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平均貯蓄額と中央値の違いとは?平均以下に感じる理由をデータで解説

統計学
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はじめに

ニュースで「平均貯蓄額は2,000万円超え」と聞いて、「うちはそんなにない」「自分だけ遅れているのでは」と不安になったことはありませんか。実は、その感覚はおかしなものではありません。平均貯蓄額と中央値の違いを知ると、数字と実感のズレの正体が見えてきます。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】平均値と中央値のしくみの違い
  • 【テーマ2】最新統計に見る平均貯蓄額の実態
  • 【テーマ3】自分の貯蓄と比べるときの正しい見方

この記事では、総務省・厚生労働省・金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している最新の統計をもとに、「なぜ多くの人が平均以下に感じるのか」をやさしく解説します。読み終えるころには、ニュースの数字に振り回されない見方が身についているはずです。

平均値と中央値の違いとは?しくみをやさしく解説

結論から言うと、平均値は「全員の合計を人数で割った数」、中央値は「少ない順に並べたときに真ん中に来る人の数」です。お金のように差が大きいデータでは、この2つが大きく離れることがあります。

平均値は「ならした数字」、中央値は「真ん中の人の数字」

たとえば、10世帯の貯蓄額を考えてみましょう。9世帯が300万円ずつ、1世帯だけが1億円を持っているとします。合計は1億2,700万円なので、平均値は1,270万円になります。

ところが、10世帯のうち9世帯は300万円しか持っていません。つまり、10世帯中9世帯が「平均以下」になってしまいます。一方、中央値は真ん中の世帯の金額なので300万円です。この場合、多くの人の実感に近いのは中央値のほうだとわかります。

お金のデータは「右にすそが長い」形になりやすい

貯蓄額や所得は、少ない金額の人がたくさんいて、ごく一部に非常に多い人がいる、という分布になりがちです。グラフにすると、山が左に寄り、右側に長いすそが伸びた形になります。

このような形では、すその先にいる少数の高額世帯が平均値を大きく引き上げます。マイナスの貯蓄はありませんが、上はいくらでも大きくなれるため、平均値は上へ引っぱられやすいのです。これが「平均値は実感より高く出る」理由の基本です。

最新統計で見る平均貯蓄額と中央値の差

実際の統計でも、平均値と中央値には数百万円以上の差があります。2026年10月時点で確認できる最新の調査結果を見てみましょう。

総務省「家計調査」:平均2,059万円、中央値1,264万円

総務省統計局が2026年5月19日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果」によると、二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は2,059万円でした。7年連続の増加で、比較できる2002年以降で最も多い額です。

一方、貯蓄がある世帯の中央値は1,264万円で、平均値より約800万円少なくなっています。貯蓄ゼロの世帯も含めた中央値(参考値)は1,167万円です。そして、平均値を下回る世帯は66.1%と、約3分の2を占めています。

J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査」:差はさらに大きい

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」では、二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円、中央値720万円でした。平均値は中央値の約2.7倍です。

単身世帯では、平均919万円に対して中央値は130万円しかありません。同調査の解説によると、単身世帯では金額を答えた世帯の8割弱が平均値よりも少ない保有額でした。金融資産を持っていない(保有額0円とみなされた)世帯も、回答の約3割を占めています。

3つの調査を表で比べてみる

調査名(対象) 平均値 中央値 平均を下回る割合
総務省 家計調査2025年(二人以上の世帯の貯蓄) 2,059万円 1,264万円(貯蓄保有世帯) 66.1%
J-FLEC 世論調査2025年(二人以上世帯の金融資産) 1,940万円 720万円 公表資料に記載なし
J-FLEC 世論調査2025年(単身世帯の金融資産) 919万円 130万円 8割弱

