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【SF『三体』の謎が現実に?】最新研究が解明した「三体問題」カオスの正体とは

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【SF『三体』の謎が現実に?】最新研究が解明した「三体問題」カオスの正体とは

「三体問題」の概要

SF小説およびNetflixドラマで世界中を熱狂させている『三体』。

その物語の核となるのが、3つの太陽の動きが予測不能であるために滅亡と再生を繰り返す「三体文明」の悲劇です。

なぜ、たった3つの天体の動きすら計算できないのか?

これは1687年のニュートンの時代から300年以上、物理学者たちを悩ませてきた超難問でした。

しかし2024年、スペインとアメリカの研究チームがついにその「予測不能性」の数学的な正体を突き止めました。

本記事では、最新の研究成果である「シンプレクティック・ブレンダー」という概念を分かりやすく解説し、それがSF『三体』の世界観にどのような科学的裏付けを与えたのかを紐解きます。

物語の中の絶望が、単なるフィクションではなく「宇宙の必然」だったことが分かるスリリングな内容です。

「三体問題」の詳細

300年解けなかった難問「三体問題」とは

私たちの住む地球は、太陽という一つの恒星の周りを回っています。

このように2つの天体が重力で引き合う運動(二体問題)は、計算によって未来永劫の位置を完璧に予測することができます。

しかし、ここに3つ目の天体が加わった途端、話は変わります。

お互いの重力が複雑に干渉し合い、わずかな位置のズレが時間とともに指数関数的に拡大し、全く予測できない動きを始めるのです。

これを「三体問題」と呼びます。

SF『三体』では、この予測不能な動きによって、惑星が極寒の夜に閉ざされたり、灼熱の太陽に焼かれたりする「乱紀」が描かれています。

新発見!宇宙に隠された「見えないミキサー」

今回、バルセロナ大学などの研究チームが数学的に証明したのは、三体問題の中に「シンプレクティック・ブレンダー(Symplectic Blender)」と呼ばれる幾何学的構造が存在することです。

この難しい名前の概念は、キッチンの「ミキサー」に例えると分かりやすくなります。

三体問題の宇宙空間には、目に見えない巨大なミキサーの刃のような領域が存在していると考えてください。

天体の軌道がこの領域に近づくと、ミキサーの中に放り込まれた食材のように、強制的にかき混ぜられ、複雑に絡め取られてしまいます。

研究チームは、この「ブレンダー」が偶然の産物ではなく、質量が異なる天体が3つあれば必ず発生する「頑健(ロバスト)な性質」であることを突き止めました。

つまり、三体問題がカオスになるのは運が悪かったからではなく、最初から「カオスになるための装置」が宇宙の法則として組み込まれていたのです。

SF『三体』の絶望は「数学的必然」だった

この研究結果は、SF『三体』のファンにとって衝撃的な意味を持ちます。

作中、三体文明の科学者たちは、スーパーコンピューターを駆使したり、人間計算機を使ったりして、必死に太陽の運行法則を見つけようとしました。

しかし、今回の証明によれば、その努力は原理的に報われないものだったと言えます。

「ブレンダー」という構造が存在する限り、どれほど精密に観測しても、未来の軌道は必ず予測不能なカオスに飲み込まれてしまうからです。

また、研究では天体が無限の彼方へ飛び去っても、また戻ってくるという「振動運動」の存在も明らかにされました。

これは、物語の中で描かれる「太陽が遠ざかって安心していたら、突然戻ってきて惑星を焼き尽くす」という理不尽な展開さえも、物理的にあり得るシナリオだと裏付けています。

「三体問題」の参考動画

「三体問題」のまとめ

今回紹介した研究は、300年来の難問「三体問題」に対し、数学的な側面から一つの決定的な答えを提示しました。

宇宙には、私たちの知性では決して飼い慣らせない「本質的なカオス」が存在するという事実です。

SF小説『三体』の著者である劉慈欣(リュウ・ジキン)氏が描いた、抗いようのない宇宙の過酷さは、決して絵空事ではありませんでした。

むしろ、科学が進歩すればするほど、あの物語のリアリティが増していくというのは、SF作品として最高の栄誉と言えるのではないでしょうか。

次に『三体』を読み返す時、あるいは映像作品を見る時、その背景にある「変えられない宇宙の法則」に想いを馳せてみてください。

きっと、登場人物たちの絶望と、それに立ち向かう勇気が、より鮮烈に胸に迫ってくるはずです。

関連トピック

カオス理論とバタフライ効果(「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐が起きる」という、予測不能な現象の基礎知識を解説します。)

ポアンカレの功績(19世紀に三体問題の解けない性質を最初に見抜き、カオス理論の父となった天才数学者の物語。)

ラグランジュ点(三体問題の中でも、例外的に位置関係が安定する特殊なポイントについて、宇宙開発への応用と共に紹介します。)

アルファ・ケンタウリ(『三体』のモデルとなった、実在する最も近い恒星系(三重連星)の最新観測情報をまとめます。)

関連資料

小説『三体』 “>小説『三体』(劉慈欣著。物理法則そのものがエンターテインメントとなった、現代SFの金字塔的傑作です。)

『カオス・インパクト』(予測不能な事態がいかにして起こるのか、数式を使わずにカオス理論の本質に迫るポピュラーサイエンス書。)

映画『インターステラー』Blu-ray(三体問題と同じく、物理学の理論を極限まで映像表現に取り入れたクリストファー・ノーラン監督の名作。)

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