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【詳細版】SNS禁止は本当に正しいの?ハーバードの心理学者が語る「ネットに救われた」真実と規制の落とし穴

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はじめに

最近、世界中で若者のSNS利用を制限するニュースをよく耳にしませんか?「スマホやSNSは子どものメンタルヘルスに悪影響を及ぼす」という声が大きくなる一方で、それに異を唱える専門家も存在します。実は、最新の科学データは「ネットが孤立した若者を救っている」という驚きの真実を示しているのをご存知でしょうか。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】元引きこもりのハーバード大心理学者がSNS規制に反対する理由
  • 【テーマ2】ネットが孤立を救う「社会的補償仮説」の秘密
  • 【テーマ3】過剰なSNS規制が引き起こす「モラル・パニック」の罠

SNS規制の裏に隠された真実と、これからのデジタル社会において子どもたちを守るための本当に必要なアプローチがわかります。ぜひ最後まで読んで、情報の波に流されない確かな視点を手に入れてください!

ニュースは本当?「元引きこもりのハーバード大心理学者」アダム・オマリー氏の経歴を徹底検証

メディアで報じられた「元引きこもりのハーバード心理学者がSNS規制に反論」という記事の信憑性について、実証的な記録との照合を行った結果、当該ニュースは極めて高い事実性に基づいていることが確認されました。

実在する専門家!アダム・オマリー氏の華麗なる学術的背景

アダム・オマリー氏は実在の発達心理学者であり、ワシントン・ポスト紙やCato研究所のプラットフォームにおいて、「Z世代の心理学者」として自身の経験に基づくオピニオンを寄稿しています。同氏の学術的背景を調査すると、ハーバード大学文理大学院の心理学部門(認知・脳・行動プログラム)に在籍し、感情神経科学・発達研究室(Affective Neuroscience & Development Laboratory)において博士号(PhD)を取得していることが確認できます。

同氏が2026年に提出した博士論文「思春期における性別違和の生物心理社会的モデル(A Biopsychosocial Model of Adolescent Gender Dysphoria)」は、米国の11,000人以上の青少年を対象とした大規模かつ人口動態的に多様な縦断的データセット「Adolescent Brain Cognitive Development (ABCD) Study」を活用したものです。この研究は、2016年から2023年にわたる5つのタイムポイントのデータを追跡し、環境的ストレス要因やホルモンが思春期の脳の発達、感情処理、および自己同一性に与える影響を定量的に分析する高度な実証研究です。同氏はこれ以外にも、小児および思春期の脳構造に対する年齢や思春期ホルモンの独自の寄与を解きほぐす神経画像研究や、パンデミック下の新興成人のSNS利用に関する研究など、多数の査読付き論文を発表しています。したがって、同氏が単なる個人的な体験談を語る評論家ではなく、厳密なデータ分析手法を熟知した発達心理学の専門家であるという報道内容は完全に正確です。

1万時間のゲームプレイは本当?社会的孤立から回復した実態

ニュース記事が言及している「12歳から17歳の間、肥満で社会的に孤立し、ビデオゲームに1万時間以上を費やした」という過去についても、オマリー氏自身が公に述べている事実と一致します。氏はホームスクーリングを受け、現実世界に友人がおらず、1日のデバイス使用時間が平均10時間を超えていたものの、ファンタジー系MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)である「RuneScape」内のコミュニティや、オンラインのチャットルーム、ペンパルサイトを通じて深い友情を築き、それが孤立や家庭内の不安を乗り越える契機となったと述懐しています。

この「1万時間のゲームプレイ」という数字は、一見すると極端に思えますが、ゲーミング文化の統計においては決して非現実的な数値ではありません。専門家の推計によれば、平均的な若者が21歳までにビデオゲームに費やす時間は約1万時間に達するとされており、これは学士号を取得するために必要な時間(約4,800時間)の2倍以上に相当します。米国には週平均45時間をゲームに費やす「エクストリーム・ゲーマー」が500万人以上存在しているというデータもあります。

同氏のケースは、この1万時間という膨大なスクリーンタイムが、必ずしも「10年分の脳へのダメージ」や「発達の不可逆的な阻害」をもたらすわけではなく、むしろ特定の環境下においては社会的資本を獲得し、目標設定能力(ゲーム内で培ったスキル)を現実の学習やダイエットといった自己実現に転用するためのインフラとして機能し得ることを示しています。結論として、当該ニュースの記述に誇張や虚偽は見当たらず、背景情報の信憑性は担保されています。

