富山県は「外国人雇用先進県」か、それとも「リスク多発県」か？データで見る雇用実態と、企業が担う治安維持の責任
「外国人雇用率と犯罪リスク」の概要
富山県では企業の37.2%が外国人を雇用しており、この割合は全国平均の24.7%を大きく上回る全国屈指の「外国人雇用先進エリア」です。しかし、雇用の急拡大は同時に、離職や失踪、そして外国人犯罪の増加というリスクも内包しています。
データを見ると、外国人雇用が進む地域ほど治安維持の課題に直面しやすい傾向がありますが、果たして富山県は他県と比べて「優位」と言えるのでしょうか？本記事では、雇用率と犯罪リスクの相関関係を読み解き、地域社会を守るために企業が果たすべき「人選・教育」の責任について徹底解説します。
詳細：雇用率の優位性と犯罪リスクの相関
データ比較：富山県の「雇用率」は圧倒的優位だが…
まず、富山県の立ち位置をデータで確認します。 帝国データバンクの調査によると、富山県内で外国人を雇用している企業の割合は37.2%に達し、全国平均の24.7%を12.5ポイントも上回っています。これは、東京都や愛知県といった大都市圏と比較しても、地域企業の「外国人受け入れの裾野の広さ」という点で非常に高い水準（優位性）にあります。
しかし、「雇用が多い＝成功している」とは限りません。全国的に見ると、茨城県や群馬県のように外国人（特に技能実習生）の比率が高い地域では、失踪者数や検挙件数も比例して多くなる傾向があり、富山県も同様の構造的リスクを抱えています。
犯罪率との相関：離職が招く「負の連鎖」
2023年（令和5年）の犯罪白書によると、全国の外国人による刑法犯検挙件数は前年比20.0%増の1万5,541件となり、再び増加傾向にあります。 ここで重要なのは、犯罪の多くが「正規の職を失った外国人」によって引き起こされているという点です。
- 離職・失踪の現状：低賃金や借金、職場での孤立を理由に、多くの外国人が職場から姿を消しています。特に技能実習生の場合、在留資格が職場と紐付いているため、離職＝即不法滞在となり、表社会で生きられなくなります。
- 犯罪への転落：職を失い生活に困窮すると、生きるために農作物の窃盗や万引きに手を染めたり、不法就労のネットワーク（闇バイト）に取り込まれたりするケースが後を絶ちません。
つまり、富山県のような「雇用率が高い県」は、企業の管理がずさんであれば、大量の「犯罪予備軍（離職者）」を生み出してしまうリスクと背中合わせなのです。
県別で見る優位差：勝敗を分けるのは「定着率」
では、県別で見たときに「優位さ」はあるのでしょうか？ 現状では、「雇用は多いが犯罪は極端に少ない」という理想的な県はデータ上明確ではありません。しかし、優劣を分ける決定的な要因は「定着率（離職させない力）」にあります。
単に労働力として「使い捨て」にする企業が多い地域は、治安が悪化し、結果として地域全体の評判を落として外国人が来なくなる「悪循環」に陥ります。一方で、富山県のように行政が「多文化共生推進室」を設置し、企業と連携して生活支援に乗り出している地域は、将来的に「犯罪が少なく、良質な人材が集まる」という真の優位性を確立できるポテンシャルがあります。
企業の責任：人選と教育こそが最強の防犯対策
地域の治安を守り、自社の優位性を保つために、企業には以下の「質」の転換が求められます。
1. 「人選」の責任：「誰でもいいから数合わせで採用する」のはリスクの温床です。日本語能力だけでなく、借金の有無や来日動機を確認し、自社で長く働ける人材かを見極める必要があります。
2. 「教育」の責任：業務マニュアルの整備はもちろん、日本の法律や生活ルール（ゴミ出し、交通ルールなど）を教えることは、彼らが地域で孤立し、犯罪に走るのを防ぐ「防波堤」となります。
3. 「離職防止」の責任：悩みを聞くメンターの配置や、適正な賃金設定など、彼らが「ここで働き続けたい」と思える環境を作ることが、結果として最強の犯罪抑止策となります。
外国人雇用と社会問題に関する参考動画
まとめ：企業の覚悟が地域を守る
富山県は、雇用の「量」においては全国屈指の優位性を持っています。しかし、その優位性を「地域の豊かさ」に繋げられるか、それとも「治安悪化の原因」にしてしまうかは、各企業の「人選と教育」にかかっています。
「採用して終わり」ではなく、「地域の一員として育てる」という覚悟を持つ企業が増えれば、富山県は外国人雇用における真の成功モデルとなるでしょう。
関連トピック
技能実習生の失踪問題（過酷な労働環境や借金苦から失踪し、不法滞在となるケース。犯罪の温床になりやすい）
多文化共生推進室（富山県が設置した外国人支援の専門部署。企業の枠を超えた地域ぐるみの支援を目指す）
不法就労助長罪（不法滞在者を雇用した企業に科される重い罪。知らなかったでは済まされない）
特定技能（一定の技能と日本語能力を持つ外国人を対象とした在留資格。実習生よりも定着が期待される枠組み）
関連資料
『令和6年版 犯罪白書』（法務省 / 外国人犯罪の最新動向と分析を掲載）
『外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査』（帝国データバンク / 富山県の雇用率データを提示）
『外国人材受入に係る現状・課題等に関する調査』（JICA / 地域の受け入れ課題に関する詳細レポート）
