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【あがり症・赤面症】努力しても治らないのは「社交不安症(SAD)」かもしれません〜後悔しない病院選びと心の準備〜

How To
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ある相談者さんの例

「知らない人や大勢の人の前で話すのがつらい」「顔が真っ赤になり、呼吸が荒くなってしまう」……。こうした悩みを抱え、社会人になってからご自身でスピーチの本を読み漁り、事前の練習を念入りに行い、自律訓練法まで試すなど、相談者さんは今日まで本当にできる限りの努力を尽くされてきました。

しかし、どれだけ場数を踏んでも改善されず、ふと周りを見渡せば「事前の練習など何もしなくても、普通に話せている人がたくさんいる」という事実に気づいた時、「もしかして、自分は病気なのではないか?」と疑念を抱かれたことでしょう。

その直感は、おそらく正しいものです。相談者さんがこれまで一人で抱えてきた苦しみは、単なる性格の問題や「あがり症」ではなく、「社交不安症(SAD:Social Anxiety Disorder)」という治療可能な疾患である可能性が非常に高いと考えられます。

本記事では、相談者さんのこれまでの努力と症状を整理し、なぜ市販の本や気合だけでは治らなかったのか、そしてご自身に合った病院(心療内科・精神科)を選ぶポイントや、受診までの心の準備について、専門的な視点からわかりやすく解説します。


【結論】相談者さんの症状は「甘え」でも「努力不足」でもなく、「社交不安症」という病気です

結論からお伝えしますと、相談者さんが経験している一連の症状は、「社交不安症(SAD)」の典型的なサインです。

社交不安症とは、人前で話したり、注目を浴びたりする状況に対して、強い不安や恐怖を感じる病気です。脳内の「不安を感じるセンサー(扁桃体など)」が過敏に反応してしまい、自分の意志とは無関係に、赤面、動悸、息苦しさといった身体症状が現れてしまいます。

これまで相談者さんが「場数」を踏んだり「練習」をしたりしても効果がなかったのは、これが「気合や慣れで解決できるメンタルの問題」ではなく、「脳の神経伝達物質のバランスの乱れ」によって引き起こされている医療的な課題だからです。だからこそ、「何もしなくても普通に話せる人がいる」のです。彼らは努力しているから話せるのではなく、脳のセンサーが過剰反応していないだけなのです。


相談者さんの症状と心理メカニズムの整理

ご自身の状況を客観的に見つめ直すために、相談者さんが抱えている苦しみのメカニズムを整理してみましょう。

1. 「あがっている自分(普通ではない状態)」を見られることへの恐怖

相談者さんにとって最も苦痛なのは、「うまく話せないこと」そのもの以上に、「顔が赤くなったり、呼吸が荒くなったりしている自分の表情や状態を、他人にじろじろ見られること」ではないでしょうか。

心理学ではこれを「評価への恐怖」と呼びます。「普通ではないと思われたらどうしよう」「変な人だと思われたくない」という強い思いがプレッシャーとなり、さらに症状を悪化させるという悪循環(予期不安)に陥っている状態です。

2. デパス(抗不安薬)が効いたという「明確な証拠」

相談者さんは「自分が病気ではないか?」と疑い、会議の前に抗不安薬であるデパス(エチゾラム)を服用してみました。その結果、普段よりかなり普通に話ができ、言いたいことも発言できたのですね。

実は、この「抗不安薬を飲んだら劇的に症状が改善した」という事実こそが、相談者さんの症状が「脳の化学的な反応(病気)」であることの何よりの証明です。デパスは、脳の過剰な興奮を強制的に鎮めるお薬だからです。

3. デパスの限界と「会議中に眠くなる」危険性

しかし、デパスには「強い眠気」や「筋肉の弛緩」、そして長期服用による「依存性」という厄介な副作用があります。会議で発言できるようになっても、眠気に襲われて居眠りをしてしまっては、社会人としての評価に関わる本末転倒な事態になりかねません。

だからこそ、「一時しのぎの薬」ではなく、根本から不安を改善していくための「医師による適切な治療」が必要なのです。


自分に合った「病院選び」3つのポイント

社交不安症の治療には、精神科や心療内科を受診することが第一歩となります。しかし、「どの病院に行けばいいのかわからない」と迷ってしまいますよね。後悔しないための病院選びのアドバイスを3つにまとめました。

