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【2025年現状分析】ゼロ金利終了、日本は「スタグフレーション」の危機にあるのか?物価高と景気後退の狭間で生き抜く知識

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【2025年現状分析】ゼロ金利終了、日本は「スタグフレーション」の危機にあるのか?物価高と景気後退の狭間で生き抜く知識

スタグフレーションの懸念と現在の日本経済

「給料は少し上がったけれど、スーパーでの買い物や電気代はそれ以上に高くなった気がする」。

2025年12月現在、多くの人が肌感覚として感じているこの「苦しさ」の正体は何でしょうか。

日本銀行がゼロ金利政策を終了し、「金利のある世界」へと舵を切りましたが、景気が劇的に良くなった実感はありません。

むしろ、「不景気なのに物価だけが上がり続ける」という、経済にとって最悪の状態「スタグフレーション」の入り口に立っているのではないかと懸念されています。

本記事では、スタグフレーションの正しい定義と、現在の日本のデータ(実質賃金や物価指数)を照らし合わせ、私たちが直面しているリスクの正体を解明。その上で、この厳しい局面を乗り切るための個人の防衛策を提案します。

詳細解説:スタグフレーションの兆候と対策

スタグフレーションとは?「不況」と「インフレ」の悪魔合体

スタグフレーション(Stagflation)とは、「Stagnation(停滞)」と「Inflation(インフレ)」を組み合わせた造語です。

通常、景気が良い時はモノが売れて物価が上がります(良いインフレ)。逆に景気が悪い時はモノが売れずに物価が下がります(デフレ)。

しかし、スタグフレーションはこの法則を無視し、「景気が悪く給料も上がらないのに、物価だけが上がり続ける」という、家計にとって最も苦しい状態を指します。

主な原因は、石油ショックのような資源価格の高騰や、通貨安による輸入コストの増大です。

2025年の日本:スタグフレーションの「入り口」にいる?

結論から言えば、現在の日本は「スタグフレーションの兆候が色濃く出ているが、完全な突入はギリギリ回避しようとしている」状態です。

その判断基準となるのが「実質賃金」です。

2024年から続く大幅な賃上げ(ベースアップ)により、額面の給料は増えました。しかし、それを上回るスピードで円安や資源高による物価上昇が続いたため、物価変動を加味した「実質賃金」はプラスとマイナスの境界線上を彷徨っています。

もし実質賃金のマイナスが長期化すれば、消費が冷え込み、企業業績が悪化するという負のスパイラル=完全なスタグフレーションに陥ります。

「金利ある世界」が招くジレンマ

日銀はインフレを抑えるために利上げを行いましたが、これが諸刃の剣となっています。

金利が上がると、住宅ローンを持つ家計や、借入金の多い中小企業の負担が増えます。

インフレ退治のための薬(利上げ)が、逆に景気を冷やしてしまう(=スタグフレーションを加速させる)リスクがあるのです。

これを「オーバーキル」と呼びますが、2025年の日本経済はこの綱渡りの真っ只中にあります。

生活防衛策:現金を過信するな

スタグフレーション下では、「現金」の価値が目減りします。

100万円の貯金があっても、物価が2倍になれば、実質的な価値は50万円になってしまうからです。

対策としては以下の3点が重要です。

  • 「良い借金」の見極め: 金利上昇局面では、無駄なリボ払いや高金利のローンは即座に完済すべきです。一方で、インフレ時には借金の価値も実質的に目減りするため、低金利で固定した住宅ローンなどは慌てて返済しすぎない戦略も有効です。
  • インフレに強い資産: 資産の一部を、現預金から「株式(世界株)」や「コモディティ(金など)」に分散させることが、資産防衛の基本となります。
  • 人的資本への投資: どんなに不況でも、稼ぐ力(スキル)のある人材の価値はインフレします。副業やリスキリングで収入源を複数持つことが、最強の防衛策です。

参考動画:スタグフレーションの仕組み

まとめ:インフレ対応型へシフトせよ

2025年の日本は、デフレからの脱却というポジティブな側面と、コストプッシュインフレというネガティブな側面が混在する、非常に難しい局面にあります。

「スタグフレーション」という言葉に過度に怯える必要はありませんが、これまでのように「銀行に預けておけば安心」という時代が終わったことは確実です。

物価と金利の動きを注視し、自分の資産とスキルを「インフレ対応型」にアップデートしていくことが、この不透明な時代を生き抜く唯一の道です。

関連トピック

実質賃金 (Real Wages)

給料の額面ではなく、「その給料で何個パンが買えるか」を示す指標。これがプラスになり続けなければ、本当の景気回復とは言えません。

コストプッシュインフレ (Cost-Push Inflation)
原材料費や輸送費の高騰によって、企業が「仕方なく」値上げすること。需要が増えて値上がりする「ディマンドプルインフレ」とは異なり、経済を痛めつけます。

スクリューフレーション (Screwsflation)
スタグフレーションの一種で、特に中間層が締め付けられる(Screw)ように貧しくなる現象。現在の日本の状況に近いと言われる概念です。

関連資料

書籍『スタグフレーションの時代』
モノの値段は上がっているのに、労働者の給料は減り、購買力が低下する――モノと労働の値段が比例関係で上昇するインフレではなく、モノだけが値上がりする「スタグフレーション」。社会の教科書でさらっと触れただけの経済用語が、日本で現実に起ころうとしています。その理由とメカニズム、これ以上スタグフレーションに陥らないための処方箋を、若手人気経済評論家がわかりやすく説明します。

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毎月の「実質賃金」の最新データが発表されます。ニュースの二次情報ではなく、一次情報でトレンドを確認する習慣をつけましょう。

ご注意:これは情報提供のみを目的としています。金融・投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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