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メニエール病とPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)の違いとは?症状、原因、最新の治療法まで徹底解説

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メニエール病とPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)の違いとは?症状、原因、最新の治療法まで徹底解説

「メニエール病」と「PPPD」の概要

「めまい」と一口に言っても、その原因や症状は多岐にわたります。

特に有名な「メニエール病」と、近年新たに診断基準が確立された「PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)」は、症状が似ているようで根本的に異なる疾患です。

メニエール病は「グルグルと激しく回る」回転性のめまいが発作的に起こるのが特徴です。

一方でPPPDは、「ふわふわする」「雲の上を歩いているよう」といった浮動感や不安定感が3ヶ月以上にわたって持続するのが特徴です。

両者は原因が異なるため、当然ながら治療法も全く異なります。

この記事では、「メニエール病とPPPD 概要」から「メニエール病 PPPD 違い」、そしてそれぞれの治療法について詳しく解説します。

「メニエール病」と「PPPD」の詳細

メニエール病とは?

メニエール病は、内耳にある「内リンパ」という液体が過剰に溜まる「内リンパ水腫」が原因で起こると考えられています。

なぜ内リンパが溜まるのか、その明確な原因はまだ特定されていませんが、ストレスや疲労、睡眠不足などが引き金になると言われています。

メニエール病の最大の特徴は、以下の3つの症状が「反復する(繰り返す)」ことです。

1. 回転性めまい: 突然、自分や周囲がグルグルと激しく回るようなめまい発作が起こります。

この発作は数十分から数時間続くことが多いです。

2. 難聴: めまい発作と連動して、特に低い音から聞こえにくくなる難聴が起こります。

発作が治まると聴力も回復することが多いですが、繰り返すうちに難聴が進行する場合もあります。

3. 耳鳴り・耳閉感: 「ジー」「キーン」といった耳鳴りや、耳が詰まったような感覚(耳閉感)を伴います。

メニエール病の診断は、これらの特徴的な症状の反復を確認し、他の疾患を除外することで行われます。

PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは?

PPPD(Persistent Postural-Perceptual Dizziness)は、日本語で「持続性知覚性姿勢誘発めまい」と呼ばれる、比較的新しい(2017年に提唱された)めまいの疾患概念です。

慢性的なめまい(3ヶ月以上続くめまい)の原因として最も多いのが、このPPPDであると報告されています。

PPPDの症状は、メニエール病のような激しい回転性めまいではありません。

主な症状は、「ふわふわする浮動感」「ぐらぐらする不安定感」「雲の上を歩いている感じ」といった非回転性のめまいが、3ヶ月以上にわたってほぼ毎日続くことです。

PPPDが起こるメカニズムと悪化要因

PPPDの興味深い点は、その発症のきっかけにあります。

PPPDは、メニエール病、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、前庭神経炎といった急性のめまい発作を経験した後に発症することが多いのです。

急性めまいが治ったにもかかわらず、脳がその時の「危ない」という感覚を過剰に記憶してしまい、バランス感覚を制御するシステム(視覚、内耳、足の裏の感覚)の情報をうまく統合できなくなる(脳の誤作動)ことが原因と考えられています。

そのため、PPPDは耳の病気(器質的疾患)というより、脳の機能不全(機能性疾患)とされています。

PPPDの症状は、以下の状況で悪化しやすいという特徴があります。

  • 立っている時や歩いている時

  • 体を動かした時

  • 視覚的な刺激が強い場所(例:スーパーの陳列棚、人混み、スマートフォンのスクロール画面、縞模様)

メニエール病とPPPDの決定的な違い

ここで、「メニエール病とPPPDの違い」を整理します。

これらは根本的に異なる病気です。

  • 症状の質: メニEール病は「回転性(グルグル)」、PPPDは「浮動性(ふわふわ)」。

  • 症状の持続性: メニエール病は「発作性・反復性(発作時以外は無症状のこともある)」、PPPDは「持続性(ほぼ毎日、3ヶ月以上)」。

  • 聴覚症状: メニエール病は「難聴・耳鳴り」を伴う。

    PPPDは原則として伴わない(ただし、きっかけがメニエール病の場合は別)。

  • 悪化要因: PPPDは特定の視覚刺激や姿勢で悪化する特徴がある。

  • 原因: メニエール病は「内耳の内リンパ水腫(器質的)」、PPPDは「急性めまい後の脳の機能不全(機能性)」。

メニエール病からPPPDを併発するケース

注意が必要なのは、「メニエール病 PPPD 併発」のケースです。

メニエール病の激しい回転性めまい発作は、PPPDを引き起こす「先行するめまい」になることがあります。

つまり、「グルグル回る発作(メニエール病)」が起きなくなった後も、「ふわふわするめまい(PPPD)」だけが慢性的に残ってしまう状態です。

この場合、メニエール病の治療だけを行っていても、PPPDの症状は改善しにくいです。

それぞれの治療法

原因が異なるため、治療法も全く異なります。

メニエール病の治療:

