はじめに
毎日の身だしなみを整えるときに、何気なく手に取っている「くし」や「ブラシ」。私たちの生活にすっかり溶け込んでいる道具ですが、実は毎年9月4日に「くしの日」という記念日が制定されているのをご存じでしょうか?
普段当たり前のように使っているからこそ、その成り立ちや歴史、道具への感謝の心についてじっくり考える機会は少ないかもしれません。使い古したくしを納める伝統的なお祭りや、くしひとつで髪のツヤが大きく変わるお手入れ術を知ることで、いつものヘアケアがもっと豊かで楽しい時間に変わります。
👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇
- 【テーマ1】9月4日「くしの日」の由来と1978年に制定された背景
- 【テーマ2】全国各地の神社で行われる伝統行事「櫛供養」の歴史と見どころ
- 【テーマ3】道具を大切にする心と美髪を育む正しいくしの選び方・お手入れ術
この記事を読むことで、身近な道具であるくしの歴史的な魅力や感謝を捧げる文化がわかり、今日からのヘアケアをより一層丁寧に行いたくなるはずです。ぜひ最後までじっくりお楽しみください。
「くしの日」とは?語呂合わせから誕生した記念日の基礎知識
9月4日は「くしの日」として親しまれています。これは数字の「く(9)」と「し(4)」の語呂合わせから生まれた記念日です。
美容やファッションに携わる関係者の方々によって、1978年に正式に制定されました。私たちが普段の身だしなみやヘアスタイルを美しく整えるために欠かせない「くし」を大切に扱い、美容技術そのものや美容業界への理解を深めることを目的としています。
制定以来、美容業界ではくしをはじめとする商売道具への感謝を示すとともに、一般の方々に向けても髪のお手入れの大切さを伝える様々なイベントやキャンペーンが展開されてきました。
美容業界における「くし」の重要性と道具への感謝
プロの美容師や理容師にとって、くしは自らの指先の延長ともいえる非常に大切な仕事道具です。ミリ単位で髪を分け取り、正確なカットラインを生み出し、パーマやカラーを美しく仕上げるためには、手になじむ上質なくしの存在が欠かせません。
どんなに時代が進んでデジタル技術や最新の美容家電が登場しても、髪を梳かすという基本的な作業の核には必ずくしが存在しています。そのため美容関係者にとって、くしの日とは単なる語呂合わせのイベントではなく、技術を支えてくれる道具に対して改めて感謝を捧げる大切な節目となっているのです。
全国各地で行われる「櫛供養」の歴史と伝統
くしの日を迎えると、各地の神社などで「櫛供養(くしくよう)」と呼ばれる伝統的な儀式が執り行われます。これは、役目を終えたり歯が欠けたりして使えなくなったくしをゴミとしてただ捨てるのではなく、神社に納めて感謝の祈りを捧げる行事です。
京都・安井金毘羅宮の「櫛まつり」
全国的にも特に有名な櫛供養のひとつが、京都の東山区にある安井金毘羅宮で催される「櫛まつり」です。境内にある久志塚(くしづか)の前で、使い古されたくしやかんざしに感謝を込めて供養神事が行われます。
このお祭りでは、古墳時代から現代の舞妓姿に至るまで、日本の各時代の伝統的な髪型と衣装を忠実に再現した女性たちが街を練り歩く「時代風俗行列」が見どころとなっています。日本髪の結髪技術を保存・継承する文化行事としても非常に高い評価を受けています。
東京・浅草寺の鎮護堂で行われる櫛供養
関東地方でも、東京・浅草の浅草寺境内に位置する鎮護堂(おたぬきさま)などで、美容組合や髪結いの関係者を中心とした櫛供養が行われてきた歴史があります。江戸時代から続く粋な職人文化が息づく浅草において、美を支えてくれた道具に祈りを捧げる風習が今も受け継がれています。
道具を慈しむ日本独自の文化と精神性
日本では古くから、針を供養する「針供養」や、人形に感謝して納める「人形供養」のように、人のために尽くしてくれた道具に命や魂が宿ると考える文化が存在してきました。「櫛供養」もまさにその精神に基づいています。
日々の暮らしや美しさを支えてくれた道具に対して「今までありがとう」という気持ちを込めて手放す姿勢は、使い捨てが当たり前になりがちな現代において、物を慈しみ大切にする尊さを思い出させてくれます。
髪をいたわる「くし」の選び方とお手入れのコツ
くしの日をきっかけに、ご自身が愛用しているヘアブラシやくしを見直してみるのも素敵な過ごし方です。素材ごとに異なる特徴を理解することで、髪へのダメージを減らし、より艶やかな髪を手に入れることができます。
天然のつげ櫛(木製)の魅力
伝統的な「つげ櫛」は、静電気が起きにくく、髪の広がりや切れ毛を防いでくれる理想的なアイテムです。椿油などを定期的になじませてお手入れを重ねることで、使えば使うほど飴色に輝き、手や頭皮にしっとりとなじむようになります。適切にお手入れを続ければ一生モノとして長く愛用できます。
動物の毛(豚毛・猪毛)ブラシの特徴
豚毛や猪毛などの天然毛を使用したブラシは、天然の油分が含まれているため、髪を梳かすだけで自然なツヤを引き出すことができます。細くて柔らかな髪には密度の高い豚毛が合い、硬くて太い髪にはコシのある猪毛が適しています。
日常使いに便利なプラスチック製・最新素材
お風呂場や濡れた髪に使いたいときは、丸洗いができて清潔を保ちやすいプラスチック製やナイロン製のブラシが便利です。頭皮を心地よく刺激するパドルブラシや、髪の絡まりを摩擦なくスムーズにほどく設計の最新ブラシなど、用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
まとめ
9月4日の「くしの日」は、「く(9)し(4)」の語呂合わせから1978年に制定され、美を支える道具への感謝と美容技術への認識を深める記念日です。各地の神社で行われる櫛供養に見られるように、長年使った道具に礼を尽くす日本の美しい伝統が息づいています。
普段は何気なく使っているくしですが、少し意識を向けて丁寧にお手入れをしたり、素材にこだわった一本を選んだりすることで、日々の身だしなみの時間がぐっと心地よいものになります。この機会に、ご愛用のくしに感謝を込めてお手入れをしてみてはいかがでしょうか。

