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【詳細版】UFO機密ファイル第7弾まとめ|スキンウォーカー牧場と黒い三角形の正体

社会
この記事は約24分で読めます。

  1. はじめに
  2. 第7弾の基本情報:初めての「動画なし・文書のみ」の回
    1. 公開日と規模
    2. 戦争省の発表
  3. 第7弾で公開された主な資料
  4. 目玉①:スキンウォーカー牧場の調査報告(DOW-UAP-D174)
    1. スキンウォーカー牧場とは
    2. 報告書の中身
    3. 記録された「謎の生物」
    4. DNA鑑定の結果は「イヌ」と「アライグマ」
    5. 前回の記事からの「更新」:牧場調査は契約業務だった
  5. AAWSAP/BAASSのそのほかの内部文書
  6. 目玉②:2026年に目撃された「黒い三角形」(DOW-UAP-D176)
    1. 何が目撃されたのか
    2. 「熱」については報道が食い違う
    3. 評価:正体は「敵国の秘密兵器」か「それ以外」か
  7. 目玉③:冷戦期などの歴史資料
  8. 第1~6弾と第7弾は何が違うのか
  9. 実在の「プロジェクト・ブルーブック」との関係
    1. ブルーブックの記録はAAWSAPの「材料」になっていた
    2. カタリナ島の記録に見る「ブルーブック流」の説明
    3. スキンウォーカー牧場は「ブルーブックの事件」ではない
  10. ドラマ『プロジェクト・ブルーブック』との関係
  11. 『X-ファイル』との関係
    1. 「シェイプス」(シーズン1第19話、1994年)と牧場の「獣人」
    2. 「ディープ・スロート」(シーズン1第2話、1993年)と黒い三角形
    3. 「政府の秘密の保管庫」というモチーフ
  12. 懐疑的な見方と、残された疑問
  13. よくある質問
    1. UFOファイル第7弾で、宇宙人の存在は証明されたのですか?
    2. 第7弾の資料はどこで見られますか?
    3. 「時速1,800マイルの黒い三角形」は本当にその速さで飛んだのですか?
    4. 次の第8弾はいつ公開されますか?
  14. まとめ
  15. 参考リスト
    1. 共有:

はじめに

「アメリカ政府がUFO機密ファイルの第7弾を公開した」「宇宙人のような生き物の目撃記録まで出てきたらしい」というニュースを見て、今度こそ決定的な証拠が出たのか気になった方も多いはずです。2026年10月23日(金、米国時間)、米戦争省(国防総省)は、UAP(未確認異常現象)、いわゆるUFOに関する政府資料の公開事業「PURSUE(パースー)」の第7弾を公開しました。今回の目玉は、ユタ州の「スキンウォーカー牧場」周辺で2010年に行われた調査の報告書と、2026年に連邦捜査官が目撃した「黒い三角形の物体」の記録です。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】UFOファイル第7弾で公開された資料の中身
  • 【テーマ2】第1~6弾と第7弾の違い
  • 【テーマ3】『プロジェクト・ブルーブック』『X-ファイル』とのつながり

先に結論をお伝えすると、第7弾でも「宇宙人の存在を証明する証拠」は示されていません。謎の生物の毛をDNA鑑定した結果は、イヌとアライグマでした。それでも、これまで噂や暴露本でしか語られてこなかった「国防総省の予算で行われた超常現象調査」が、政府の公式文書として表に出たことには大きな意味があります。この記事は、第1~6弾をまとめた前回の記事(米政府のUFO(UAP)機密資料「PURSUE」第1~6弾まとめ)の続編です。PURSUEの始まりや「戦争省」という名前の意味は前回の記事で詳しく扱っていますので、あわせてお読みください。ここからは、事実と憶測を分けながら順に整理していきます。

第7弾の基本情報:初めての「動画なし・文書のみ」の回

第7弾は、PDF文書28件だけで構成された、これまでで最も小さい回です。過去6回と違い、動画や画像が1本も含まれていない点が最大の特徴です。

公開日と規模

第7弾は2026年10月23日(金)、専用サイト「war.gov/ufo」で公開されました。日本時間では10月24日(土)の未明にあたります。米国のUFOニュースサイト「アンノウン・カントリー」によると、第6弾(9月18日)から35日後の公開でした。前回の記事では、「公開はいつも金曜日」という傾向から11月13日(金)を予想する報道を紹介しましたが、実際にはそれより3週間ほど早く公開されたことになります。

