eスポーツとは?ただのゲームではない「競技」としての魅力、市場規模、オリンピックの可能性を徹底解説
「eスポーツ」の概要
「eスポーツ(eSports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略称です。
これは、ビデオゲームやコンピューターゲームを用いた対戦を、スポーツ競技として捉える際の名称です。
単なる個人の趣味や遊びとしての「ゲーム」とは異なり、eスポーツには明確な競技ルールが存在し、高い技術を持つプレイヤー(プロゲーマー)たちが日々トレーニングを積んで競い合います。
近年では、その競技性の高さとエンターテイメント性から、世界中で急速に市場が拡大しています。
大規模な国際大会では、スタジアムに数万人の観客が集まり、インターネット配信を通じて数億人が熱狂するなど、従来のスポーツに匹敵するほどの盛り上がりを見せています。
「eスポーツ」の詳細
eスポーツの定義と歴史
eスポーツは、主にPC、家庭用ゲーム機、スマートフォンなどでプレイされる対戦型のゲームを競技として行うものです。
その歴史は、1970年代にアメリカの大学で開催されたゲーム大会にまで遡ることができますが、本格的に「eスポーツ」として認識され始めたのは1990年代後半から2000年代にかけてです。
特に、インターネットの普及が大きな転機となりました。
これにより、世界中のプレイヤーとオンラインで対戦することが可能になり、競技人口が爆発的に増加しました。
2000年代には韓国でeスポーツ専門のテレビチャンネルが開局し、プロリーグが発足するなど、アジアを中心に競技化が進行しました。
2010年代に入ると、Twitch(ツイッチ)などのライブストリーミング配信プラットフォームが登場し、誰でも気軽にトッププレイヤーの試合を観戦できるようになりました。
これが起爆剤となり、eスポーツは世界的な現象へと発展しました。
日本においては、2018年に「一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)」が設立され、プロライセンスの発行や大会の公認が行われるようになり、国内での普及と地位向上に向けた環境整備が進んでいます。
急成長するeスポーツ市場
eスポーツの市場規模は、世界的に驚異的なスピードで成長しています。
その収益源は、スポンサーシップ、広告、放映権料、チケット販売、関連グッズの売上など多岐にわたります。
特にアメリカや中国、韓国では市場が成熟しており、億単位の賞金がかけられた国際大会も珍しくありません。
世界のeスポーツ視聴者数は数億人に達すると言われており、その多くはデジタルネイティブな若年層です。
このため、多くのグローバル企業が、新たなマーケティングの場としてeスポーツチームや大会のスポンサーになっています。
日本のeスポーツ市場も、世界市場と比較すればまだ発展途上ではありますが、年々着実に成長を続けています。
国内でも様々な企業がeスポーツ分野に参入し、プロチームの発足や大会の開催が活発化しています。
eスポーツの主な競技ジャンル
eスポーツには、従来のスポーツにおける「種目」にあたる多様なゲームジャンルが存在します。
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MOBA(モバ) / マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ
複数のプレイヤーが2つのチームに分かれ、戦略を駆使して相手の本拠地を破壊することを目指すゲームです。
(代表タイトル:『League of Legends (LoL)』、『Dota 2』)
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FPS / ファーストパーソン・シューター
プレイヤー自身の視点(一人称視点)で、銃などの武器を用いて戦うゲームです。
(代表タイトル:『VALORANT』、『Counter-Strike』、『Apex Legends』)
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格闘ゲーム
1対1でキャラクターを操作し、相手の体力ゲージをゼロにすることを目指す対戦ゲームです。
日本が発祥のジャンルも多く、国内でも非常に人気があります。
(代表タイトル:『ストリートファイター』シリーズ、『鉄拳』シリーズ)
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スポーツゲーム
サッカー、野球、バスケットボールなど、実在のスポーツを題材にしたゲームです。
ルールが分かりやすいため、eスポーツ観戦の入門としても適しています。
(代表タイトル:『EA Sports FC』シリーズ、『eFootball』シリーズ)
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デジタルカードゲーム
