「夜は6時間くらいしか眠れていない。これって足りないのだろうか?」
「午前中も午後も眠くなる。昼寝をしてもいいの?」
「寝る前のスマホやパソコンは、本当にそんなに悪いの?」
年齢を重ねると、睡眠についてこうした疑問がわいてきます。今回は、厚生労働省が2024年2月に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」と、国内外の最新研究(2025〜2026年の論文を含む)をもとに、70歳前後の睡眠について調べた内容をまとめました。
先に結論を言うと、高齢者の睡眠は「何時間眠ったか」より「寝床にいる時間を長くしすぎないこと」と「朝起きたときの休養感」が大切です。そして、寝る前の画面で問題になるのは、ブルーライトよりも「頭の興奮」と「寝る時刻が遅れること」だとわかってきました。
この記事のポイント(3行まとめ)
- 睡眠時間:70歳では実際に眠れるのは6時間前後が一般的。6時間は「人によっては適切」の範囲です。物差しは時間数ではなく、朝の休養感と日中の眠気です。
- 昼寝と光:13〜15時の眠気は体内時計による自然な現象。15時前に20〜30分以内の昼寝は合理的です。ただし「午前中の居眠り」「毎日の長い昼寝」は体からのサインかもしれません。
- 寝る前の画面:ブルーライトの直接の影響は寝つきが数分〜10分遅れる程度。本当の問題は「調べ物の興奮」「睡眠時間の押しのけ」「ベッド=起きている場所という習慣づけ」です。
1. 70歳では何時間眠ればいいの?
国の指針は「寝床にいる時間を8時間以上にしない」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、高齢者向けに次の3点を勧めています。
- 長い床上時間(寝床にいる時間)は健康リスクになるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する
- 食生活や運動などの生活習慣、寝室の環境を見直して、睡眠休養感(ぐっすり眠れて休まった感覚)を高める
- 長い昼寝は夜の眠りを妨げるので、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす
床上時間の目安は「1週間の平均睡眠時間+30分程度」です。また同ガイドは、高齢でも日中に忙しく過ごしている人は成人と同じくらいの睡眠が必要な場合もあるとし、6時間以上を目安に、休養感が得られる自分なりの睡眠時間を見つけましょうと呼びかけています。
年をとると「眠れる時間」は自然に減る
脳波で測った夜間の睡眠時間は、15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、大人になってからは20年ごとにおよそ30分ずつ減っていきます。
ところが、寝床にいる時間は45歳以降むしろ増え、75歳では7.5時間を超える傾向があります。つまり高齢者は、「眠れる時間に対して、寝床にいる時間が長すぎる」状態になりやすいのです。寝床で眠れずに過ごす時間が増えると、眠りが浅く途切れがちになります。
同ガイドが引用する研究では、65歳以上では睡眠時間そのものより、床上時間が約8時間以上の場合に死亡率が高まることが示されています。
海外の推奨は「7〜8時間、ただし5〜6時間も許容範囲」
米国の国立睡眠財団(NSF)は65歳以上に7〜8時間を推奨し、5〜6時間や9時間は「人によっては適切」としています。NSFは2026年6月に、133のメタ解析を検討した10年ぶりの見直しを発表し、この推奨を再確認しました。一方、米国国立老化研究所(NIA)は7〜9時間としており、機関によって幅があります。
自分に必要な睡眠時間を確かめる方法
6時間で十分かどうかは人それぞれです。確かめる一番確実な方法は、起床時刻はそのままで、就寝を30分早める生活を2週間続けてみることです。
- 日中の眠気がはっきり減った → もう少し睡眠が必要だった
- 眠気が変わらない、または寝つきが悪くなった → 6時間前後が自分の必要量。眠気の原因は質・リズム・睡眠障害など別のところにあるかもしれません
2. 深い眠りはどのくらい必要?スマートウォッチの数値は信じていい?
