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貧困撲滅のための国際デーとは?由来と2026年テーマをやさしく解説

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はじめに

10月17日は、国連が定めた「貧困撲滅のための国際デー」です。名前は聞いたことがあっても、いつ、なぜ生まれたのか、今年は何がテーマなのかまで知っている人は多くないかもしれません。世界ではいまも約10人に1人が極度の貧困の中で暮らしており、日本でも約7人に1人が「相対的貧困」の状態にあるとされています。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】貧困撲滅のための国際デーの始まりと歴史
  • 【テーマ2】2026年のテーマ「すべての人に安全な住まいを」の中身
  • 【テーマ3】世界と日本の貧困を数字で見たときの現状

国連や世界銀行、厚生労働省の最新の公表資料をもとに、この記念日の意味をわかりやすく整理しました。ニュースで耳にする「貧困」という言葉を、自分の身近な問題としてとらえ直すきっかけにしてください。

貧困撲滅のための国際デーとは?10月17日に込められた意味

貧困撲滅のための国際デーは、貧困を「人権の問題」としてとらえ、世界中で連帯を呼びかける日です。毎年10月17日に、国連をはじめ各国の政府や市民団体がさまざまな行事を行っています。

この日の大きな特徴は、貧困の中で暮らす人たち自身が主役になっていることです。国連によると、この日は貧困に苦しむ人々の努力や闘いを認め、その声を社会に届ける機会とされています。貧しい人こそが、貧困と闘う最前線にいるという考え方が、記念日の出発点から大切にされてきました。

また、国連は貧困を「お金が足りない」という経済の問題だけではないと説明しています。収入の不足に加えて、尊厳を持って暮らすための基本的な力が奪われている状態を、多次元的(いくつもの側面がある)な問題と位置づけています。国連が挙げている例は次のとおりです。

  • 危険な労働環境
  • 安全でない住まい
  • 栄養のある食べ物の不足
  • 裁判などの司法を平等に利用できないこと
  • 政治に参加する力がないこと
  • 医療を受ける機会が限られていること

これらは互いに結びつき、さらに貧困を長引かせる原因にもなります。この日は、そうした見えにくいつながりに目を向けることを求めているのです。

始まりは1987年パリ・トロカデロ広場の集い

この記念日の原点は、国連が制定するより5年前の1987年10月17日にさかのぼります。この日、フランス・パリのトロカデロ広場に10万人を超える人々が集まり、極度の貧困や暴力、飢餓の犠牲になった人々を追悼しました。

世界人権宣言ゆかりの場所で生まれた「誓い」

トロカデロ広場は、シャイヨ宮の前に広がる場所で、1948年に国連総会が世界人権宣言を採択した地でもあります。集まった人々は「貧困は人権の侵害である」と宣言し、人権が守られるよう力を合わせる必要があると確認しました。

その思いは、この日に除幕された記念碑に刻まれています。以来、毎年10月17日にはこの記念碑の前に人々が集まるようになりました。現在では記念碑のレプリカ(複製)が世界各地に設置されており、ニューヨークの国連本部の庭にもあります。国連事務局の毎年の記念行事は、このレプリカの前で行われています。

呼びかけ人ジョゼフ・ウレザンスキ

パリでの集いを呼びかけたのは、フランスの活動家ジョゼフ・ウレザンスキです。彼は貧困の中で暮らす家族とともに活動する国際NGO「ATD第四世界」の創設者として知られています。この日はもともと「極貧に打ち克つための世界デー」として、多くの国に広がっていきました。

1992年に国連が正式に制定

こうした動きを受けて、国連総会は1992年12月22日に決議47/196を採択し、10月17日を「貧困撲滅のための国際デー」と宣言しました。決議では、各国がこの日に貧困をなくすための具体的な活動を紹介・推進するよう呼びかけています。あわせて、国際機関やNGOが各国の行事を手助けすることも求めています。

2026年のテーマは「すべての人に安全な住まいを」

2026年は、住まいの問題に焦点が当てられています。国連は2026年から2028年までの3年間の共通テーマを「United for Peace and Human Rights(平和と人権のために団結を)」とし、2026年はその中で「Safe Homes for All(すべての人に安全な住まいを)」に重点を置いています。日本語の表記はいずれも筆者による仮訳です。

