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イロレーティング(Elo)の仕組みとは?チェスやゲームの「強さ」を計算する美しい数式の謎を平易に解説

統計学
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はじめに

対戦型のアドベンチャーゲームや格闘ゲーム、あるいはチェスや将棋などを遊んでいるとき、「自分と対戦相手の実力はどれくらい離れているのだろう?」「なぜ勝ったときにポイントがたくさんもらえる時と、少ししかもらえない時があるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

その疑問を解決するために、現代の多くのゲームで使われているのが「イロレーティング」という仕組みです。一見すると難しそうな数学の計算のように思えますが、その中身は実力と運のバランスをきれいに測ることができる、とてもスマートで美しいルールで成り立っています。

今回は、この「強さを数値化する仕組み」について、専門的な数学の数式をできるだけ使わずに、誰でも直感的に理解できるように分かりやすくお話ししていきます。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】イロレーティングの基本と、自分と相手の「強さ」を数値で見える化する仕組み
  • 【テーマ2】大金星でポイントが激変!「番狂わせ」が起きたときにレートが大きく動く秘密
  • 【テーマ3】対戦ゲームやスポーツ、ネットの世界まで幅広く使われる理由とメリット

この記事を読めば、普段プレイしているゲームのランキングや対戦マッチングの裏側が手に取るように分かるようになります。それでは、ゲームがもっと面白くなる「強さの数値化」の世界を一緒にのぞいてみましょう!


イロレーティング(Elo rating)とは?誕生の歴史と基本的な考え方

イロレーティングとは、チェスをはじめとするボードゲームや、オンラインの対戦ゲームなどで幅広く使われている「プレイヤーの相対的な実力を表す指標」のことです。この仕組みの名前は、考案者である物理学者でありチェスマスターでもあったアルパード・イロ(Árpád Élő)という人物の名前に由来しています。人名から取られているため、頭文字をとった略称ではなく「イロレーティング」と呼ぶのが正確です。

彼がこの仕組みを世に出す前、チェスの世界ではプレイヤーの強さを正確に評価することがとても困難でした。単に「勝った回数」や「負けた回数」を数えるだけでは、強い相手とばかり戦っている人と、初心者の人とばかり戦っている人を公平に比べることができなかったからです。

そこでイロ氏は、統計学や確率の考え方を取り入れ、「対戦相手の強さに応じて、勝敗の価値を変える」という画期的なシステムを開発しました。これが現代の対戦ゲームの土台となっているイロレーティングの始まりです。

「強さ」は常に変化する相対的なもの

イロレーティングの最も面白いところは、自分の実力が固定された絶対的な値ではなく、周りのプレイヤーとの比較によって決まる「相対的な値」であるという点です。基準となる数値(一般的には1500前後に設定されることが多いです)からスタートし、試合に勝てば数値が上がり、負ければ数値が下がります。この数値のことを「レート」と呼びます。

このシステムの素晴らしい部分は、単に勝敗を記録するだけでなく、「試合が始まる前の時点で、どちらがどれくらいの確率で勝つか」という予想を自動的に立てているところにあります。その予想に対して、実際の試合結果がどうだったかによって、試合後に移動するポイントの量が決まるのです。


実力と運を測る美しい仕組み!レートが変動する計算のルール

では、具体的にどのようなルールでレートが上がったり下がったりするのでしょうか。ここでは数学の複雑な数式を使わずに、その仕組みの本質を分かりやすくお話しします。イロレーティングの計算は、大きく分けて次の2つのステップで行われています。

ステップ1:試合前の「勝率の予想」

試合が始まる前に、システムは2人の現在のレートを比べます。たとえば、レートが1800の人と、レートが1400の人が試合をするとします。このとき、実力の高い1800の人が勝つ可能性が高いということは、誰の目から見ても明らかです。イロレーティングでは、この2人のレートの「差」を使って、それぞれの予想勝率を計算します。

このとき使われるのが、統計学でおなじみの「確率の波(確率分布)」の考え方です。人間はどんなに強くても、体調が悪かったり、たまたま運が悪かったりして実力を発揮できないことがあります。逆に、初心者であっても、その日は最高のひらめきが冴え渡って奇跡的な一手を指せることもあります。イロレーティングは、こうした「実力の揺らぎ」や「運の要素」をあらかじめ織り込んで、予想勝率を割り出しているのです。

ステップ2:試合後の「答え合わせとポイントの移動」

試合が終わると、システムは「事前の予想」と「実際のインシデント(結果)」の答え合わせを行います。ここがイロレーティングの最も美しく、よくできている部分です。基本となるルールは以下のようになります。