「1晩◯分必要」という基準はない
深い眠り(ノンレム睡眠のステージ3、徐波睡眠)は、年齢とともに減るのが普通です。シカゴ大学の研究(2000年)では、深い眠りは25歳未満で一晩の約20%でしたが、35歳を超えると5%未満に減っていました。
特に男性で減りやすく、2,500人以上を対象にした研究(2004年)では、70歳を超える男性は55歳未満の男性より深い眠りが約50%少なく、同年代の女性と比べても3倍以上少ない結果でした。一方で、別のメタ解析では、深い眠りの減少は主に若年〜中年期に起こり、60歳以降はほぼ横ばいになるとされています。
深い眠りは記憶の定着や気分の調整と関係するという研究もありますが、「深い眠りを増やせば病気を防げる」とまでは言えません。深い眠りを支える方法として根拠があるのは、日中の運動、就寝1〜2時間前の入浴、寝床にいる時間を長くしすぎないこと、アルコールを控えることです。
スマートウォッチは「睡眠の段階」の判定が苦手
スマートウォッチや指輪型デバイスは、「眠っているか起きているか」の判定は得意ですが、「浅い・深い・レム」といった段階の判定は苦手です。
2024年の研究(20〜50歳の健康な成人35人、医療機関の精密検査と比較)では、どの機種も睡眠の検出は95%以上できていました。しかし深い眠りを正しく見つけられた割合は、Oura Ringで約80%、Fitbitで約62%、Apple Watchで約51%にとどまりました。11機種を比べた韓国の研究(2023年)でも、睡眠段階の一致度は機種によってばらつきがありました。
さらに、こうした検証の多くは若くて健康な人が対象で、70歳前後での精度はまだよくわかっていません。米国睡眠医学会は、市販の睡眠機器は診断には使えず、睡眠に不満がある人や日中の眠気が強い人は「機器の表示にかかわらず」医療者に相談すべきだとしています。厚労省のガイドも、安価な機器の精度は十分とは言いがたいと記しています。
スマートウォッチの数値の上手な読み方
- 一晩ごとの「深い睡眠◯分」には一喜一憂しない
- 見るのは1〜2週間の平均と傾向(就寝・起床時刻、総睡眠時間、規則正しさ)
- 数値が気になって眠れなくなるなら、段階表示を見ないのも一つの手
- 最終的な物差しは「朝の休養感」と「日中の眠気」
3. 日中に眠くなったら昼寝をしてもいい?
眠気には2種類ある
①起きてすぐの眠気(睡眠慣性)
目覚めた直後、脳がまだ完全に起ききっていない状態です。韓国の全国調査では、朝のぼんやりが消えるまでの平均は約16分でした。ふつうは1時間以内に薄れますが、睡眠不足や朝の光不足、夜型の生活で長引きます。この眠気には昼寝ではなく、光と体を動かすことで対応します。
②午後の眠気
14時前後に覚醒度が下がるのは体内時計による生理現象で、昼食を食べなくても起こります。睡眠不足があると強く出ます。
おすすめは「15時前に20〜30分以内」
厚労省の以前の指針(2014年)は、働く世代に「午後の早い時刻に30分以内」の昼寝を勧めていました。2023年版の高齢者向けでは具体的な分数は示さず、「長時間の昼寝を避ける」「目覚ましをかけたり、家族に起こしてもらったりする」としています。同ガイドは、30分以上の昼寝を習慣にしている人は将来の死亡リスクが1.27倍という研究も紹介しています。
日本の地域に住む高齢者389人を5年間追跡した研究では、30分未満の昼寝をする人は、昼寝をしない人より認知機能が低下しにくいという結果でした。
「長い・頻繁・午前中」の昼寝には注意
一方で、2025〜2026年には昼寝の取り方とリスクの関連を示す研究が相次いでいます。
- 米国の研究(2026年4月):56歳以上1,338人の昼寝を活動量計で測り、最長19年追跡。昼寝が長い、回数が多い、午前中に昼寝をする人ほど死亡率が高く、午前に昼寝をする人は午後早めの人より死亡リスクが30%高い結果でした。
- 英国の大規模データ(2025年の学会発表):約8万6千人で、長い昼寝や昼寝時間のばらつきが死亡リスクと関連しました。
- ジョンズ・ホプキンス大学の研究(2026年10月):65歳以上995人を10年追跡し、ほぼ毎日昼寝をする人は認知症リスクが48%、意図しない居眠りがある人は39%高い結果でした。こちらでは30分以下の昼寝でもリスクが高く、日本の研究とは逆の結果になっています。
ただし、これらはすべて観察研究で、「昼寝が原因で病気になる」ことは証明されていません。研究者自身も、昼寝が増えるのは脳の初期変化や病気、夜の睡眠障害の「サイン」かもしれないと指摘しています。
実用的には、「眠気を感じて、計画的に短く寝る」のは問題が小さく、「毎日気づくと長く寝ている」「午前中から居眠りする」のは医師に相談するきっかけと考えるのがよさそうです。
4. 眠気覚ましにウォーキングは効く?
