10月15日は「きのこの日」です。朝晩がひんやりとして、鍋料理や炊き込みご飯が恋しくなるこの季節。スーパーの売り場にも、しいたけ、しめじ、まいたけ、えのきなど、色とりどりのきのこが並びます。
一年中手に入るので「季節感のない食材」と思われがちなきのこですが、実は秋こそが本来の旬。そして、低カロリーなのに栄養が詰まった、とても頼もしい食材でもあります。
この記事では、きのこの日の由来から、意外と知らないきのこの正体、栄養、もっとおいしく食べるコツ、そして秋に気をつけたい毒きのこの話まで、まとめてご紹介します。
この記事でわかること
- 「きのこの日」が10月15日になった理由
- きのこは植物ではない? その意外な正体
- 日本で一番たくさん作られているきのこ
- きのこに含まれる栄養と健康へのうれしい働き
- 冷凍・天日干しでおいしさと栄養を引き出すコツ
- 秋に多い毒きのこ食中毒の注意点
「きのこの日」の由来
きのこの日は、しいたけをはじめとする「特用林産物」の振興に取り組む日本特用林産振興会が、1995年(平成7年)に制定しました。目的は、きのこの消費拡大と生産振興、そして健康食品としてのきのこの良さを広く知ってもらうことです。
日付が10月15日になったのは、10月がきのこの最も多く出回り、需要が高まる月だからです。その月の真ん中にあたる15日が選ばれました。冬の鍋シーズンを前に、きのこをPRするイベントを行うのにもちょうどよい時期というわけです。
この時期には、各地の自治体や林業団体が、きのこの販売会や品評会、収穫体験などの催しを行っています。林野庁や農林水産省でも、きのこの日に合わせて「森の恵み」を紹介する展示が開かれています。
「特用林産物」とは?
森林から生まれる産物のうち、一般的な木材以外のものをまとめた呼び名です。食用のきのこ類や山菜、木の実のほか、漆(うるし)、竹、木炭なども含まれます。きのこは、その代表選手なのです。
きのこの正体は「植物」ではなく「菌類」
野菜売り場に並んでいるので野菜の仲間と思われがちですが、きのこは植物でも動物でもなく、カビや酵母と同じ「菌類」の仲間です。
私たちが「きのこ」と呼んで食べている部分は、実は「子実体(しじつたい)」と呼ばれる、胞子を飛ばすための器官にすぎません。きのこの本体は、木や土の中に網の目のように広がる「菌糸(きんし)」です。いわば、私たちは「きのこの花」や「果実」にあたる部分をいただいているのです。
菌類は、落ち葉や倒木などを分解して土に返す「森の分解者」として、生態系を支える大切な役割を担っています。きのこが「森の恵み」と呼ばれるのには、そんな理由もあるのです。
ちなみに、日本に生えているきのこは4,000種以上あるといわれますが、そのうち食用として知られているのは100種ほど。毒きのことされるものも数十種類あります。名前もついていないきのこもまだたくさんある、なんとも奥深い世界です。
日本で一番作られているきのこは?
農林水産省の「令和7年特用林産物生産統計調査」によると、食用きのこ類の国内生産量は年間約44万3千トンで、前年より1.8%増えました。主な品目の生産量は次のとおりです。
| 順位 | 品目 | 生産量(令和7年) |
|---|---|---|
| 1位 | えのきたけ | 約13万200トン |
| 2位 | ぶなしめじ | 約11万5,700トン |
| 3位 | 生しいたけ | 約6万2,200トン |
| 4位 | まいたけ | 約5万5,200トン |
量で見ると、えのきたけとぶなしめじが二大巨頭です。どちらも室内の工場のような施設で、おがくずやトウモロコシの芯などを固めた「菌床(きんしょう)」を使って栽培されています。天候に左右されず安定して作れるため、一年中お手頃な価格で手に入るのです。
一方、秋の味覚の王様まつたけは、アカマツなどの生きた木の根と共生して育つ性質があり、今のところ実用的な人工栽培の方法が確立されていません。山で自然に生えたものを採るしかないため、その年の天候によって収穫量が大きく変わり、高値がつくのです。
きのこの栄養と健康へのうれしい働き
きのこは、そのほとんどが水分で、エネルギー(カロリー)はとても低めです。それでいて、体にうれしい栄養がしっかり含まれています。
① 食物繊維がたっぷり
きのこには食物繊維が豊富に含まれています。おなかの調子を整えたり、食後の血糖値の上昇をゆるやかにしたりする働きが期待でき、「腸活」の強い味方です。かさがあって噛みごたえもあるので、料理のボリュームアップにも役立ちます。
② 骨の健康を支えるビタミンD