国連によると、世界では28億人以上が、何らかの形で十分とはいえない住まいで暮らしています。安全で安定した家がなければ、医療や教育、仕事、地域の活動に参加することもずっと難しくなります。危険な家、家賃が高すぎる家、人が多すぎる家、いつ追い出されるかわからない家は、貧困や社会からの孤立をさらに深めてしまうのです。

2026年に国連が呼びかける3つの行動

国連は2026年の行動として、次の3つを挙げています。

  1. 安全な住まいを人権の優先課題にすること:十分な住まいへの権利を尊重し、国の政策や予算の中で、尊厳ある暮らしにふさわしい優先順位を与える
  2. 貧困を経験する人と一緒に政策をつくること:形だけの意見聴取ではなく、住宅政策の設計から実施、評価まで当事者に直接参加してもらう
  3. すべての人の安全な住まいのために資金を集めること:公的な資金などを強化し、手ごろで安全な住宅を利用できる人を増やす

特に2つ目は、この記念日が始まったときからの考え方とつながっています。国連が紹介している当事者の声の中には、次のような言葉があります。

貧しい人のための政策は、貧しい人と一緒につくるべきです。(セネガルのセイナブ・Mさん、国連「2026年コンセプトノート」より・筆者訳)

国連本部での記念行事は10月16日に開催

2026年は10月17日が土曜日にあたるため、ニューヨークの国連本部での記念行事は前日の10月16日(金)に行われました。国際デーそのものは、例年どおり10月17日です。なお、2026年のテーマは、2025年11月にカタールのドーハで開かれた「第2回世界社会開発サミット」の後に国連総会が採択した「ドーハ政治宣言」も踏まえています。この宣言では、十分で安全な住まいや安全な飲み水などを含む、適切な生活水準への権利が改めて確認されました。

数字で見る世界の貧困(2026年10月時点)

世界の貧困は長い目で見れば減ってきましたが、ここ数年は改善が止まりつつあります。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)報告2026」は、極度の貧困をなくす歩みが停滞していると警告しています。

まず知っておきたいのが「極度の貧困」の基準です。世界銀行は2025年6月に国際貧困ライン(世界共通の貧困の目安)を見直し、それまでの1日2.15ドルから1日3.00ドルに引き上げました。物価の変化や各国の貧困ラインの最新データを反映するためです。1990年に「1日1ドル」の基準が作られて以来、こうした見直しは定期的に行われています。

国連が公表している主な数字を表にまとめました。

項目 数字
極度の貧困で暮らす人(2026年推計) 約8億2,600万人(世界人口の約10%)
社会保障をまったく受けられない人 約38億人
働いていても極度の貧困にある人(2025年) 約2億8,400万人(働く人の7.9%)
十分とはいえない住まいで暮らす人 28億人以上
貧困削減に向けた政府開発援助の贈与(2023年→2024年) 8.7%減の191億ドル

注目したいのは、仕事をしていても貧困から抜け出せない人が多いことです。国連によると、若い働き手は大人に比べて2倍以上も「働く貧困」に陥りやすいとされています。また、極度の貧困はサハラ砂漠より南のアフリカや、紛争の影響を受けている国に集中しつつあります。

日本にもある貧困:相対的貧困率は15.0%

「貧困」と聞くと遠い国の話に思えるかもしれませんが、日本にも目に見えにくい貧困があります。それを知る手がかりになるのが「相対的貧困率」という指標です。

絶対的貧困と相対的貧困の違い

貧困には大きく分けて2つの考え方があります。違いを表にまとめました。

種類 どんな状態か 主な使われ方
絶対的貧困 食べ物や医療など、生きるために最低限必要なものが手に入らない状態 世界銀行の国際貧困ライン(1日3.00ドル)など
相対的貧困 その国のふつうの暮らしと比べて、所得が大きく下回っている状態 日本やOECD(経済協力開発機構)加盟国の統計