どの調査を見ても、平均値は中央値を大きく上回っています。「平均を聞いて落ち込む」のは、多くの人に共通する自然な反応だといえます。

なぜ自分は平均以下に感じるのか?5つの理由

平均以下に感じる理由は、「少数の高額世帯」「年齢」「世帯の形」「調査の定義」「負債」という5つのズレに整理できます。順番に見ていきましょう。

理由1:ごく一部の高額世帯が平均を押し上げている

家計調査では、貯蓄額の少ない順に世帯を5つのグループに分けた結果も公表されています。2025年の各グループの平均貯蓄額は次のとおりです。

  • 第Ⅰ階級(少ないほうから20%):102万円
  • 第Ⅱ階級:534万円
  • 第Ⅲ階級(真ん中の20%):1,193万円
  • 第Ⅳ階級:2,353万円
  • 第Ⅴ階級(多いほうから20%):6,113万円

最上位の20%の平均は6,113万円で、真ん中のグループの約5倍です。5つのグループの平均をならすと、ちょうど全体の平均2,059万円になります。つまり、平均値は上位20%の大きな金額に強く引っぱられているのです。

また、家計調査の分布を見ると、1,000万円未満を100万円刻みで区切った中では「100万円未満」が10.1%で最も多くなっています。その一方で、4,000万円以上の世帯も15.2%います。少ない層と多い層の両方に世帯が集まっていることが、平均を実感から遠ざけています。

理由2:比べている相手の年齢がちがう

貯蓄は年齢とともに積み上がるため、全年齢の平均と比べると若い世代ほど「足りない」と感じます。家計調査2025年の世帯主の年齢別の平均貯蓄額は、次のとおりです。

世帯主の年齢 平均貯蓄額 平均負債額
40歳未満 994万円 1,882万円
40〜49歳 1,381万円 1,483万円
50〜59歳 1,756万円 743万円
60〜69歳 2,843万円 234万円
70歳以上 2,471万円 81万円

60歳以上の世帯はどちらも2,000万円を超えており、長年の積み重ねが反映される年代です。全体の平均2,059万円は、こうした高い年代の数字を含んだものです。30代や40代の人が全体平均と比べて落ち込むのは、物差しがそもそも合っていないと言えます。

理由3:「二人以上の世帯」の数字と比べている

よく報じられる「平均2,059万円」は、二人以上の世帯の数字です。一人暮らしの人がこの数字と自分を比べると、ズレはさらに大きくなります。J-FLECの調査でも、単身世帯の中央値は130万円と、二人以上世帯の720万円とは大きな差があります。

また、統計の「世帯」は家族全員の貯蓄を合わせた額です。夫婦の一方だけの口座を見て比べると、実際より少なく感じてしまいます。

理由4:調査によって「貯蓄」の中身がちがう

家計調査の「貯蓄」には、普通預金や定期預金のほか、生命保険の積立部分、株式、投資信託なども含まれます。2025年の二人以上の世帯では、「生命保険など」が369万円、有価証券が440万円でした。

一方、J-FLECの調査の「金融資産」は、預貯金のうち日常的な出し入れに使う部分を含まず、運用や将来のために蓄えている部分だけを数えています。銀行口座の残高だけを見て比べると、統計よりも少なく見えるのは当然です。

理由5:貯蓄と同時に借金(負債)も抱えている

家計調査によると、世帯主が50歳未満の各年齢層では、負債が貯蓄を上回る「負債超過」の状態です。負債の大部分は住宅ローンです。現役世代は「貯めているのに住宅ローンが重い」ため、手元に余裕がないと感じやすいのです。

実際、厚生労働省の「2025年国民生活基礎調査」では、生活が「苦しい」(大変苦しい・やや苦しい)と答えた世帯が55.4%にのぼりました。平均の数字が増えていても、多くの家庭がゆとりを感じにくい状況がうかがえます。

所得でも同じことが起きている

平均と実感のズレは、貯蓄だけでなく所得(収入)でも起きています。厚生労働省の「2025年国民生活基礎調査」によると、2024年の1世帯当たり平均所得金額は575万2千円でした。