  • 予想通りの結果になった場合:レートの変動は小さくなります。強い人が順当に勝ったとしても、それは事前の予想通りですので、世間の評価はあまり変わりません。勝った人はわずかにレートが上がり、負けた人もわずかに下がるだけです。
  • 番狂わせ(大金星)が起きた場合:レートが大きく変動します。もしもレート1400の人が、格上の1800の人に勝つというドラマチックな番狂わせが起きた場合、事前の予想を大きく裏切ることになります。このとき、勝った人は「実は見た目以上に強いのではないか」と評価され、大量のポイントを獲得できます。逆に、負けてしまった格上の人は、大きなペナルティとしてレートが大幅に削られてしまいます。

このように、勝ったときにもらえるポイントと負けたときに失うポイントの合計は、常にプラスマイナスゼロになるように設計されています。つまり、対戦相手との間でポイントを奪い合っているようなイメージです。この仕組みがあるおかげで、全体のポイントが無限に増え続けることなく、常にプレイヤーの正しい実力の位置へと数値が収束していくようになっています。


なぜこれほど普及したのか?イロレーティングが選ばれる3つのメリット

チェスの世界で生まれたイロレーティングですが、現在ではサッカーの国際ランキング(FIFAランキング)や、オンラインゲームの自動マッチングシステム、さらにはビジネスの世界にまで応用されています。これほどまでに多くの場所で使われているのには、明確な3つの理由があります。

1. 過去の戦績に縛られず「現在の実力」がリアルタイムに反映される

従来の累計ポイント制(勝てば勝つほどポイントが貯まる仕組み)では、昔からずっとプレイしているベテランプレイヤーがどうしても有利になり、新しく入ってきた実力のあるルーキーが上位に追いつくのが難しくなってしまいます。しかしイロレーティングであれば、実力のあるプレイヤーは強い相手を倒すことで一気にレートを上げることができるため、短期間で自分の本当の実力に見合ったランキングへと到達することができます。また、しばらく試合をしておらず実力が落ちてしまった場合も、負ければすぐにレートが下がるため、常に「今現在の強さ」を正確に表し続けることができます。

2. 自己修正の機能がついている

もし、たまたま運が良くて連勝し、自分の実力以上の高いレートになってしまったとします。しかし、高すぎるレートのエリアに行くと、周りは自分よりも強い人ばかりになります。また、イロレーティングのルール上、自分より格下の相手に負けたときのマイナスポイントは非常に大きいため、実力が見合っていないプレイヤーは、試合を重ねるうちに自然と適正な数値まで引き戻されるようになっています。このように、システム自体が自動的に数値を正しい状態へと直していく「自己修正の力」を持っているのが大きな強みです。

3. 公平で楽しい対戦相手を見つけられる(マッチングの最適化)

オンラインゲームなどで、あまりにも強すぎる相手と戦わされて手も足も出ずに負けてしまったり、逆に弱すぎる相手とばかり当たって退屈してしまったりした経験はないでしょうか。イロレーティングによって全員の強さが数値化されていれば、システムは「レートの近い人同士」を自動的に組み合わせることができます。実力が拮抗した相手との勝負は、勝つか負けるかのハラハラ感を味わうことができ、プレイヤーが最もゲームを楽しめる状態を作ることができます。


現代のゲームにおけるイロレーティングの進化と応用

非常に優れたイロレーティングですが、現代の複雑なオンラインゲームにそのまま当てはめるには、いくつかカスタマイズが必要な部分もありました。たとえば、チェスのような1対1のゲームを想定して作られた仕組みであるため、以下のようなシチュエーションでは少し計算を工夫する必要があります。

  • チーム対戦ゲームの場合:5対5などで戦うゲームでは、1人のプレイヤーの勝ち負けだけでは本人の実力を測りにくいという問題があります。そのため、現代のゲームではチーム全員の平均レートを計算したり、試合中の個人の活躍度合いをボーナスとして加算したりするなどの改良版(Glickoシステムなど)が使われています。
  • バトルロイヤルゲームの場合:100人の中で1人の勝者を決めるようなゲームでは、「勝つか負けるか」の2択ではないため、順位に応じたポイントの配分など、さらに高度な統計学の計算が裏側で行われています。

形を変えながらも、その根本にある「事前の予想を裏切る結果ほど、数値が大きく動く」というイロレーティングのエッセンスは、今でも色褪せることなく引き継がれています。


まとめ

イロレーティングは、一見するとただのゲームのスコアやランキングの数字に見えますが、その中身は「人間の実力の揺らぎ」や「勝負の運」を驚くほどきれいに落とし込んだ、とてもスマートな数式の芸術です。

強い者に勝てば称賛され、格下に負ければ評価を落とすという、私たちが直感的に感じている「勝負の世界の当たり前」を、そのまま計算式にしているからこそ、これほど多くのゲームやスポーツで信頼され、使われ続けています。

次にゲームをプレイするときや、スポーツの国際ランキングを見たときは、ぜひその数値の裏側で働いている「イロレーティング」の賢い仕組みに思いを馳せてみてください。ただ勝った負けたの一喜一憂だけでなく、勝負の裏にあるドラマがより深く見えてくるかもしれません。


参考リスト


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