生の動員によるデモ活動、メディアの買収による言論統制などが挙げられます。

これらはすべて、合法的な活動や経済活動を装って行われるため、発覚しにくく、気づいたときには手遅れになっていることが多いのが特徴です。

オーストラリアで起きた戦慄の事例

本書では、オーストラリアがどのようにして中国の「実験場」とされてきたかが、膨大な取材と証拠に基づいて詳述されています。

最も衝撃的だったのは、オーストラリアの連邦議員が中国系実業家からの献金を受け取り、南シナ海問題で中国の立場を擁護する発言をした事件です(サム・ダスティヤリ議員辞任事件)。

また、ある大学では、中国共産党に批判的な講義を行った講師に対し、中国人留学生たちが組織的に抗議を行い、大学側が謝罪に追い込まれるという事態も発生しました。

さらに、中国企業がオーストラリアの重要インフラであるダーウィン港の99年間のリース契約を取得するなど、安全保障上の懸念も現実のものとなりました。

これらの事例は、中国マネーへの依存がいかに国家の自律性を損なうかを生々しく示しています。

統一戦線工作部の暗躍

ハミルトン教授が本書で特に警鐘を鳴らしているのが、中国共産党の組織「統一戦線工作部」の存在です。

この組織は、毛沢東が「魔法の武器」と呼んだもので、党外の人物や組織を取り込み、共産党の友人を増やし、敵を孤立させることを任務としています。

海外においては、現地の華人コミュニティやビジネスリーダー、政治家、学者などをターゲットにし、「中国の物語」を世界に広めるための手先として利用します。

彼らは「日中友好」や「豪中友好」といった美しい言葉の裏で、巧みに相手国の意思決定に入り込みます。

ハミルトン教授は、オーストラリア国内の親中派エリートたちが、知らず知らずのうちに、あるいは意図的に、この統一戦線工作に取り込まれ、中国の代弁者となっている現状を鋭く批判しました。

出版妨害と自己検閲の闇

『サイレント・インベージョン』自体が、中国の影響力工作の被害を受けたという事実も重要です。

当初、ハミルトン教授の原稿は大手出版社から刊行される予定でしたが、中国政府からの報復訴訟を恐れた出版社が、直前になって出版をキャンセルしました。

その後も複数の出版社が同様の理由で断り続け、オーストラリアの出版界における「自己検閲」の深刻さが露呈しました。

最終的に、勇気ある独立系出版社が引き受けたことで世に出ましたが、この経緯自体が、中国の力がすでにオーストラリアの言論の自由を脅かしていることの証明となりました。

日本への警告と示唆

本書の内容は、そのまま日本にも当てはまります。

日本も中国と深い経済関係にあり、多くの中国人留学生や労働者を受け入れています。

政界や財界には親中派と呼ばれる有力者が多数存在し、メディアや学術界でも中国への過度な配慮が見られることがあります。

ハミルトン教授は、日本語版の出版に際し、日本もまた「サイレント・インベージョン」の標的であり、すでに深く浸透されている可能性があると警告しています。

オーストラリアの事例は、民主主義国家がいかにして独裁国家の巧妙な手口に対抗し、自国の主権と価値観を守るべきかという、重い課題を私たちに突きつけています。

「サイレント・インベージョン」の参考動画

この動画は、『サイレント・インベージョン』の翻訳者が、著者がどのようにして中国の静かなる侵略に気づき、この衝撃的な本を書くに至ったかの背景を詳しく解説しており、書籍の内容をより深く理解するために非常に役立ちます。

まとめ

『サイレント・インベージョン』は、単なる中国批判の書ではありません。

それは、自由と民主主義、そして国家の主権を守るための戦いの記録です。

クライブ・ハミルトン教授が明らかにしたのは、中国共産党が「シャープパワー」と呼ばれる新たな力を使い、情報の操作やエリート層の取り込みを通じて、他国を意のままに操ろうとする冷徹な戦略でした。

オーストラリアはこの本をきっかけに目覚め、外国干渉防止法を制定するなど、中国への対抗姿勢を鮮明にしました。

翻って日本はどうでしょうか。

経済的利益を優先するあまり、目に見えぬ侵略に目を瞑ってはいないでしょうか。

私たち一人一人が、情報の真偽を見極めるリテラシーを持ち、政治や社会の動きを監視していくことが求められています。

この本は、私たちが当たり前のように享受している自由が、決してタダではないことを教えてくれます。

関連トピック

統一戦線工作部

中国共産党の組織の一つで、党外の個人や団体と連携し、党の目標達成のために利用する政治工作機関。海外では、現地の政治家や有力者への接近、世論誘導などを担う。

シャープパワー

軍事力(ハードパワー)や文化的な魅力(ソフトパワー)とは異なり、情報の検閲や操作、威圧などを通じて他国の政治や情報環境を突き刺すように侵害する力のこと。

孔子学院

中国政府が世界各国の大学などと提携して設置している中国語・中国文化教育機関。表向きは文化交流だが、実際にはプロパガンダの拡散や学術スパイ活動の拠点となっている疑いが持たれている。

国防動員法

2010年に中国で施行された法律。有事の際、国務院や中央軍事委員会が、中国国内の資源や組織だけでなく、海外に住む中国人も含めて動員できる権限を持つとされる法律。

関連資料

『目に見えぬ侵略:中国のオーストラリア支配計画』(飛鳥新社)

クライブ・ハミルトン著、山岡鉄秀監訳、奥山真司訳。本記事のテーマとなった衝撃の告発書。オーストラリアでの事例を詳細に解説している。

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『見えない手:中国共産党は世界をどう作り変えるか』(飛鳥新社)

クライブ・ハミルトン、マレイケ・オールバーグ共著。本書の続編にあたり、オーストラリアだけでなく、北米や欧州、国際機関における中国の工作活動を包括的に調査した一冊。

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『オーストラリアが中国に「侵略」されるとき』(産経新聞出版)

本書と関連して、オーストラリア在住の日本人などの視点から、現地で起きている変化や危機的状況をレポートした書籍。

衝撃!禁断の書『サイレント・インベージョン』徹底解説① 衝撃!禁断の書『サイレント・インベージョン』徹底解説①

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