規模は28件のPDF文書で、累計は478件になりました(米科学情報サイト「スターラスト」や「インタレスティング・エンジニアリング」の集計による)。米科学誌サイエンティフィック・アメリカンも、今回はこれまでの回と違って動画も画像も含まれていないと伝えています。

なお、件数の数え方は報道によって異なります。米ニュースサイトのアクシオスは「10の文書」と報じており、これは関連ファイルをまとめて数えたためとみられます。一方、28件を加えた累計478件という数字は、前回紹介した「第6弾までで450件」という集計とも合っています。

戦争省の発表

戦争省のショーン・パーネル報道官は声明で第7弾の公開を発表し、資料は今後も「順次公開」していくこと、すでに次の公開に向けて関係機関と作業を進めていることを明らかにしました。また、公式サイトの声明では、機密の壁に隠されてきた資料が長く臆測を呼んできたとし、今こそ国民が自分の目で確かめるときだと説明しています。

ここで一つ注意があります。トルコのアナドル通信など一部の海外報道は、第7弾に「動画や画像」が含まれる、あるいはトランプ大統領が「大統領令(executive order)」に署名した、と書いています。しかし実際には第7弾は文書のみで、公式サイトでも発端は大統領の「指示(directive)」と説明されています(前回の記事を参照)。

第7弾で公開された主な資料

第7弾の中身は、大きく分けて次の3つのグループです。

グループ 主な資料 ポイント
① AAWSAP/BAASSの内部文書 スキンウォーカー牧場の調査報告(2010年)、計画管理書(2008年)、月例報告(2009年)、自己評価報告(2010年)など 国防情報局(DIA)の委託研究の「中身」が初めて公式に公開された
② 2026年の黒い三角形 FBIの観察報告とAAROの記録メモ、再現イラスト これまでで最も新しい「今年」の事例
③ 冷戦期などの歴史資料 1957年のB-52の記録、カタリナ島の目撃(1949~55年)、スウェーデンの目撃、1963年の「宇宙機の破片」の扱いをめぐる文書など グアム、イタリア、カナダ、ドイツ、モロッコ、スウェーデンなど海外の事例も

それぞれ詳しく見ていきましょう。

目玉①:スキンウォーカー牧場の調査報告(DOW-UAP-D174)

第7弾最大の話題は、国防総省の委託研究としてスキンウォーカー牧場の周辺が調べられていたことを示す報告書です。ただし、そこに記録されているのは目撃証言が中心で、物的証拠は既知の動物のものでした。

スキンウォーカー牧場とは

スキンウォーカー牧場は、ユタ州北東部、フォート・デュシェーンの近くにある約512エーカー(約207ヘクタール)の私有の牧場です。名前の由来は、ナバホ族の伝承に登場する「スキンウォーカー」で、動物に姿を変えることができる、悪意を持った魔女のような存在とされています。

この牧場が有名になったのは1996年のことです。米Historyチャンネルの解説記事によると、1994~96年に牧場を所有していたシャーマン夫妻が、1996年6月に奇妙な光や家畜の異変を体験したと地元の記者に語ったのがきっかけでした。その後、実業家のロバート・ビゲロー氏が約20万ドルで牧場を買い取り、自身が設立した研究団体NIDS(国立発見科学研究所)が調査を行いました。2016年に牧場は不動産会社に売却され、現在の所有者はブランドン・フューガル氏です。Historyチャンネルでは、2020年から牧場を科学機材で調べるドキュメンタリー番組『スキンウォーカー・ランチの秘密』が放送されています。

一方で、懐疑派の作家ロバート・シェーファー氏は、シャーマン一家の話は作り話だった可能性が高いと指摘しています。NIDSの研究者自身も、科学論文に載せられるような証拠を得るのは難しかったと認めていました。

報告書の中身

今回公開された報告書「Utah Ranch Investigation(ユタ牧場調査)」は、AAWSAP(先進航空宇宙兵器システム応用計画)を受注したBAASS(ビゲロー・エアロスペース先進宇宙研究)が作成したものです。報告書の中で牧場の名前は黒塗りになっていますが、調査地はフォート・デュシェーンの近くとされており、スキンウォーカー牧場を指すと広く受け止められています。