デジタルのカードを集めてデッキ(山札)を構築し、戦略的にカードをプレイして対戦するゲームです。
(代表タイトル:『Hearthstone』、『Shadowverse』)
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RTS / リアルタイムストラテジー
リアルタイムで進行する時間の中で、資源を管理し、軍隊を編成して相手を制圧する戦略ゲームです。
「プロゲーマー」という職業
eスポーツの大会で賞金を獲得したり、プロチームに所属して給与を得たりすることで生計を立てている人々を「プロゲーマー」と呼びます。
彼らは、一般的なプロスポーツ選手と同様に、スポンサー企業と契約を結び、ユニフォームにロゴを入れて活動することもあります。
トッププロゲーマーになるためには、ゲームの操作技術はもちろんのこと、瞬時の判断力、高度な戦略的思考、強靭なメンタル、そしてチームメイトとの連携(コミュニケーション能力)が不可欠です。
彼らは日々、何時間にもわたる練習や戦略研究(座学)をこなし、大会での勝利を目指しています。
近年では、専門学校や高校にeスポーツ専攻が設置されるなど、プロゲーマーを目指すための環境も整いつつあります。
eスポーツの課題とオリンピックへの道
eスポーツは急速に発展する一方で、いくつかの課題も抱えています。
例えば、「ゲームはただの遊び」といった社会的な偏見、長時間プレイによる健康問題(眼精疲労や腰痛など)、ゲーム依存症への懸念などです。
また、競技タイトルが特定のゲーム開発元の運営方針に左右されるという、従来のスポーツにはない特有の問題もあります。
しかし、こうした課題を克服しようとする動きも活発です。
特に注目されているのが、オリンピックとの関係です。
国際オリンピック委員会(IOC)はeスポーツの可能性に注目しており、2023年には「オリンピックeスポーツシリーズ」を開催しました。
さらに、2024年7月には「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」の創設を決定し、早ければ2025年にも第1回大会が開催される可能性があります。
ただし、オリンピックで採用されるタイトルについては、暴力的な表現を含むFPSなどが「オリンピックの価値観にそぐわない」として議論の対象となっており、スポーツシミュレーションゲームなどが中心になると見られています。
参考動画
まとめ
eスポーツは、単なるビデオゲームの流行を超え、戦略、技術、チームワークが求められる「新しいスポーツ文化」として世界的に確立されつつあります。
その市場規模は拡大を続け、プロゲーマーという職業も現実的なキャリアパスとして認知され始めています。
日本国内においても、JeSUの設立や教育機関での取り組みが進み、社会的な理解が深まってきました。
オリンピック種目化への動きは、eスポーツが単なるエンターテイメントではなく、グローバルな「競技」であることを象徴しています。
「ゲームは子供の遊び」という価値観はもはや過去のものとなりつつあります。
まずは一度、プロプレイヤーたちの超人的なプレイスキルや、緻密に練られたチーム戦略がぶつかり合う、熱いeスポーツの試合を観戦してみてはいかがでしょうか。
関連トピック
プロゲーマー:
eスポーツの大会に出場し、賞金やスポンサー収入などで生計を立てるプロの選手です。
高いスキルと戦略性を持ち、日々のトレーニングを欠かしません。
ストリーマー:
TwitchやYouTubeなどの配信プラットフォームで、自身のゲームプレイやトークをライブ配信する人々のことです。
eスポーツのプロ選手がストリーマーとして活動することも多く、ファンとの交流の場となっています。
JeSU(日本eスポーツ連合):
日本国内におけるeスポーツの普及と発展を目指す統括団体です。
プロライセンスの発行や大会の認定、アスリートの育成支援などを行っています。
ゲーミングチーム:
複数のプロゲーマーが所属するチームのことです。
企業がスポンサーとなり、プロスポーツチームと同様に運営され、選手への給与支払いや練習環境の提供を行います。
関連資料
ゲーミングPC:
eスポーツで主流となるPCゲームを快適にプレイするために最適化された、高性能なパソコンです。
高い処理能力を持つCPUやグラフィックボード(GPU)を搭載しています。
ゲーミングチェア:
長時間のゲームプレイによる身体への負担を軽減するために設計された椅子です。
人間工学に基づいた設計で、正しい姿勢をサポートします。
『League of Legends (LoL)』:
世界で最もプレイヤー人口が多いとされるMOBAジャンルの代表的なeスポーツタイトルです。
毎年開催される世界大会「Worlds」は、世界中で数億人が視聴する巨大イベントとなっています。
『VALORANT』:
5対5で戦う、高い戦略性が求められるFPSジャンルの人気タイトルです。
日本国内でも多くのプロチームが存在し、活発に大会が開催されています。

