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【泣き寝入りしない】犯人にお金がなくても国が補償?知られざるセーフティネット「犯罪被害者給付金」の仕組み

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【泣き寝入りしない】犯人にお金がなくても国が補償?知られざるセーフティネット「犯罪被害者給付金」の仕組み

犯罪被害者給付金制度の概要

「通り魔に刺されて大怪我を負った」「泥酔した人に殴られて後遺症が残った」。

ある日突然、理不尽な犯罪に巻き込まれた時、被害者やその家族を次に襲うのは「経済的な絶望」です。

治療費、休業中の生活費、あるいは葬儀代。当然、犯人に請求すべきものですが、現実は残酷です。加害者の多くは支払い能力がなく、裁判で勝訴しても「無い袖は振れない」と踏み倒され、被害者が泣き寝入りするケースが後を絶ちません。

そんな理不尽な状況を救うために、国が加害者に代わって一時金として給付金を支給する制度が「犯罪被害者給付金制度」です。

殺人や傷害などの「故意の犯罪行為」によって被害を受けた場合、遺族年金や障害給付金などが支給されるこの制度。

本記事では、あまり知られていないこの制度の対象となる条件、支給される金額の目安、そして申請の「期限」について徹底解説します。

制度の詳細:対象者と給付の種類

残酷な現実:犯人はお金を払ってくれない

犯罪被害に遭った際、加害者に対する損害賠償請求(民事)は可能ですが、内閣府の調査などによると、実際に損害賠償が支払われるケースは極めて少ないのが実情です。

加害者が刑務所に入ってしまえば収入はなく、出所後も職に就けず、賠償能力がないことがほとんどだからです。
被害者は「身体の痛み」と「経済的困窮」の二重の苦しみを背負うことになります。これを社会全体で支えるのが本制度の目的です。

どんな時に貰える? 対象となる「故意の犯罪」

日本国内または日本国外にある日本船舶・航空機内で、「人の生命または身体を害する罪に当たる行為(故意の犯罪行為)」により、死亡、重傷病、または障害を負った場合が対象です。

  • 対象例: 通り魔殺人、強盗致傷、傷害事件(殴打など)、放火による死傷など。
  • 対象外: 過失による事故(交通事故など※)、正当防衛による被害など。
    • ※交通事故は「自賠責保険」などの別制度が優先されますが、ひき逃げや故意の車ぶつけなどは対象になる場合があります。

支給される3種類の給付金

被害の程度に応じて、以下の3種類が国(警察庁所管)から一時金として支給されます。

  1. 遺族給付金: 犯罪被害により亡くなった方の遺族(第一順位は配偶者)に支給されます。被害者の年齢や勤労収入に基づいて算定され、数百万円〜最高3,000万円程度が支給される可能性があります。
  2. 重傷病給付金: 療養期間が1ヶ月以上かつ入院3日以上を要するような重いケガや病気(PTSDなどの精神疾患も含む)を負った場合に支給されます。治療費の実費(自己負担分)と、休業損害の一部が補償されます。
  3. 障害給付金: 治療後に身体に障害が残ってしまった場合に支給されます。障害等級(1級〜14級)に応じて金額が決まります。

ここが注意点:減額や不支給になるケース

申請すれば必ず満額貰えるわけではありません。以下のような事情がある場合、減額されたり、支給されないことがあります。

  • 親族間の犯罪: 加害者が家族の場合、原則として対象外となります(給付金が加害者の手に渡るのを防ぐため)。ただし、DVなどで逃げている場合などは特例が認められることもあります。
  • 被害者にも落ち度がある場合: 喧嘩を自分から売った、暴力を誘発した、犯罪グループ間の抗争など、被害者側にも責任の一端がある場合は調整されます。
  • 労災保険などが使える場合: 公的補償が重複する場合は、他制度が優先され、その分が差し引かれます。

申請には「期限」がある!

最も重要なのが時効です。

  • 「犯人を知った日から2年」
  • 「犯罪被害が発生した日から7年」

この期間を経過すると、申請する権利が消滅してしまいます。
事件直後はパニック状態で手続きまで頭が回らないことが多いですが、警察の被害者支援窓口などがサポートしてくれます。

犯罪被害者支援の参考動画

まとめ:泣き寝入りせず相談を

「犯罪被害者給付金」は、決して「お恵み」ではなく、社会の治安維持を国に託している国民が持つ正当な権利です。

通り魔事件や理不尽な暴力は、誰の身にも起こり得ます。もし被害に遭ってしまい、加害者からの誠意ある対応が望めない場合は、一人で抱え込まず、最寄りの警察署の「犯罪被害者相談窓口」に相談してください。

お金ですべての傷が癒えるわけではありませんが、生活を立て直し、明日を生きるための命綱にはなり得ます。

関連トピック

犯罪被害者等支援条例: 国の制度とは別に、各自治体が独自に見舞金や転居費用の助成を行っている場合があります。住んでいる地域の制度も要確認です。

公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク: 警察とは別の民間支援団体。裁判への付き添いやカウンセリングなど、精神的なケアを含めたサポートを行っています。

回復給付金制度: 振り込め詐欺などの財産犯において、犯人から没収したお金を被害者に分配する別の制度。

関連資料

警察庁「犯罪被害者給付金制度のご案内」: パンフレットや申請書類の様式がダウンロードできる公式ページ。

日本司法支援センター(法テラス): 犯罪被害者支援の弁護士費用立替や相談を行っている機関。

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