日本ではOECDの基準にならい、世帯の手取り収入を世帯の人数で調整した「等価可処分所得」を計算します。その真ん中の値(中央値)の半分を「貧困線」とし、それに届かない人の割合を「相対的貧困率」としています。

最新の調査でわかった日本の現状

厚生労働省が2026年7月15日に公表した「2025(令和7)年国民生活基礎調査」によると、日本の相対的貧困率は15.0%でした。前回(2022年調査)の15.4%から0.4ポイント下がっています。18歳未満の「子どもの貧困率」は11.0%で、前回の11.5%から0.5ポイント下がりました。なお、ここでの所得は調査の前年1年間のものです。

数字はわずかに改善したものの、約7人に1人、子どもでは約9人に1人が相対的貧困の状態にある計算です。同じ調査では、暮らし向きが「苦しい」と答えた世帯が55.4%と、前回の51.3%から増えています。また、前回の2022年調査では、大人が1人の世帯(ひとり親世帯など)の相対的貧困率は44.5%と、約半数にのぼっていました。

相対的貧困は、外から見ただけでは気づきにくいのが特徴です。服装や持ち物では困っている様子がわからなくても、塾や部活動、修学旅行などの機会を我慢している子どもがいるかもしれません。生活や家計に関わる制度は世帯の状況によって異なるため、困ったときはお住まいの市区町村の相談窓口など、公的機関にご相談ください。

10月17日に私たちができること

貧困の問題はとても大きく、一人では何もできないように感じるかもしれません。それでも、まず「知ること」と「話題にすること」から始められます。国連の記念行事も、当事者の声に耳を傾けることを何より大切にしています。

  • 国連やユニセフ、世界銀行などが公表している資料に目を通し、正確な数字を知る
  • 家族や友人と、住まいや子どもの貧困について話してみる
  • フードバンクや子ども食堂など、地域で活動している団体を調べてみる
  • 寄付をする場合は、活動内容や会計報告を公開している信頼できる団体を選ぶ
  • 国連がオンラインで公開している記念行事の録画などを見て、世界の動きを知る

大切なのは、貧困を「自己責任」や「遠い国の出来事」として片づけないことです。国連が「貧しい人と一緒に考える」ことを繰り返し強調しているのは、当事者を置き去りにした支援では、本当に必要なところに手が届かないからです。

よくある質問

貧困撲滅のための国際デーはいつ制定されましたか?

国連総会が1992年12月22日に決議47/196を採択し、10月17日を国際デーと定めました。ただし、その起源は1987年10月17日にパリのトロカデロ広場で10万人以上が集まった集会にあります。

2026年のテーマは何ですか?

2026年から2028年までの共通テーマは「平和と人権のために団結を(United for Peace and Human Rights)」です。そのうえで2026年は「すべての人に安全な住まいを(Safe Homes for All)」に焦点が当てられています。日本語はいずれも仮訳です。

「極度の貧困」とはどのくらいの生活ですか?

世界銀行の基準では、1日3.00ドル未満で暮らす状態を指します。この金額は2025年6月の見直しで、それまでの2.15ドルから引き上げられました。物価の違いを調整した「購買力平価」という考え方で計算されています。

日本の貧困率は世界と比べて高いのですか?

日本の15.0%は「相対的貧困率」で、世界銀行の「極度の貧困」とは基準が違うため、単純には比べられません。相対的貧困率は国ごとのふつうの暮らしとの差を示す指標で、主に先進国どうしの比較に使われています。

まとめ

貧困撲滅のための国際デーは、1987年にパリで生まれた「貧困は人権の侵害である」という宣言を出発点に、1992年に国連が正式に制定した記念日です。2026年は「すべての人に安全な住まいを」を重点に、住まいを人権として守り、当事者と一緒に政策をつくり、必要な資金を集めることが呼びかけられています。

世界では約8億2,600万人が1日3.00ドル未満で暮らし、日本でも相対的貧困率は15.0%にのぼります。貧困は遠い国だけの問題ではなく、私たちの身近にもある課題です。まずは10月17日をきっかけに、国連の特設ページで今年のテーマや当事者の声を一度読んでみてください。

参考リスト

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