【家賃が払えない】退職してなくてもOK?「住居確保給付金」の受給条件と申請方法を徹底解説
住居確保給付金の概要と「最大の誤解」
「今月のシフトが減らされて家賃が払えない」「自営業の売り上げが激減して立ち退きを迫られそう」。
人生の予期せぬピンチにおいて、最も恐ろしいのは「住む場所を失うこと」です。
そんな事態を防ぐために国が用意しているセーフティネットが「住居確保給付金(じゅうきょかくほきゅうふきん)」です。
この制度について、「失業した人(無職)しか使えない」と勘違いしている方が非常に多いのですが、実は2025年現在、「会社を辞めていなくても(就業中でも)」収入が減って生活が苦しい場合に対象となることをご存知でしょうか?
原則返済不要で、自治体が大家さんに直接家賃を振り込んでくれるこの強力な制度。
本記事では、意外と知られていない「対象者の広さ」と、申請に必要な「年収・貯蓄の条件」、そして受給するための「求職活動のルール」について分かりやすく解説します。
住居確保給付金の詳細:受給条件と申請の流れ
住居確保給付金とは? 返済不要の「家賃補助」
住居確保給付金は、生活困窮者自立支援制度の一つです。
経済的な理由で住居を失うおそれがある人に対し、国と自治体が連携して「原則3ヶ月間(最大9ヶ月間)」、家賃相当額(上限あり)を支給します。
最大の特徴は、現金が本人に渡されるのではなく、「自治体から大家さん(または管理会社)へ直接振り込まれる」点です。
これにより、確実に家賃の支払いが履行され、立ち退きのリスクを即座に回避することができます。
最大の誤解:「働きながら」でも貰える!
制度開始当初は「離職・廃業から2年以内」という条件が厳格でしたが、コロナ禍を経て要件が恒久的に緩和されています。
現在は、以下の状態であれば、会社員やパート、フリーランスとして働いていても申請可能です。
- 「個人の責任・都合によらない理由で、給与などが減少し、離職や廃業と同程度の状況にあること」
具体的には、「会社の業績悪化でシフトをカットされた」「病気で勤務日数を減らさざるを得なかった」「請負契約が打ち切られて売上が減った」といったケースが該当します。
「仕事を辞めてハローワークに行かないと貰えない」というのは過去の話なのです。
クリアすべき3つのハードル(審査基準)
もちろん、誰でも貰えるわけではありません。主に以下の3つの基準をクリアする必要があります。
- 収入要件: 世帯全員の収入の合計が、「基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額」以下であること。
(例:東京都区部で単身の場合、月収13.8万円以下など。※自治体により異なります)
- 資産要件: 世帯全員の預貯金・現金の合計が一定額以下であること。
(例:東京都区部で単身の場合、50.4万円以下など)
- 求職活動要件: これが最も重要です。この給付金は「生活保護」ではなく「自立支援」なので、「受給期間中に収入を増やして自立する努力」が義務付けられます。
・ハローワークに登録し、月2回以上の職業相談を行う。
・または、自営業者の場合は経営改善のための活動を行う(自治体により運用が異なります)。
支給額と期間
- 支給額: 自治体ごとに定められた「家賃額」を上限に、実費が支給されます(生活保護の住宅扶助額が目安)。共益費や管理費は対象外です。
- 支給期間: 原則3ヶ月です。ただし、誠実に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない(収入が回復しない)場合は、2回まで延長が可能で、最長9ヶ月間受給できます。
どこに相談すればいい?
窓口は市役所そのものではなく、自治体が設置している「自立相談支援機関」です。
「〇〇市 住居確保給付金」で検索するか、市役所の福祉課に問い合わせて窓口の場所を確認してください。
相談は無料ですが、申請には給与明細や通帳の写し、賃貸借契約書など多くの書類が必要になるため、まずは電話での事前相談をお勧めします。
住居確保給付金の参考動画
まとめ:貯金が尽きる前に相談を
住居確保給付金は、「家賃滞納=即退去」という最悪のシナリオを防ぐための最後の防波堤です。
「まだ働いているから」「貯金が少しあるから」と遠慮して、借金で家賃を払うようなことは避けてください。貯金が尽きる前、家賃を滞納してしまう前に相談することが、早期の生活再建への鍵となります。
この制度は、納税者であるあなたが困った時に使う正当な権利です。恥ずかしがらずに、まずはお住まいの地域の自立相談支援機関へ連絡してみてください。
関連トピック
自立相談支援機関: 生活に困っている人の相談を受け付け、どのような支援が必要かプランを作成してくれる専門窓口。
生活保護: 住居確保給付金でも生活が立て直せない場合の次のセーフティネット。資産要件などがより厳格になる。
社会福祉協議会: 生活福祉資金(緊急小口資金など)の貸付を行っている組織。住居確保給付金とセットで相談されることが多い。
住宅扶助: 生活保護制度の中で、家賃分として支給されるお金のこと。住居確保給付金の上限額と同額であることが多い。
関連資料
厚生労働省「住居確保給付金」特設ページ: 制度の最新情報や、自立相談支援機関の検索が可能。
各自治体のホームページ: 具体的な収入基準額や必要書類リストは、住んでいる地域のサイトで確認するのが確実です。