運動は高齢者の睡眠の質を改善する
はい、効きます。高齢者を対象にした研究をまとめた2025年のメタ解析では、運動によって主観的な睡眠の質がはっきり改善し、総睡眠時間は約9分、睡眠効率は約3.7ポイント向上しました。別の2025年のメタ解析では、回数が少なく、短時間で、軽〜中程度の運動でも効果があると結論しています。がんばりすぎる必要はありません。
午後の眠気に対して、昼寝をしないなら5〜10分歩く、ストレッチをするのも有効です。体を動かすと一時的に目が覚めます。ただし睡眠不足そのものは解消しないので、毎日強い眠気があるなら夜の睡眠を見直しましょう。
運動の時間帯
夕方や夜の運動が睡眠を悪くすることは、健康な成人ではあまりないとされています。ただし1万4千人以上のウェアラブルデータを分析した2025年の研究では、寝る時刻に近い激しい運動ほど寝つきが遅れ、睡眠が短くなる傾向があり、就寝の4時間以上前に終えることが勧められています。厚労省のガイドも、寝る前1時間以内の激しい運動は控えるよう述べています。ウォーキング程度なら、時間帯をあまり気にしなくて大丈夫です。
朝の光で体内時計をリセット
厚労省のガイドは、起床後に朝日の強い光を浴びると体内時計がリセットされるとし、高齢者には日中にできるだけ長く太陽の光を浴びることを勧めています。2025年の研究でも、午前10時前に日光を浴びることが睡眠の質の良さと関連していました。高齢者の自宅で行った光の研究では、朝の明るい光は生活リズムを安定させた一方、夕方以降の光は寝つきを遅くしました。
年をとると目の水晶体が黄色くなり、瞳孔も小さくなるため、網膜に届く光が減ります。高齢者ほど、昼間はしっかり明るい光を浴びる必要があると考えられます。朝の屋外ウォーキングは、運動と光を同時にとれる一石二鳥の方法です。
5. 「寝る前30分は画面を見ない」は何が違うのか
「寝る前のスマホはブルーライトが悪い」とよく言われます。ところが最新の研究を見ると、話はもう少し複雑です。
(1) ブルーライトの直接の影響は意外に小さい
よく引用されるハーバード大学の実験(2015年)では、若い成人12人が暗い部屋で最大輝度のタブレットを寝る前に約4時間読むと、紙の本より寝つくまでに平均約10分長くかかりました。ただし総睡眠時間や睡眠効率に差はありませんでした。しかも条件は日常よりずっと強いものです。
日中に明るい光を十分浴びていれば、2時間のタブレット読書でも睡眠に差がなかったという実験もあります。ブルーライトカット眼鏡の効果を調べた2025年のメタ解析でも、寝つきの短縮は約5分で、統計的に意味のある差ではありませんでした。
(2) 問題は「頭の興奮」
米国の調査を分析した研究(2013年)では、テレビや音楽のような「受け身」の機器より、パソコン・ゲーム・スマホのような「自分で操作する」機器を寝る前に使うほど、寝つきの悪さや休養感のなさが多いと報告されています。
AIとの対話や調べ物は、まさに好奇心を刺激する「双方向」の活動です。ドラマ視聴は比較的受け身ですが、続きが気になるシリーズは「もう1話だけ」と就寝の先延ばしを招きます。
(3) 最大の要因は「時間の押しのけ」
ニュージーランドの研究(2024年、11〜14歳)では、寝る前2時間の画面使用は多くの睡眠指標と関係がありませんでした。ところがベッドに入ってからの画面使用は、10分ごとに総睡眠時間が約3分短くなり、自分で操作する使い方では約9分短くなりました。研究者は、主な影響はブルーライトではなく「眠ろうとする時刻が遅れること」だと述べています。
米国の成人約12万人の分析(2025年)でも、寝る前1時間に毎日画面を使う人は、就寝時刻が約19分遅い傾向がありました。
(4) 「ベッド=眠る場所」という習慣づけ
ベッドで画面を見たり考えごとをしたりする習慣が続くと、脳は「ベッド=起きて考える場所」と覚えてしまいます。不眠の認知行動療法(CBT-I)の柱である刺激制御法では、次のルールでこの結びつきを作り直します。
