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【通勤災害】コンビニや保育園の送迎は対象?「寄り道」の境界線と、健康保険を使ってはいけない「損する理由」

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【通勤災害】コンビニや保育園の送迎は対象?「寄り道」の境界線と、健康保険を使ってはいけない「損する理由」

通勤災害の概要と「寄り道」の誤解

通勤途中に転んでケガをしたり、交通事故に遭ったりした場合、条件を満たせば「労災保険(通勤災害)」が適用され、治療費が全額タダになることをご存知でしょうか?

しかし、多くの人が迷うのが「寄り道」の扱いです。
「帰りにスーパーで買い物をした」「子供を保育園に迎えに行った」「コンビニでトイレを借りた」。

こうした日常生活でよくある「ちょっとした寄り道」をした後に事故に遭った場合、労災は下りるのでしょうか?

また、病院の窓口で「仕事中のケガではないので」とうっかり健康保険証を出してしまうと、後で面倒な手続きや金銭的な損が発生するリスクがあります。

本記事では、意外と知らない通勤災害の「OK・NG境界線」と、健康保険ではなく労災保険を使うべき決定的なメリットについて徹底解説します。

通勤災害の「OK・NG境界線」と健康保険利用のリスク

通勤災害の基本:寄り道をすると労災は降りない?

原則として、通勤とは「自宅と会社の往復」を指し、合理的な経路から外れたり(逸脱)、通勤と関係ない行為(中断)を行ったりした場合は、その後の移動も含めて労災の対象外となります。

しかし、これには「日常生活上必要な行為」という重要な例外ルールがあります。
国が定めた特定の行為であれば、「寄り道をしている最中」は対象外ですが、「元のルートに戻った後」は再び通勤災害の対象として認められるのです。

OKな寄り道・NGな寄り道 具体例

どこまでが「日常生活上必要な行為(例外)」として認められるのでしょうか?

OK:認められる寄り道の例(元のルートに戻れば対象)

  • 日用品の購入: スーパーで惣菜を買う、コンビニでお弁当や雑誌を買う。
  • 子供の送迎: 保育園や幼稚園へ子供を送り迎えする(※)。
  • 病院への通院: 風邪や持病の治療のためにクリニックに寄る。
  • 選挙の投票: 投票所に立ち寄る。
  • 理美容: 床屋や美容院に行く。
  • 「ささいな行為」: 公衆トイレを使う、自販機でジュースを買う、駅の売店でガムを買う。これらは「逸脱・中断」とすらみなされず、行為中も通勤と扱われます。

※注意:これらは「行為が終わって通勤経路に戻ってから」の事故が対象です。スーパーの中で転んだ場合は(通勤災害ではなく)私的な事故となります。

NG:認められない寄り道の例(その後家に帰るまでも対象外)

  • 飲酒・飲食: 同僚と居酒屋で飲み会をする、映画館に行く、麻雀をする。
  • 趣味・習い事: 趣味のサークル活動や、単なるレジャーのための買い物。

これらの行為を行った時点で「通勤」は終了したとみなされ、その後に家に帰る途中で事故に遭っても、原則として労災は下りません。

なぜ「健康保険」を使ってはいけないのか?

通勤中のケガで病院にかかる際、絶対にやってはいけないのが「健康保険証を使うこと」です。理由は以下の3点です。

  1. 法律違反のリスク: 健康保険は「業務外(プライベート)」の病気やケガを治すための制度です。仕事や通勤が原因のケガに使うことは法律で禁止されています。
  2. 治療費の自己負担: 健康保険を使うと「3割負担」が発生しますが、労災保険なら「自己負担ゼロ(全額無料)」です。入院や手術が必要な大ケガの場合、この差は数十万円にもなります。
  3. 切り替え手続きの地獄: 間違って健康保険を使ってしまった場合、後から労災に切り替える手続きは非常に煩雑です。一時的に健康保険負担分(7割)を自腹で保険組合に返還し、その後で労災へ請求し直すなど、多大な手間と一時的な出費が発生します。

労災ならではの手厚い「休業補償」

ケガで会社を休むことになった場合も、労災保険の方が圧倒的に有利です。

  • 健康保険(傷病手当金): 給料の約67%。支給開始まで待機期間(3日間)あり。
  • 労災保険(休業給付): 給料の約80%(休業給付60%+特別支給金20%)。待機期間はあるが、その間も会社から補償を受けられる場合が多い。

通勤災害の解説動画

まとめ:自己判断せず「労災」の申告を

「ちょっとコンビニに寄っただけだから労災は無理かも」と自己判断して健康保険を使うのは、非常にもったいないだけでなく、制度上の誤りです。

日用品の買い物や子供の送迎など、生活に必要な寄り道であれば、その後に起きた事故はしっかりと守られます。

万が一、通勤中にケガをした場合は、病院の窓口でハッキリと「通勤中のケガです。労災を使います」と伝えてください。
その一言が、あなたと家族の生活を守るための最初の一歩となります。

関連トピック

第三者行為災害: 通勤中の交通事故など、相手(加害者)がいる事故のこと。自賠責保険と労災保険のどちらを使うか選択・調整が必要になる。

様式第16号の3: 通勤災害で病院にかかる際に提出する申請書の名前(柔道整復師の場合は様式が異なる)。

ささいな行為: 経路上の自販機で飲み物を買う、トイレに寄るなど、通勤の逸脱・中断とはみなされない軽微な行為のこと。

関連資料

厚生労働省パンフレット「労災保険 通勤災害の認定について」: どのようなケースが対象になるか、図解入りで詳しく解説された公式資料。

各都道府県労働局のHP: 申請書類のダウンロードや、管轄の労働基準監督署の連絡先が掲載されています。

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