  • 調査日程:2010年3月22~26日と4月19~23日の2回
  • 調査チーム:BAASSの4人(調査員2人、科学者2人)
  • 目的:正体不明の生物や光についての証拠を探すこと、目撃者への聞き取り、牧場と隣の土地への監視カメラ(狩猟用のトレイルカメラ7台)の設置
  • 聞き取り:住民、警察官、牧場主、地元の野生生物局の責任者など、少なくとも25人
  • その他の調査:電磁波・磁気の測定、タバコやムラサキツユクサなどの植物を使った「生物センサー」の実験

記録された「謎の生物」

報告書に記録された目撃談は、にわかには信じがたいものばかりです。

  • 後ろ脚だけで立ち、二足歩行で走る、イヌやオオカミのような生物(身長約1.8~2.1メートル)
  • 腕が長く、チンパンジーやオランウータンのように動く、毛むくじゃらの小さな存在(身長約90センチ)
  • 先史時代の生き物のような姿の鳥(翼竜のような生物)
  • 長さ約2.4メートル、太さ60~90センチほどの、巨大なウジ虫のような存在

報告書には、目撃者自身が描いたスケッチも載っています。また、赤や青に光る球体が空中を移動したという証言も多く記録されています。

DNA鑑定の結果は「イヌ」と「アライグマ」

調査チームの到着の数日前、ある住民が「スキンウォーカー」を見たと証言しました。飼い犬に追われたその生物が、有刺鉄線のフェンスを突き抜けて逃げたというのです。調査員はフェンスなどに残っていた毛を回収し、分析に回しました。

結果は、4つの毛のサンプルのうち3つがイヌ、残る1つがアライグマのものでした。つまり、未知の生物の存在を裏付ける物的証拠は得られなかったのです。アクシオスによれば、報告書は超常現象について最終的な結論を示しておらず、写真などの確かな証拠も示していません。

前回の記事からの「更新」:牧場調査は契約業務だった

前回の記事では、「スキンウォーカー牧場の調査がAAWSAPの予算で行われた」という話について、関係者の著書などではそう言われているものの、第6弾の契約書類には牧場の記載がない、と紹介しました。

第7弾でこの点がはっきりしました。牧場の調査報告そのものが、BAASSの業務の成果物として政府の記録に残っていたのです。さらに、2010年の自己評価報告では、BAASSのデータベースに「ユタ牧場」と「ユタ牧場後の影響」という項目が設けられていたこともわかりました。国防総省の委託研究の一部として牧場の超常現象が調べられていたことは、今回、公式文書で裏付けられました。ただし、それは「超常現象が実在した」ことの証明ではありません。この2つは分けて考える必要があります。

AAWSAP/BAASSのそのほかの内部文書

第7弾には、牧場の報告書のほかにもBAASSの内部文書が複数含まれており、委託研究で実際に何をしていたのかが見えてきました。前回紹介したように、第6弾で公開されたのは「契約書」と、以前から入手できた研究報告(DIRD)でした。第7弾では、その契約のもとで実際に何をしていたのかがわかる文書が出てきたことになります。

  • 計画管理書(2008年12月、DOW-UAP-D168):BAASSがDIAに対し、「人間以外に由来する可能性のある生物学的物質」にアクセスできるよう働きかけてほしい、と求める内容が含まれています。また、牧場での「接触」の試みについての記述や、黒塗りされた2002年の「ロズウェル事件」に関する宣誓供述書が添付されています。
  • 月例報告(2009年):常勤職員が3月の33人から6月には45人に増えたこと、民間UFO団体MUFONへの資金の使い方をめぐる対立、そしてネバダ州ノースラスベガスに「回収したハードウェアや生物サンプル」を保管するための地下保管庫を設計していたことが記されています。ただし、実際に何かが保管されたことを示す記録はありません。
  • 情報開示シナリオの研究(2009年3月の月例報告):ネバダ大学ラスベガス校(UNLV)の研究者に、「地球外の存在が公表されたら、メディア・政治・宗教・公衆衛生・学界にどんな影響が出るか」を10通りのシナリオで研究させていたことがうかがえます。報告は、学者がこのテーマを避ける理由として、笑いものにされることへの恐れ(いわゆる「ギグル・ファクター」)を挙げています。
  • 自己評価報告(2010年11月、DOW-UAP-D175):BAASSが集めた目撃データベースは23万4,364件にのぼり、2004年の有名な「チックタック事件」をコンピューターの流体シミュレーション(CFD)で再現したことなども書かれています。