これに対して中央値は451万円で、平均所得金額以下の世帯は61.5%を占めています。所得の分布では「200〜300万円未満」が13.5%で最も多く、平均値の575万円よりかなり低いところに世帯が集まっています。

同じ調査の貯蓄を見ると、全世帯の1世帯当たり平均貯蓄額は1,414万8千円です。ただし、「貯蓄がない」世帯が10.7%ある一方で、「3,000万円以上」の世帯も13.0%あります。このように、貯蓄も所得も「平均は上に引っぱられる」という同じ特徴を持っています。

自分の貯蓄と比べるときの正しい見方

自分の位置を知りたいときは、「平均値」ではなく「同じ条件の中央値」と比べるのが基本です。比べ方を少し変えるだけで、不必要な不安はかなり減らせます。

比べるときの4つのチェックポイント

  1. 平均値ではなく中央値を見る
  2. 同じ年代(世帯主の年齢)の数字を選ぶ
  3. 単身世帯か二人以上の世帯か、自分と同じ世帯の形を選ぶ
  4. その調査が何を「貯蓄」「金融資産」に含めているかを確認する

さらに、住宅ローンなどの負債がある場合は、「貯蓄から負債を引いた額(純貯蓄)」で考えると、家計の実態に近づきます。数字の出どころ(総務省、J-FLECなど)と調査年も、あわせて確認しておくと安心です。

他人との比較より「自分の目標」が大切

統計は、世の中の全体像をつかむための道具です。必要な貯蓄額は、住まい、家族構成、働き方、年金の見込みなどによって一人ひとり大きく異なります。

平均や中央値は「目安」として参考にしつつ、自分の暮らしに必要な金額から目標を考えることが大切です。なお、お金に関する判断は個人の状況によって異なるため、具体的な資産形成や老後資金の計画については、専門家や公的機関にご相談ください。

よくある質問

平均値と中央値、どちらを信じればよいですか?

どちらも正しい数字ですが、役割がちがいます。「多くの人の実感」に近いのは中央値です。一方、平均値は国全体の貯蓄の総量や、年ごとの増え方を見るのに役立ちます。

「平均貯蓄額2,059万円」は嘘の数字なのですか?

嘘ではありません。総務省の家計調査で、二人以上の世帯の平均値として正しく計算された数字です。ただし、高額世帯に引き上げられているため、約3分の2の世帯がこの平均を下回っています。

調査によって貯蓄額が大きくちがうのはなぜですか?

調査の対象や方法、「貯蓄」に何を含めるかがちがうためです。たとえばJ-FLECの調査は、日常の出し入れに使う預金を金融資産に含めていません。数字を比べるときは、同じ調査の中で比べるのが基本です。

中央値より少ないと、やはり問題がありますか?

中央値より少ないからといって、すぐに問題があるとは限りません。年齢や世帯の形、住宅ローンの有無などで、適切な貯蓄額は変わります。大切なのは、自分の暮らしに必要な金額を把握して、無理のない計画を立てることです。

まとめ

平均貯蓄額が実感とズレるのは、ごく一部の高額世帯が平均値を大きく引き上げているからです。総務省の家計調査では、二人以上の世帯の平均2,059万円に対して、貯蓄保有世帯の中央値は1,264万円で、約3分の2の世帯が平均を下回っています。

さらに、年齢、世帯の形、調査ごとの「貯蓄」の定義、住宅ローンなどの負債も、ズレを大きくする原因です。「平均以下に感じる」のは、あなたが特別に遅れているからではなく、平均値という数字の性質によるところが大きいのです。

次の一歩として、まずは家計調査やJ-FLECの調査で、自分と同じ年代・同じ世帯の形の「中央値」を確認してみてください。そのうえで、自分の暮らしに合った貯蓄目標を考えてみましょう。

参考リスト

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