- ベッドは眠るためだけに使う
- 眠くなってから寝床に入る
- 眠れないとき(目安は約20分)はいったん寝床を離れる
- 毎日同じ時刻に起きる
(5) 高齢者の目と光
水晶体の黄変で、高齢者では青い光が網膜に届く量が約4割減るという研究があります。ただし、同じ研究では高齢者の光への反応(メラトニン抑制)は若者と変わらず、逆に弱くなるという研究もあって、結論は一致していません。
実用的には、①「年をとったから夜の画面は気にしなくていい」とは言えない、②むしろ昼間の光が足りなくなりやすいので意識して浴びる、③夜は部屋の照明を暖色で暗めにし、画面の明るさを下げる、の3点を押さえておけば十分です。
まとめ:「寝る前30分は画面を見ない」の本当の効果は、光を避けることより「頭をクールダウンさせること」と「決めた時刻に寝床に入ること」にあります。最も大事なのは、ベッドの中で画面を見ないことです。
6. そのほか、睡眠を良くするための実用情報
不眠の第一選択は「認知行動療法(CBT-I)」
米国睡眠医学会のガイドライン(2021年)は、慢性的な不眠に対して、刺激制御・睡眠制限・リラクセーションなどを組み合わせたCBT-Iを強く推奨しています。一方、「睡眠衛生の注意だけ」では治療として不十分とされています。寝床にいる時間を自分で短くする場合、厚労省のガイドは「6時間を限度に」としています。
毎日の起床時刻をそろえる
何より優先したいのが、毎日同じ時刻に起きることです。昼夜のメリハリが睡眠の質を高めます。
カフェインとお酒
カフェインは1日400mg(コーヒー約4杯)を超えると眠りにくくなる可能性があり、夕方以降は量にかかわらず控えめに。高齢者はさらに減らすことが勧められています。寝酒は寝つきを一時的に良くしても、夜の後半の眠りを浅くし、途中で目が覚めやすくなります。
入浴は寝る1〜2時間前に
17の研究をまとめたメタ解析(2019年)では、40〜42.5℃の入浴やシャワーを就寝1〜2時間前に(10分程度でも)とると、寝つきが早まり睡眠の質も改善しました。高齢の方は、熱すぎるお湯、長湯、脱衣所との温度差(ヒートショック)に十分注意してください。
寝室の環境
暗く、静かで、暑すぎず寒すぎない部屋に。テレビや照明をつけたまま寝ない、スマホやタブレットは寝室に持ち込まない、といった工夫も厚労省のガイドで勧められています。
こんなときは受診を
50歳代以降は、不眠症、睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群などが増えてきます。次のような場合は医師に相談しましょう。
| 気になるサイン | 考えられること・相談先 |
|---|---|
| 大きないびき、家族に「息が止まっている」と言われる、起床時の頭痛、日中の強い眠気 | 閉塞性睡眠時無呼吸。日本人はあごが小さく、太っていなくても起こりえます。呼吸器内科・耳鼻咽喉科・睡眠外来へ |
| 夕方〜夜、じっとしていると脚がむずむずして動かしたくなる | むずむず脚症候群。鉄不足や薬が関係することも。まずは内科で血液検査を |
| 夜に何度もトイレで起きる | 夜間頻尿。塩分のとりすぎのほか、前立腺・心臓・腎臓の病気が隠れていることも。かかりつけ医や泌尿器科へ |
| 対策しても休養感が戻らない、意図せず居眠りする、昼寝が毎日長くなった、気分の落ち込みがある | かかりつけ医に相談を |
7. 実践編:夜型・調べもの好きな人の1日モデルスケジュール
ここからは、具体的なモデルケースで考えてみます。
モデルケース:70歳前後。22時に寝るつもりが、パソコンでの調べ物やAIとの対話が楽しくて23時にずれ込む。6時に起床。スマートウォッチでは睡眠約6時間。起きてから1時間ほどと、午後に強い眠気がある。
この場合、寝床にいる時間は約7時間で、国の目安の範囲内です。睡眠効率も約86%と、高齢者としては悪くありません。量より「質とリズム」に改善の余地があり、課題は①就寝時刻の先延ばし、②直前まで好奇心を刺激する作業をしていること、③屋内中心の生活で日中の光が足りないこと、の3つと考えられます。