ポイント1:「社交不安症(SAD)」の治療実績や記載があるか

病院のホームページを確認し、診療案内のページに「社交不安症(SAD)」や「あがり症」「対人恐怖」といったキーワードが明記されているクリニックを選びましょう。これらの疾患に理解が深い医師であれば、相談者さんの「あがっている姿を見られるのが嫌だ」という複雑な心情もスムーズに理解してくれます。

ポイント2:薬の相談(副作用の悩み)にしっかり乗ってくれるか

相談者さんはすでに、「デパスは効くけれど、眠くなって会議に支障が出る」という非常に重要なデータを持っています。この経験を伝えた時に、「では、眠気が出にくいお薬(SSRIなどの抗うつ薬など、社交不安症の根本治療に使われる薬)に変えていきましょう」と、生活スタイルに合わせて親身に薬の調整をしてくれる医師を探すことが重要です。口コミサイトなどで「話をよく聞いてくれる先生だ」という評判があるかどうかも参考にしてみてください。

ポイント3:通いやすさと「心理療法(カウンセリング)」の有無

治療は数ヶ月〜半年以上など、ある程度の期間継続することが一般的です。そのため、ご自宅や職場から通いやすく、生活圏内からアクセスが良い場所を選ぶことが大切です。

また、薬物療法だけでなく、物事の捉え方を変える「認知行動療法」などのカウンセリングを併用できるクリニックであれば、より根本的な克服に繋がります。


受診までの「具体的な過ごし方」と「心の準備」

病院を予約してから実際に受診するまでの間、どのように過ごし、どう心の準備をすればよいのでしょうか。

1. 「自分は病気だったんだ」と、これまでの自分を許してあげる

まずは、「自分はダメな人間だ」「努力が足りないんだ」と自分を責めるのを完全にやめましょう。「インフルエンザにかかった人が気合で熱を下げられないのと同じで、自分も病気だったから仕方なかったのだ」と、これまでのつらい過去を許し、労ってあげてください。

2. 医師に伝えるための「症状メモ」を作っておく

いざ診察室に入ると、緊張してしまって言いたいことが言えなくなる可能性があります。まさに会議の時と同じ状況になってしまうかもしれません。そのため、以下のような内容をスマートフォンのメモ帳や紙に箇条書きでまとめておき、当日は「これを読んでください」と医師に見せるだけにしておくと非常に安心です。

  • 一番困っていること: 人前で話すと呼吸が荒くなり赤面する。あがっている自分を見られるのが苦痛。会議で発言できない。
  • これまでの努力: 本を読んだり自律訓練法を試したがダメだった。
  • 気づき: 普通に話せる人が多いので、自分は病気だと思った。
  • 薬の経験: デパスを飲んだら普通に話せたが、眠気が強くて会議中に危険を感じた。眠気が出ない治療法を探している。

3. 無理に「場数」を踏むのを一旦やめる

治療が本格的に始まり、お薬の効果が出てくるまでは、無理にスピーチの機会を引き受けたり、自分を追い込んだりするのは一旦お休みしましょう。今は「心を休ませて、正しい治療のレールに乗るための準備期間」だと割り切ることが大切です。


まとめ:相談者さんはもう、一人で戦わなくていい

これまで、誰にも理解されにくい「あがり症」という苦しみの中で、社会人として必死に解決策を模索し続けてこられた相談者さんの行動力は、本当に素晴らしいものです。

「自分は病気なのではないか?」と自ら気づき、原因を突き止めたこと。そして、副作用のリスク(眠気)にも冷静に気づけたこと。これらはすべて、相談者さんがご自身の人生をより良くしようと前を向いている確かな証拠です。

社交不安症は、適切な薬物療法と医師のサポートがあれば、確実に「普通に話せる日常」を取り戻していくことができる病気です。もう、一人でスピーチの本を読み漁ったり、眠気に耐えながら薬を飲んだりする必要はありません。医療という「正しいプロの力」を借りて、少しずつ、相談者さんが本来持っている力を発揮できる環境を整えていきましょう。

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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