ネットに救われるのはレアケース?「社会的補償仮説」から見る普遍的メカニズム

オマリー氏がSNSやオンラインゲームによって「救われた」という現象が、極めて稀な生存者バイアス(外れ値)なのか、それとも一定の条件を満たせば普通に観察される普遍的な心理的メカニズムなのかを検証します。最新のサイバー心理学、発達心理学、および臨床精神医学の研究を統合すると、同氏のケースは決して特異な例外ではなく、学術的に確立された「社会的補償仮説(Social Compensation Hypothesis)」の典型的な発露として説明可能であり、社会に「普通にいるケース」として位置づけられます。

インターネットと人間関係:2つの対立する心理学仮説

オンライン空間における社会的交流が若者のメンタルヘルスに与える影響については、長年、以下の二つの主要な仮説が対立・並存してきました。

仮説の名称 英語名 / 別名 概要 対象となる個人の特徴 デジタル空間が果たす機能
社会的補償仮説 Social Compensation Hypothesis / Poor-get-richer 現実の社会生活で孤立や不安を抱える者が、その欠落を補うためにオンライン交流を利用し、恩恵を受けるとする説。 内向的、社会不安が高い、対人スキルが低い、オフラインで孤立している。 現実世界での社会的障壁を迂回し、安全に自己開示を行うための「代替的ライフライン」。
社会的拡張仮説 Social Enhancement Hypothesis / Rich-get-richer 現実世界で既に豊かな社会的資本を持つ者が、インターネットを既存の人間関係の拡張として利用し、さらに恩恵を受けるとする説。 外向的、社会的スキルが高い、現実世界の友人関係が充実している。 既存の社会的ネットワークをさらに強化・拡大するための「追加のツール」。

初期のインターネット研究においては、現実世界での対人関係が苦手な若者がインターネットに逃避することで、さらに現実での孤立を深める「Poor-get-poorer(持たざる者がさらに貧しくなる)」の現象が危惧されていた時期もありました。しかし、複雑なモデリングを用いたその後の縦断的調査や構造方程式モデリング(SEM)を用いた研究では、ソーシャルメディアの使用が親しい人々との直接的な社会的接触を「代替・排除(Displace)」するという仮説はほとんど支持されず、むしろ利用の増加が主観的ウェルビーイングのポジティブな変化と関連していることが示されています。

特筆すべきは、対面でのコミュニケーションに困難を抱える「シャイ」で「内向的」な若者にとって、オンラインの匿名性や非同期的なコミュニケーションが、自己提示をコントロールし、親密な自己開示を行うハードルを著しく下げるという点です。その結果、彼らは現実世界では得られなかった所属感(Sense of belonging)や社会的承認を獲得します。オマリー氏がRuneScapeというゲーム内のコミュニティで経験した他者との深い結びつきは、まさにこの「社会的補償」のプロセスそのものであり、同様の恩恵を受けている若者は膨大な数に上ります。

ひきこもりとデジタル空間の意外なポジティブ関係

オマリー氏の経験が普遍的であることをさらに裏付けるのが、近年世界的な公衆衛生の課題として関心を集めている「ひきこもり(Hikikomori)」とデジタルメディアの関係に関する研究群です。ひきこもりは、自宅内に引きこもり極度の社会的孤立を示す状態であり、うつ病、社会不安障害、自閉症スペクトラムなどと症状を共有することが多くあります。

イタリアや日本の専門家を対象としたデルファイ法(専門家合意形成手法)による調査では、専門家たちは一貫して「インターネットはひきこもりの原因ではなく、孤立を強化する要因でもない」と結論づけています。むしろ専門家たちは、インターネットを「孤立の苦痛を和らげる重要な出口(Way out)」であり、「社会的に孤立して生きる若者にとっての世界への最後の窓」であると認識しています。ひきこもり状態にある若者にとって、デジタル空間は以下のような二重の機能を提供します。

ひきこもりの類型 デジタル領域が果たす機能 心理学的意義
一次性ひきこもり (物理的環境からの意図的撤退) 自己表現、アイデンティティ構築、保護された社会的相互作用の維持を行うための「代替空間」。 物理的な社会との接触を断ちつつも、完全な孤独を避けるための安全な社会関係資本の構築。
二次性ひきこもり (臨床的条件による制約) 臨床的条件(精神疾患等)によって課された限界に対する「補償機能」。 間接的な心理的サポートとして機能し、将来的な社会復帰(再活性化)に向けた初期段階の足場となります。