きのこは、植物性の食品の中ではめずらしくビタミンDを含む食材です。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫に保つのに欠かせません。日光に当たる機会が減る秋冬こそ、意識してとりたい栄養素です。
③ エネルギーを生み出すビタミンB群
糖質や脂質をエネルギーに変えるときに働くビタミンB群も含まれています。疲れやすい季節の変わり目にもうれしい栄養です。
④ 注目の成分「β-グルカン」
きのこの細胞壁にはβ-グルカンという食物繊維の一種が含まれています。体の調子を整える働きについて、さまざまな研究が行われている成分です。ただし、きのこは「薬」ではありません。特定の病気が治るといった過度な期待はせず、毎日の食事にバランスよく取り入れるのが一番です。
もっとおいしく! きのこを楽しむ3つのコツ
コツ1:洗わずに、汚れは拭き取る
きのこは水分を吸いやすく、洗うと風味が落ちて水っぽくなります。市販の栽培きのこは清潔な環境で育てられているので、基本的には洗わなくて大丈夫です。気になる汚れは、キッチンペーパーなどで軽く拭き取りましょう。
コツ2:冷凍してうま味アップ
きのこは冷凍保存と相性抜群の食材です。石づきを取って小分けにし、保存袋に入れて冷凍するだけ。冷凍によって細胞が壊れ、加熱したときにうま味成分が出やすくなるといわれています。調理するときは解凍せず、凍ったまま鍋やフライパンに入れるのがポイントです。数種類を混ぜて「ミックスきのこ」にしておくと、汁物や炒め物にすぐ使えて便利です。
コツ3:天日干しでビタミンDを増やす
しいたけなどのきのこをかさの裏側を上にして日光に当てると、ビタミンDが増えることが知られています。数時間ほど干すだけでも効果が期待でき、水分が抜けてうま味も凝縮されます。晴れた日のベランダで、手軽に試せる「ひと手間」です。
きのこの日におすすめの食べ方
- 数種類のきのこを使った炊き込みご飯
- 冷凍ミックスきのこでつくる具だくさんのみそ汁
- バターとしょうゆで炒めるだけのきのこソテー
- 鍋料理の具材にたっぷり(うま味がスープに溶け出します)
要注意! 秋は毒きのこの食中毒が増える季節
きのこの話をするうえで、忘れてはいけないのが毒きのこです。厚生労働省の統計でも、毒きのこによる食中毒は夏の終わりから秋にかけて多く発生しています。
特に多いのが、食用のきのことよく似た毒きのこを間違えて食べてしまうケースです。
- ツキヨタケ:食用のヒラタケやムキタケと間違えられやすい
- クサウラベニタケ:食用のウラベニホテイシメジやハタケシメジと間違えられやすい
近年も、種類のわからない野生のきのこや、猛毒のドクツルタケが原因とみられる死亡事例が起きています。
「迷信」で見分けるのは危険です
「色が地味なら食べられる」「縦に裂けるものは安全」「虫が食べていれば大丈夫」といった言い伝えには、まったく根拠がありません。専門家でも見分けが難しいきのこは多く、確実に食用と判断できないきのこは、採らない・食べない・人にあげないことを徹底しましょう。
また、山へきのこ狩りに出かける場合は、遭難やクマとの遭遇にも注意が必要です。一人で入山せず、行き先と帰宅時間を家族に伝えるなど、安全対策を忘れずに。きのこを安心して楽しむなら、お店で売られている栽培きのこが一番です。
よくある質問
Q. きのこの日は誰が決めたのですか?
A. しいたけなどの特用林産物の振興に取り組む日本特用林産振興会が、1995年に制定しました。きのこの需要が最も高まる10月の真ん中にあたる15日が選ばれています。
Q. きのこは毎日食べても大丈夫ですか?
A. 一般的な食用きのこは、毎日の食事に取り入れやすい食材です。ただし食物繊維が多いため、一度にたくさん食べるとおなかが張ることもあります。いろいろな食材と組み合わせて、適量を楽しみましょう。
Q. 冷凍したきのこはどのくらい保存できますか?
A. 目安としてはおよそ1か月ほどです。霜がつくと風味が落ちるので、袋の空気をしっかり抜いて保存し、早めに使い切るのがおすすめです。
まとめ:秋の食卓に「森の恵み」を
きのこの日は、身近すぎて見過ごしがちなきのこの魅力を見直すきっかけの日です。森の分解者として生態系を支え、私たちの食卓では低カロリーで栄養豊富な食材として活躍してくれるきのこ。冷凍や天日干しといったちょっとしたひと手間で、そのおいしさと栄養はさらに引き出せます。
今夜は、何種類かのきのこをたっぷり使った鍋や炊き込みご飯で、秋の味覚を楽しんでみてはいかがでしょうか。そして野山で見かけたきのこは「見て楽しむだけ」にしておく。それが、きのこと上手に付き合う秘訣です。

