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世界が熱狂する「シティポップ」とZ世代の「昭和・平成レトロ」!懐かしさと新しさが交差するブームの正体

エンタメ
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世界が熱狂する「シティポップ」とZ世代の「昭和・平成レトロ」!懐かしさと新しさが交差するブームの正体

「昭和・平成レトロとシティポップ」の概要

近年、日本のエンターテインメント界やファッション界において、奇妙かつ興味深い現象が起きています。

それは、デジタルネイティブである10代〜20代の「Z世代」が、自分たちが生まれる前の昭和歌謡や平成初期のカルチャーを「エモい(感情を揺さぶられる)」として熱烈に支持していることです。

同時に、海を越えた海外では、70年代から80年代の日本の「シティポップ」が爆発的なブームを巻き起こし、竹内まりやや松原みきといったアーティストがSpotifyなどのグローバルチャートを席巻しています。

なぜ今、過去の文化が「最先端」として消費されているのでしょうか。

本記事では、Z世代を惹きつけるレトロブームの深層心理と、インターネットが生んだシティポップの世界的な再評価のメカニズムについて、その背景と魅力を徹底解説します。

「レトロブームとシティポップ」の詳細

Z世代がハマる「昭和・平成レトロ」の心理:不便さが生む「エモさ」

現代の若者にとって、高画質で便利なデジタル環境は「当たり前」のものです。生まれた時からスマホがあり、何でも瞬時に検索できる彼らにとって、昭和や平成初期のアナログな文化は、逆に「新鮮な体験」として映ります。

例えば、「写ルンです」などのフィルムカメラや、カセットテープ、レコード。これらは「撮り直しがきかない」「手間がかかる」「ノイズが入る」といった、一見すると不便な要素を持っています。しかし、Z世代はこの不完全さを「人間味がある」「温かみがある」と捉え、そこに「エモさ」を見出しているのです。

また、ファッションの分野では、90年代後半から00年代の「平成ギャル」スタイル(Y2Kファッション)がリバイバルしています。ルーズソックス、厚底ブーツ、へそ出しルックなど、かつてのギャルたちが持っていた「自分の好きを貫くパワフルなマインド」が、SNSでの同調圧力に疲れた現代の若者たちに、強さと自由の象徴として支持されているのです。

世界を席巻する「シティポップ」:竹内まりやと松原みき

国内のレトロブームと並行して、あるいはそれ以上の規模で起きているのが、海外における「ジャパニーズ・シティポップ」の旋風です。

このブームのきっかけを作ったのは、間違いなくYouTubeのアルゴリズムでした。2010年代後半、竹内まりやの『Plastic Love』(1984年)が、海外の音楽ファンの「おすすめ動画」に突如として大量に表示され始めました。

洗練された都会的なサウンド、グルーヴィーなベースライン、そして竹内まりやのアンニュイな歌声。これらが、当時欧米のネット上で流行していた、80年代のアニメやCM映像をサンプリングして加工する音楽ジャンル「ヴェイパーウェイヴ(Vaporwave)」や「フューチャーファンク(Future Funk)」のリスナー層に刺さりました。

「この曲は完璧だ」「80年代の日本に対する偽の郷愁(一度も行ったことがないのに懐かしい)を感じる」といったコメントが溢れ、数千万回再生を記録するアンセムとなったのです。

さらに2020年には、松原みきのデビュー曲『真夜中のドア〜Stay With Me』(1979年)が、インドネシアのYouTuberのカバー動画をきっかけにTikTokでバイラルヒットしました。世界中のユーザーがこの曲に合わせて踊ったり、母親に聞かせてリアクションを撮ったりする動画が投稿され、Spotifyのグローバルバイラルチャートで1位を獲得する快挙を成し遂げました。

シティポップ特有の、高度経済成長期の日本が持っていた「豊かさ」と、その裏にある「都会の孤独感」が混在したメロディは、言語の壁を越えて、パンデミック下の世界中の人々の心に寄り添ったのです。