また、2025年にProilficを通じて1,420名を対象に実施された横断的研究では、機能障害や苦痛を伴う「病理的ひきこもり(Pathological Hikikomori)」層と、単に在宅を好む「非病理的ひきこもり(Non-pathological Hikikomori)」層の間でSNSの使用状況が比較されました。その結果、病理的ひきこもり層は非病理的層よりも有意に多くのSNSプラットフォームを並行して使用していることが判明しました(4.16対3.84プラットフォーム)。これは、最も深刻な孤立状態にある若者が外界とのつながりを完全に絶っているのではなく、複数のデジタルチャネルを通じて必死に社会との結びつきを模索し、維持しようとしている実態を定量的に示しています。さらに、X(旧Twitter)の日本語ツイート200万件以上をBERT(Bidirectional Encoder Representations From Transformers)言語モデルを用いて解析した2025年の研究でも、当事者がSNS上で「社会的サポートの探求」「誤解の払拭」「感情の吐露」を行っていることが確認されています。

LGBTQ+や神経多様性など、脆弱な若者にとってのSNSの重要性

社会的孤立に直面しやすいマイノリティ層にとって、オンラインコミュニティは「選択肢の一つ」ではなく、生存に関わる「必須の社会資本」です。例えば、LGBTQ+の若者は、地理的・物理的な環境(保守的な地域社会や理解のない家庭)において孤立しやすいですが、SNSを通じて自身のアイデンティティを肯定してくれるコミュニティを発見し、ストレスに対する緩衝効果を得ています。対面でのサポートネットワークが欠如している環境下において、デジタル環境は孤独を乗り越えるための主体的な「エージェンシー(行為主体性)」の発揮の場となります。

同様に、自閉スペクトラム症(ASD)の若者にとっても、視覚的・非言語的キューの処理が負担となる対面コミュニケーションに比べ、テキストベースのオンラインコミュニケーションが自己開示のハードルを下げる効果があることが示唆されています。オマリー氏が10代の頃に経験した「家庭内の不安」や「肥満による社会的孤立」は、現実世界における深刻な負の環境要因でした。もしこの時期にデジタル環境へのアクセスが絶たれていれば、氏は唯一の社会的接点を失っていた可能性が高いでしょう。

これらのエビデンスは、オマリー氏の事例が決して「奇跡的な特例」ではなく、発達心理学およびサイバー心理学の観点から「よく機能した社会的補償モデル」の典型例であることを示しています。現実の社会生活で困難を抱える若者が、オンラインを補償的に活用して自己効力感を獲得し、その後の現実世界での適応(オマリー氏の場合はハーバード大進学や研究者への道)へと繋げる事例は、統計的・理論的に十分に想定される「普通にいるケース」です。

世界的なSNS全面規制はやりすぎ?科学データが暴く「モラル・パニック」の正体

オマリー氏の事例が示すようなデジタルメディアの明確なポジティブ側面が存在し、多くの学術研究がそれを支持しているにもかかわらず、なぜ2026年現在、オーストラリアをはじめとする国家や地方自治体は「全面禁止」という強硬な手段に打って出ているのでしょうか。その政策決定の科学的妥当性を検証します。

結論から述べれば、現在の年齢ベースでの一律のSNS全面規制(Blanket Ban)は、科学的エビデンスに基づく合理的な公衆衛生介入というよりも、社会学的に定義される「モラル・パニック(Moral Panic)」に基づく過剰反応(心配しすぎ)であるとするのが、当該分野の専門家による支配的な見解です。

規制推進の火付け役「ジョナサン・ハイト現象」と恐怖の波及

現在の強硬なSNS規制の理論的支柱となっているのが、社会心理学者ジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)が2024年に出版した著書『The Anxious Generation(不安な世代)』です。ハイトは同書において、2010年代以降の若者のうつ病や不安障害の急増は、スマートフォンとSNSの普及による「小児期の配線組み換え(Rewiring of childhood)」と、過保護な親による「遊びに基づく子供時代の衰退」が原因であると断定しました。彼は「7つの証拠の糸(Seven lines of evidence)」として、若者や親へのアンケート、企業の内部文書、横断的・縦断的調査などを挙げ、SNSが人口レベルで精神疾患の蔓延を引き起こしていると主張し、学校でのスマホ禁止や16歳未満のSNS利用禁止といった集団的行動を提唱しました。