主な目的は、内リンパ水腫を改善し、発作を予防することです。

  • 生活指導: ストレスの回避、十分な睡眠、適度な運動、塩分を控えた食事が基本です。

  • 薬物療法: 内リンパ水腫を軽減する利尿薬(イソソルビドなど)や、内耳の循環を改善する薬、ビタミン剤などが用いられます。

    発作時には、抗めまい薬や吐き気止めが使われます。

  • その他の治療: 難治性の場合は、中耳加圧療法や、手術が検討されることもあります。

PPPDの治療:

主な目的は、脳の機能不全(誤作動)を正常に戻すことです。

  • 前庭リハビリテーション: 最も重要な治療法です。

    あえてめまいが起こりやすい動作(頭を動かす、視線を動かすなど)を繰り返し行うことで、脳に正しいバランス感覚を再学習させます(慣れさせる)。

  • 薬物療法: 不安感や脳の過敏性を抑えるために、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬の一種が有効であると報告されています。

    これはうつ病でなくても、PPPDの症状改善のために少量から用いられます。

  • 認知行動療法: めまいに対する「恐怖」や「不安」が症状を悪化させる悪循環を断ち切るため、物事の捉え方や行動パターンを変えていく心理療法も有効です。

参考動画

まとめ

メニエール病とPPPDは、どちらも「めまい」を引き起こす疾患ですが、その正体は全く異なります。

「グルグル回る発作」がメニエール病、「ふわふわ感がずっと続く」のがPPPDと大別できますが、両者が併発することもあります。

「メニエール病の評判」や「PPPDの評判」をインターネットで調べることも大切ですが、最も重要なのは自己判断しないことです。

特にPPPDは比較的新しい概念であるため、診断が難しい場合もあります。

もし、めまいが3ヶ月以上続く、あるいは特定の視覚刺激(スーパーなど)でめまいが悪化するようであれば、めまいの専門医(「めまいセンター」や専門の耳鼻咽喉科)を受診し、適切な診断を受けることを強くお勧めします。

あなたのその「治らないめまい」は、メニエール病ではなくPPPDかもしれず、適切な治療法(特にリハビリ)によって改善する可能性があります。

関連トピック

良性発作性頭位めまい症(BPPV):

めまいの中で最も多い原因の一つです。

内耳にある耳石(じせき)が剥がれて三半規管に入り込むことで、頭を特定の方向に動かした時に数秒から数十秒の回転性めまいが起こります。

これもPPPDの先行疾患となることが多いです。

前庭神経炎(ぜんていしんけいえん):

風邪などのウイルス感染が原因で、平衡感覚を司る前庭神経に炎症が起こる病気です。

突然の激しい回転性めまいが数日間続き、その後もふらつきが残ることがあります。

これもPPPDの引き金になります。

不安障害・うつ病:

PPPDは不安障害やうつ病を合併しやすいことが知られています。

めまいが続くことによる不安がPPPDを悪化させ、PPPDの症状がさらに不安を強くするという悪循環に陥りやすいため、精神面でのケアも重要です。

関連資料

めまいは自分で治せる (最強のセルフケア) (マキノ出版ムック):

めまい全般に関するセルフケアやリハビリテーションの方法が解説されている書籍です。

PPPDの治療法である前庭リハビリの参考になります。

めまいのメカニズムと治療戦略 (MB ENT):

医療専門家向けの書籍ですが、メニエール病やPPPDを含む様々なめまい疾患のメカニズムや最新の治療法について詳細に解説されています。

めまい・ふらつきを治す! 専門医が教える最新の治療とリハビリ (健康ライブラリー):

一般向けに、めまいの原因や診断、治療法(特にリハビリ)について分かりやすく解説した書籍です。

PPPDについても触れられていることが多いです。

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

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