激安ECの巨人「Temu」と「SHEIN」徹底比較！安さの理由と危険性、どっちがおすすめ？

「Temu」と「SHEIN」の概要

「Temu（テム）」と「SHEIN（シーイン）」は、いずれも中国発の越境ECサイトであり、その圧倒的な安さと品揃えで世界中の消費者を熱狂させています。

SHEINは主にZ世代の女性をターゲットにした「アパレル」に特化し、Temuは日用品から家電まで何でも扱う「総合ディスカウントストア」のような立ち位置で急成長しました。

しかし、その安さの裏には、品質問題や労働環境、知的財産権の侵害など、様々な懸念点も指摘されており、両社は現在、泥沼の訴訟合戦を繰り広げています。

最大の違いは「取り扱いジャンル」と「ビジネスモデル」にあります。

SHEINは、AIを活用してトレンドを即座に分析し、少量多品種を短期間で生産する「オンデマンド生産」を強みとするファッションブランド（D2C）です。

一方、Temuは中国のIT大手「PDDホールディングス」を親会社に持ち、多数の工場やサプライヤーが出店する「マーケットプレイス」形式をとっており、服だけでなく、ガジェット、工具、ホーム用品など、Amazonのような幅広い品揃えが特徴です。

両社に共通するのは、中間業者（商社や問屋）を徹底的に排除し、中国の工場から消費者に直接商品を届ける「工場直送（FtoC）」モデルです。

さらに、各国の免税措置（少額輸入貨物の関税免除など）を最大限に利用することでコストを抑えています。

特にTemuは、市場シェアを獲得するために巨額のマーケティング費用を投じ、赤字覚悟のクーポン配布や送料無料キャンペーンを行っているとも言われています。

現在、この2社はアメリカを中心に激しい法廷闘争を繰り広げています。

SHEINはTemuを「デザインの盗用」や「営業秘密の侵害」で訴え、対するTemuはSHEINを「サプライヤーへの不当な圧力（独占禁止法違反）」で訴えています。

この争いの中で、お互いに相手の「強制労働への関与」や「知的財産権の侵害」を暴露し合う事態となっており、消費者にとっては両社の抱えるリスクが浮き彫りになる形となりました。

安さは魅力的ですが、安全性には十分な注意が必要です。

韓国や欧米の調査機関からは、両社の一部商品（子供服、アクセサリー、水着など）から、基準値を大幅に超える発がん性物質（鉛、カドミウム、フタル酸エステルなど）が検出されたという報告が相次いでいます。

また、アプリによる過剰な個人データ収集も懸念されており、セキュリティ専門家からは、メインのクレジットカードではなく、PayPalや使い捨てのバーチャルカードを利用するよう推奨されています。

TemuとSHEINは、インフレに苦しむ消費者にとって「救世主」のような存在ですが、その利用には「自己責任」が強く求められます。

「使い捨ての雑貨」や「イベント用の衣装」として割り切って使う分には非常に便利ですが、肌に直接触れるものや子供用品、高価な家電などの購入には慎重になるべきです。

「安かろう悪かろう」のリスクを理解し、決済方法や個人情報の管理に気をつけながら、賢く使い分けるのが現代のショッピング術と言えるでしょう。