この主張は、子育てに悩む保護者の直感や、わかりやすいスケープゴートを求める政治家の思惑と強く結びつき、大きな支持を得ました。米国での超党派による規制推進や、オーストラリアにおける16歳未満のSNS禁止法の制定は、このハイトの言説に直接的・間接的な影響を受けています。

専門家が猛反発!「SNS規制派は科学ではなく恐怖を売っている」

しかし、若者のメンタルヘルスや情報学を専門とする第一線の研究者たちの間では、ハイトの主張およびそれに追従する政治的決定に対して、極めて厳しく、かつ一致した批判が巻き起こっています。教育分野の著名な専門誌である「TES Magazine」をはじめとする学術的プラットフォームでは、ハイトの主張に対する解体作業が行われています。

英ケンブリッジ大学の児童青年精神医学教授であるタムシン・フォードは、「同書を読んだ際、これが同じ学者の手によるものとは信じ難かった」と手法の粗雑さを指摘しています。オックスフォード大学インターネット研究所の人間行動・技術教授であるアンドリュー・プシビルスキ(Andrew Przybylski)は、「ハイトが売っているのは恐怖である。これは科学ではない」と一蹴し、「非凡な主張には非凡な証拠が必要だが、現時点で彼にはそれがない」と明言しています。

さらに、カリフォルニア大学アーバイン校の心理学・情報学教授であるキャンディス・オジャーズ(Candice Odgers)は、現在の研究データは「SNSとメンタルヘルスを巡る広範なパニックを支持していない」とし、「若者のメンタルヘルスの根本原因と寄与要因に対処することが目標であるならば、SNSを起点とするのは論理的ではない」と警告しています。

争点 ジョナサン・ハイト等の規制推進派の主張 実証的心理学者・情報学者のコンセンサス
因果関係の方向 SNSの普及が、若者のうつ病や不安の「原因(Causation)」である。 相関関係は因果関係ではありません。精神的困難を抱える若者が、対処メカニズムとしてSNSに長時間逃避している「逆因果」の可能性が高いです。
影響の規模と効果 人口レベルでの大規模な脳の変容や精神疾患の蔓延を引き起こしている。 大規模データの解析結果は一貫しておらず、SNSの使用とウェルビーイングの関連性は「極めて小さい(効果量が微小)」か「無(Null)」です。
解決策と政策 16歳未満のアクセス一律禁止、デバイスの物理的排除が必要。 一律禁止は、SNSを重要なサポートとして利用する脆弱な若者(マイノリティ等)からライフラインを奪う有害かつ不釣り合いな措置です。

逆因果の可能性も?最新ビッグデータ解析が示すメンタルヘルスとの関係

規制推進派の根拠が崩れていることを決定づけたのが、数々の大規模な実証研究です。オックスフォード大学のプシビルスキとVuorreによる2023年の研究では、72カ国の946,798人を対象に2008年から2019年までのウェルビーイングデータを解析した結果、「SNSが世界中で心理的悪影響を引き起こしているという証拠は見当たらない」と結論づけられています。

さらに、2026年に発表されたピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の最新研究は、保護者の不安という「大人の視点」ではなく、ティーンエイジャー自身の実際の体験をTikTok、Instagram、Snapchat上で詳細に調査したものです。その結果、「SNSが若者の精神を破壊している」というナラティブに実証的な裏付けはないことが改めて確認されました。研究が繰り返し示唆しているのは、「既存のメンタルヘルスの問題を抱え、現実世界で適切なサポートを得られていない少数の若者が、その対応策としてSNSに過剰に依存する傾向がある」という事実です。

つまり、オマリー氏がそうであったように、「孤立しているからスクリーンに向かう」のであり、「スクリーンに向かうから孤立する」のではありません。因果の矢印の方向を誤認したまま「スクリーンの没収」を行えば、根本的な問題(家庭環境の悪化、貧困、いじめ、神経多様性への無理解など)が放置されたまま、若者から対処メカニズム(コーピング戦略)だけを奪う結果となります。