そこで、次のようなスケジュールを2〜4週間試してみます。
| 時刻 | 行動 | ねらい |
|---|---|---|
| 6:00 | 毎日同じ時刻に起床。すぐカーテンを開ける | 体内時計の基準点をつくる |
| 6:15〜7:30 | 朝食前後に屋外ウォーキング(難しければ窓際で朝食) | 朝の光で寝起きの眠気を短くし、夜の眠気を早める |
| 午前 | PC作業は1時間ごとに立ち上がる。午前中は横にならない | 午前の居眠りを避ける |
| 13:00〜13:30 | 眠ければ20分ほど昼寝(アラーム必須、ソファで)。眠くなければ5〜10分散歩 | 午後の眠気への計画的な対処。15時以降は寝ない |
| 15時以降 | カフェインを控える | 夜の寝つきを守る |
| 21:00頃 | 入浴(就寝の1〜1.5時間前) | 体温が下がるタイミングで眠気を促す |
| 21:30 | 「PC終了時刻」。タイマーや自動スリープを設定 | 興奮する調べ物から離れる |
| 21:30〜22:30 | リビングでドラマや映画(暖色の暗めの照明、画面は明るさ控えめ)。「1話だけ」と決める | 受け身の娯楽で頭をクールダウン |
| 22:30前後 | 眠気を感じたら寝床へ。スマホは寝室に持ち込まない | ベッド=眠る場所 |
| 眠れないとき | 約20分眠れなければ寝床を出て、暗めの部屋で静かに過ごす | 刺激制御法 |
好奇心と上手に付き合う3つの工夫
①「疑問メモ」で翌朝に予約する
21時半以降に疑問がわいたら、紙か音声メモに一行だけ書いて「明日の朝、調べる」と予約します。コツは調べ始めないこと。好奇心を消すのではなく、翌朝に回すだけなので損はありません。
②朝の「ゴールデンタイム」を使う
朝食後から午前中は、体内時計の上で頭が冴えている時間帯です。メモした疑問はこの時間に取り組むと、夜より効率よく深く考えられます。
③「時間を増やす」発想に切りかえる
夜に1時間延長して、翌日の午前と午後を眠気でぼんやり過ごすより、夜をきっちり区切って日中の「冴えている時間」を増やすほうが、結果として使える時間は増えるはずです。スマートウォッチの記録で「PCを21時半に閉じられた日」に印をつけるだけでも、続ける力になります。
効果の確かめ方
2週間ごとに、①朝の休養感(5段階)、②午前と午後の眠気の強さ、③スマートウォッチの就寝時刻と総睡眠時間の平均、を記録してみましょう。眠気が減れば続け、減らなければ就寝を22時に早めたり、ウォーキングを朝に移したりします。それでも強い眠気が続く場合や、いびき・呼吸の停止を指摘された場合は、睡眠時無呼吸などの検査を受けることをおすすめします。
おわりに:研究の限界と注意点
- 昼寝と認知症・死亡の研究はすべて観察研究で、因果関係は示されていません。「短い昼寝」の評価も研究によって逆の結果が出ており、結論は確定していません。
- 寝る前の画面と睡眠の研究は若い人が対象のものが多く、70歳前後での直接の実験データはまだ少ないのが現状です。
- スマートウォッチの睡眠の数値には、数十分単位の誤差がありえます。
- 必要な睡眠時間には大きな個人差があり、ここで紹介した数値はあくまで目安です。
年齢とともに眠りが短く浅くなるのは、自然な変化です。大切なのは数字に振り回されず、「朝、気持ちよく起きられるか」「日中を元気に過ごせるか」を物差しにして、自分に合った眠り方を見つけていくことです。まずは「毎朝同じ時刻に起きて、カーテンを開ける」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」および公開された研究をもとにした一般的な健康情報であり、医学的な診断や治療の代わりにはなりません。持病や服薬(睡眠薬、利尿薬、抗うつ薬など)がある方、症状が続く方は、生活を変える前に医師にご相談ください。