ブームを支える「高音質」と「本物志向」

シティポップが単なる一過性のネットミームで終わらなかった理由は、楽曲自体のクオリティの高さにあります。

70年代〜80年代の日本の音楽業界は、バブル経済に向かう好景気を背景に、潤沢な予算を使って制作が行われていました。山下達郎、大瀧詠一、角松敏生といった天才的なプロデューサーたちが、当時の一流スタジオミュージシャンを起用し、複雑なコード進行と極上の録音技術で作り上げたサウンドは、現代のチープな打ち込み音楽にはない「重厚感」と「職人芸」が詰まっています。

海外のDJやトラックメイカーたちは、この「宝の山」を発掘(ディグ)し、サンプリングソースとして、あるいはリスニング用として愛聴しました。

現代のZ世代もまた、サブスクリプションサービスを通じて膨大な過去のライブラリにアクセスできるようになり、時代に関係なく「良いものは良い」とフラットに評価する耳を持っています。

彼らにとって、シティポップは「古い音楽」ではなく、「一周回って新しい、高品質なポップス」なのです。

世代を超えるコミュニケーションツールへ

このブームの面白い点は、親世代(昭和・平成世代)と子世代(Z世代)の共通言語になっていることです。

親が若い頃に聴いていたレコードを子供が欲しがったり、母親が昔着ていたブランド服を娘が着こなしたりする。

断絶しがちな世代間の会話が、「レトロカルチャー」を介して再び繋がっています。

また、海外のファンが日本のレコード店に押し寄せ、日本の若者が海外のリアクション動画を見て誇らしく思うという、国際的な文化交流も生まれています。

昭和・平成レトロとシティポップの流行は、単なる懐古趣味ではなく、デジタル化が進みすぎた現代社会において、人間らしい体温や、普遍的な「良い音楽」の価値を再確認するムーブメントだと言えるでしょう。

「シティポップ」の参考動画

まとめ

昭和・平成レトロブームとシティポップの再評価は、私たちが「新しさ」の定義を見直すきっかけを与えてくれました。

Z世代は、画一化されたデジタルの世界から抜け出すために、ノイズ混じりのアナログな世界に「リアル」を見つけました。

そして世界は、ネットの海から日本のシティポップという宝石を見つけ出し、その輝きに魅了されました。

このブームは、音楽やファッションが持つパワーが、時代や国境を軽々と飛び越えることを証明しています。

もし実家の押し入れに眠っているカセットテープや古いアルバムがあったら、ぜひ引っ張り出してみてください。

そこには、今こそ世界が求めている「新しい感動」が詰まっているかもしれません。

関連トピック

Y2Kファッション: 2000年代前後の流行をリバイバルしたファッション。「Year 2000」の略で、クロップド丈や厚底などが特徴。

ヴェイパーウェイヴ (Vaporwave): 2010年代初頭にネット上で生まれた音楽ジャンル。80年代・90年代のCMやポップスをサンプリング・加工し、ノスタルジックな雰囲気を醸し出す。

プラスティック・ラブ (Plastic Love): 竹内まりやの楽曲。発売から30年以上経て海外で爆発的にヒットし、シティポップブームの象徴となった。

写ルンです: 富士フイルムのレンズ付きフィルム。現像するまで仕上がりが分からないワクワク感と、独特の風合いがZ世代に人気。

レコード(ヴァイナル): アナログレコードのこと。ジャケットのアート性や音質の温かみが見直され、世界的に売上が回復している。

関連資料

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レコード『Pacific』(細野晴臣・鈴木茂・山下達郎): シティポップの原点とも言える、1978年リリースの伝説的インストゥルメンタル・アルバム。

雑誌『POPEYE』特別編集: シティボーイ・シティガールのためのカルチャー誌。定期的にレトロやシティポップ特集が組まれる。

CD『真夜中のドア〜Stay With Me』(松原みき): 世界的ヒットを受けて復刻された、ポニーキャニオン盤のベストやシングル。

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