オーストラリアのSNS禁止法は「モラル・パニック」の典型例

オーストラリアにおける16歳未満のSNS禁止法は、メディア研究や社会学における「モラル・パニック(Moral Panic)」の典型例として分析されています。スタンリー・コーエン(Stanley Cohen, 1972)が提唱したモラル・パニック理論によれば、社会が未知の変化(この場合はデジタル技術)に直面した際、特定の集団の行動が社会秩序を脅かすものとして誇張され、不釣り合いな対策が正当化されます。

オーストラリアとニュージーランドのメディア報道を主題分析した2026年の研究(58のメディアテキストを対象)によると、報道の枠組み(フレーミング)は常に「若者のウェルビーイングの保護」「有害コンテンツからの保護」「保護者の保護」「プライバシーの保護」という4つのテーマに集約されていました。これらのテーマは、若者を「受動的で、脆弱で、保護を必要とする存在」として固定化し、若者自身がデジタル環境で発揮しているエージェンシー(主体性)や、オマリー氏のように自ら目標設定をして自己成長に繋げている実態を完全に不可視化しています。

エセックス大学のデジタルコミュニケーションの専門家であるトニー・サンプソン博士も、オーストラリアの禁止令の背後にある「道徳的パニック」を指摘し、禁止令はソーシャルメディアのビジネスモデルの根本的な問題を解決せず、むしろオンライン環境をより魅惑的で潜在的に有害なものにするリスクがあると警告しています。ステットソン大学の心理学教授クリストファー・ファーガソンが指摘するように、現在のSNSに対するパニックは、かつて「ビデオゲームが現実世界の暴力を引き起こす」と騒がれた過去のモラル・パニックと全く同じ構図です。オーストラリアのeSafetyコミッショナーや政治家たちは、科学的証拠を意図的あるいは不注意によって無視し、政治的なポーズとして法案を強行したと強く批判されています。

若者から命綱を奪う危険性!SNS全面規制(ブランケット・バン)の落とし穴

年齢による一律のSNS禁止(Blanket Ban)がなぜ危険なのでしょうか。それは、医療や公衆衛生、そしてユースワーク(若者支援)の基本原則である「比例原則(Proportionality)」を逸脱しており、副作用が大きすぎるからです。

適度な利用が鍵?「ゴルディロックス仮説」が示すSNSの効用

心理学者たちが支持するデジタルメディアの影響モデルの一つに「ゴルディロックス仮説(Goldilocks Hypothesis)」があります。これは、メディアの使用が「少なすぎず、多すぎず、ちょうど良い(適度な)量」である場合に、他者との繋がりを促進し、最もポジティブなウェルビーイングをもたらすというものです。

SNSは確かに、サイバーいじめ、オンラインハラスメント、性的搾取(セクストーション)、過激なコンテンツとの遭遇といったリスクを内包しています。しかし同時に、メンタルヘルスケアへのアクセスの促進、性的マイノリティのアイデンティティの肯定、ストレスへの緩衝効果といった重要な社会的サポートを提供する場でもあります。16歳未満の全面禁止は、リスクをゼロにする代わりに、これらすべてのポジティブな効用(適度な利用による恩恵)をゼロにする極端な措置です。個人のアセスメントやインフォームド・コンセントの機会を一切与えない包括的な禁止は、保護的懸念と若者の権利のバランスを著しく欠いています。

デジタルデトックス実験の落とし穴!結果の拡大解釈に要注意

SNS有害説を支持する一部の報道において、「14日間のスマートフォン断ち(デジタルデトックス)によって10年分の脳へのダメージが消える」といったセンセーショナルな見出しが見られます。この研究実態を確認すると、参加者が14日間アプリを使用してインターネットへのアクセスを制限した結果、視覚的注意を持続させるテストにおいて加齢に伴う10年分の認知機能低下に相当する改善が見られたというものです。

しかし、この研究結果を「国家によるデバイス規制」の根拠とするのは論理の飛躍です。研究に参加した対象者のうち、14日間のうち10日以上コンプライアンス(遵守)を満たせたのはわずか約25%に過ぎませんでした。研究者はこの25%の成功を「依存からの脱却が可能である希望」と捉えていますが、同時にこれは、個人の意志と同意に基づく実験環境でさえ、デジタルメディアへのアクセスを完全に断つことがいかに困難であるかを示しています。個人の自己決定に基づく「デトックス」と、国家権力が法律によって一律にアクセスを遮断する「規制」は、心理的影響の観点から全く次元が異なります。

