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【徹底比較】「補聴器」と「人工内耳」は何が違う?仕組み、適応基準、費用まで分かりやすく完全解説

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【徹底比較】「補聴器」と「人工内耳」は何が違う?仕組み、適応基準、費用まで分かりやすく完全解説

補聴器と人工内耳の違い・概要

「最近、耳が遠くなった気がする」「補聴器をつけても会話が聞き取れない」。

聴力に関する悩みは、高齢化社会が進む日本において誰にとっても身近な問題となりつつあります。

聞こえをサポートするデバイスとして最も有名なのは「補聴器」ですが、近年注目を集めているのが「人工内耳(じんこうないじ)」です。

「人工内耳って、すごく性能の良い補聴器のことじゃないの?」
「手術が必要と聞いたけれど、怖くないの?」

このように、両者の違いを正確に理解している方は意外と多くありません。

実は、補聴器と人工内耳は、音を届ける「仕組み」が根本的に異なり、対象となる難聴のレベルも全く異なります。

本記事では、難聴に悩むご本人やご家族のために、補聴器と人工内耳の決定的な違い、それぞれのメリット・デメリット、手術や費用のリアルな実情について、専門的な知見を交えて徹底解説します。

補聴器と人工内耳の詳細比較

根本的に違う「音の届け方」

まず理解すべき最大のポイントは、両者の役割の違いです。

補聴器(Hearing Aid):
「音を増幅するスピーカー」です。マイクで拾った音を大きくして、耳の奥へ届けます。
ただし、これには「内耳(蝸牛)にある有毛細胞が、ある程度生き残っていること」が条件となります。細胞が傷ついて機能していない場合、いくら音を大きくしても「うるさいだけで言葉として聞き取れない」という現象が起きます。

人工内耳(Cochlear Implant):
「耳の代わりをする電子機器」です。
補聴器では効果がない重度の難聴者に対し、機能しなくなった有毛細胞を飛び越えて、直接「聴神経」に電気信号を送ります。
つまり、音を大きくするのではなく、音を電気信号に変換して脳に届ける技術です。

補聴器:最初の一歩としての選択

一般的に、軽度〜高度の難聴の場合、まずは補聴器の装用から始まります。

最近の補聴器はデジタル技術の進化により、雑音抑制機能や指向性(話し相手の声を拾う機能)が飛躍的に向上しています。
また、スマートフォンと連携して電話の声を直接補聴器に飛ばすなど、ライフスタイルに合わせた使い方が可能です。

  • メリット:手術不要、手軽に試せる、デザインが豊富。
  • デメリット:有毛細胞の損傷が激しい場合、言葉の明瞭度が上がらないことがある。高額な機種は自費(数十万円)となることが多い。

人工内耳:音を取り戻す「最終手段」にして「新たな希望」

補聴器を装用しても「音は聞こえるが、言葉の内容が分からない」という状態が続く場合、人工内耳が検討されます。
人工内耳は、体内に埋め込む「インプラント」と、耳にかけて音を拾う「サウンドプロセッサ(体外機)」の2つで構成されます。

手術について

耳の後ろを切開し、蝸牛(かぎゅう)の中に電極を挿入する手術が必要です。所要時間は2〜3時間程度で、全身麻酔で行われます。近年は低侵襲(体への負担が少ない)手術が主流となり、入院期間も1週間〜10日程度と短縮されています。

「ロボットのような声」からのリハビリ

人工内耳で聞く音は、私たちが普段聞いている肉声とは異なり、最初は「電子音」「ロボットの声」「宇宙人の声」のように聞こえると言われます。
そのため、脳が新しい音の刺激を「言葉」として認識し直すための「聴覚リハビリテーション」が不可欠です。
術後すぐにペラペラ聞こえるわけではありませんが、数ヶ月〜数年のリハビリを経て、電話での会話が可能になるレベルまで回復する方も少なくありません。

費用と保険適用について

ここが大きな違いです。

補聴器:
原則として「自費購入」です。片耳数万円〜50万円以上と幅広いです。ただし、身体障害者手帳(聴覚障害)を持っている場合は、公費負担制度を利用して基準額以内の補聴器(または差額購入)が支給される制度があります。

人工内耳:
手術および機器本体には「健康保険」が適用されます。
高額療養費制度を利用すれば、自己負担額は一般的な手術と同程度(所得によりますが、月額数万円〜10万円程度)に抑えられます。
さらに、身体障害者手帳の等級によっては「自立支援医療」が適用され、自己負担がさらに軽減される場合がほとんどです。
つまり、初期費用としては、高性能な補聴器を自費で買うよりも安く済むケースが多いのです。

高齢者と人工内耳:年齢制限はある?

「もう歳だから手術は無理」と諦めている方もいますが、人工内耳に厳密な年齢制限はありません。
90代で手術を受け、再び家族との会話を楽しめるようになった事例も多数あります。
難聴は認知症の最大のリスク要因の一つとされており、脳への聴覚刺激を取り戻すことは、認知機能の維持やうつ予防の観点からも極めて重要視されています。

補聴器と人工内耳の参考動画

補聴器と人工内耳のまとめ

「補聴器」と「人工内耳」は、対立するものではなく、難聴の進行度合いに応じた「リレー走者」のような関係です。

補聴器で効果を感じられなくなってきた時、そこでコミュニケーションを諦めるのではなく、「人工内耳」という次の選択肢があることを知ってください。

かつては「全く聞こえない人のためのもの」でしたが、現在は「補聴器では言葉が聞き取りにくい人」へと適応が広がっています。

もし、ご自身やご家族が「補聴器をつけても会話が弾まない」と悩んでいるなら、一度、人工内耳の手術を行っている専門の耳鼻咽喉科医に相談してみることを強くお勧めします。

音のある世界を取り戻すことは、人生の豊かさを取り戻すことそのものです。

関連トピック

  • 残存聴力活用型人工内耳(EAS):低音域の聴力が残っている場合に、補聴器と人工内耳の機能をハイブリッドで利用する最新技術。
  • 新生児聴覚スクリーニング:生まれつき難聴を持つ赤ちゃんを早期発見し、早期に補聴器や人工内耳を活用して言語発達を促す取り組み。
  • 人工中耳:補聴器と人工内耳の中間に位置するデバイス。耳小骨を直接振動させて音を伝える。
  • 磁気誘導ループ(ヒアリングループ):公共施設などで、補聴器や人工内耳に直接音声を届ける支援設備。

関連資料

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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