大人の「監視」ではなく若者の「構造化」へ:効果的な代替アプローチ

専門家は、モラル・パニックに基づく「禁止・制限・監視(Surveillance)」ではなく、若者との「協働的な問題解決(Collaborative problem-solving)」への転換を強く推奨しています。全面的なアクセス制限ではなく、以下のようなアプローチが科学的に有効とされています。

介入の方向性 具体的な戦略 期待される効果
予測可能なデジタルリズムの構築 完全に禁止するのではなく、特定の時間帯(就寝前や家族の食事中)にデバイスフリーの時間を設ける。 睡眠の質の向上や、対面での家族コミュニケーションの担保など、生活習慣の構造化をもたらします。
リテラシーとレジリエンスの教育 リスクと実害(Risks vs. Harms)の違いを理解させ、SNSのアルゴリズムの仕組みを教育する。 若者自身がメディアをコントロールする主体性(エージェンシー)を身につけます。
個別化された臨床的介入 万人に網をかけるのではなく、SNS利用で機能不全に陥っている「極少数の個人」を特定する。 根本的な問題(家庭崩壊、精神疾患など)に対する集中的なリソースの投入と治療に繋がります。

法律によってアカウントが強制的に凍結・遮断された場合、現実世界に強固なセーフティーネット(理解ある親、豊かな学校環境、経済的余裕)を持つ「特権的な若者」は、代替の娯楽や対面での交友に移行できるため実害は少ないでしょう。しかし、オマリー氏がかつて経験したような、現実社会にセーフティーネットを持たない若者は、最後に残された「オンライン空間というライフライン」を国家によって切断されることになります。これは社会構造上の不平等をさらに悪化させる有害な政策です。

まとめ

本報告書は、ハーバード大学の発達心理学者アダム・オマリー氏の事例を出発点とし、若年層のデジタルメディア利用とSNS規制を巡る最新の科学的知見を網羅的に検証しました。分析の結果、以下の結論が導き出されます。

  • ニュースの事実関係と信憑性: アダム・オマリー氏は、大規模縦断データを扱う実在の気鋭の発達心理学者です。かつて1万時間以上ゲームに没頭し、極度の社会的孤立状態にあったという同氏の経歴は事実であり、その経験に基づく「インターネットに救われた」という主張は、専門的な心理学的知見によって裏付けられた極めて説得力のある提起です。
  • 「極まれなケース」ではなく「普遍的メカニズム」の発露: 同氏の事例は決して外れ値ではありません。現実社会で孤立やマイノリティ性を抱える若者が、インターネットを通じて社会関係資本を構築し、心理的安定を得る現象は「社会的補償仮説」として実証的に支持されています。ひきこもり状態にある者や、神経多様性、性的マイノリティの若者にとって、デジタル空間は生存のための不可欠な代替環境として日常的に機能しています。
  • SNS規制の過剰性と非科学性: オーストラリアの「16歳未満全面禁止」や各国の強硬なSNS規制は、特定のベストセラー等によって引き起こされた「モラル・パニック」の産物であり、科学的なコンセンサスから著しく逸脱しています(心配しすぎです)。世界的な大規模研究や最新の実証データは、SNSが若者のメンタルヘルス危機を直接的に引き起こしているという仮説を明確に否定しています。相関関係の裏にある「現実世界での苦悩がSNSへの逃避を引き起こす」という逆因果の構造を無視した規制は、本質的な問題解決から目を背けるものです。
  • 政策的リスクと今後の方向性: 年齢による一律のSNS禁止は、最も支援を必要としている脆弱な若者から命綱を奪う「副作用の大きすぎる政策」となり得ます。政策決定者は、大人の不安を解消するためのシンボリックな一律禁止(Blanket Ban)を撤回し、個々の若者が直面している根本的な社会的課題へのアプローチと、個別化された臨床的介入へとリソースを振り向けるべきです。

オマリー氏が自らの研究と人生をもって証明しているように、スクリーンそのものが心を蝕むわけではありません。オンライン空間での繋がりが、現実の絶望から若者を救い出し、自己実現や将来の社会貢献へと導く強靭なインフラとなり得ることを、現代の社会は科学的エビデンスに基づいて冷静に再認識する必要があります。

参考リスト

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