「政府が生物サンプルの保管庫を設計していた」「ロズウェルの供述書が添付されていた」と聞くと、まるでSFドラマのようです。しかし、これらはあくまで「委託業者がこういう計画や希望を持っていた」という記録であり、地球外の物質が実際に回収・保管されたことを示すものではありません。AAROも2025会計年度の年次報告書(2026年7月公開)で、米政府や民間組織がUAP由来の物質を回収・利用した証拠は見つかっていない、という結論を改めて示しています。

目玉②:2026年に目撃された「黒い三角形」(DOW-UAP-D176)

第7弾で最も新しい事例が、2026年に米国西部の「安全保障上の重要施設」の近くで連邦捜査官らが目撃した、音のない黒い三角形の物体です。正体については何の結論も示されていません。

何が目撃されたのか

目撃の月日は黒塗りになっています(一部の報道は「6月」としています)。FBIの「未確認航空物体の観察報告(FBI-UAP-D043)」と、AARO(全領域異常解決局)による聞き取りの記録メモが公開されました。

  • 目撃者:連邦特別捜査官2人と、別の監視地点にいた3人目の担当者
  • 形と大きさ:光を反射しない、つや消しの黒い三角形。ハーバード大学のアヴィ・ローブ教授が引用した記録によると、翼幅は約13~15フィート(約4~4.6メートル)、厚みは1~2フィート(30~60センチほど)
  • 距離:報道によると、目撃地点から約3マイル先
  • 動き:山の稜線から60~90メートルほど垂直に上昇し、約20秒間静止。その後、機体を傾けて谷へ急降下し、約3秒で約1.5マイル(約2.4キロ)移動した
  • 特徴:音がしない。エンジン、操縦席、灯火、操縦翼面などは見えなかった
  • その後:地上捜索で、破片や墜落の痕跡は見つからなかった

「約3秒で約2.4キロ」を時速に直すと約2,900キロ(時速約1,800マイル)になり、多くの報道が「時速1,800マイルの黒い三角形」と見出しを付けました。

「熱」については報道が食い違う

熱の出方については、報道によって表現が違います。「熱の痕跡が検出されなかった」とする報道もあれば、「一定の熱を出していた」とする報道もあります。後者の報道では、熱画像では物体全体が均一に映り、エンジンの排気のような高温の部分は見られなかった、とされています。つまり、「熱がまったくなかった」というより、「普通の航空機のような熱源が見当たらなかった」と理解するのが安全です。

評価:正体は「敵国の秘密兵器」か「それ以外」か

公開された記録は、物体の正体について何の結論も示していません。戦争省は物体の再現イラストも公開していますが、これは証言をもとに描かれた絵であり、写真ではありません。

ローブ教授は、報告には計測された速度や、センサーの生データが含まれていないと指摘しています。そのうえで、核心の問いは「敵対国の秘密開発機なのか、それとも地球外の技術なのか」だとし、こうした物体が報告された場所に、より性能の高いセンサーを置くべきだと提案しています。

なお、「安全保障上の重要施設の近くで、連邦捜査官がUAPを目撃した」という記録は、今回が初めてではありません。前回の記事で紹介したとおり、第3弾には2023年10月に同じく米国西部の重要施設の近くで、連邦捜査官6人がオレンジ色の「母オーブ」と赤い小さなオーブを目撃した記録がありました。第5弾にも、FBIがまとめた複数の三角形の目撃記録が含まれていました。第7弾には、重要な軍事施設の上空での黒い三角形についての報告が3件含まれているとされ、「黒い三角形」はPURSUEの中で一つの大きなテーマになりつつあります。

目玉③:冷戦期などの歴史資料

第7弾には、これまでの回と同じように、1940~60年代の古い記録も多く含まれています。

  • 1957年1月、サウジアラビア上空のB-52(DOW-UAP-D155):空軍の情報報告によると、B-52戦略爆撃機の乗員が、正体不明の目標をレーダーで捉えたとされます。
  • カリフォルニア州カタリナ島の目撃(1949~55年):米Yahoo!ニュースに掲載された記事によると、28件のうち4件がカタリナ島の目撃記録です。1952年にはボーイスカウト3人が「ジェット機より速い」銀色の物体を見て、物体は上昇したあと「崩れるように」消えたと報告しました。地元の天文学者は木星だった可能性を挙げています。1955年のオレンジ色の落下物は、おそらく流星と判断されました。
  • スウェーデンの目撃:1953年の金属的な楕円形の物体の報告や、民間航空会社の機長が「それまでは空飛ぶ円盤の話に極めて懐疑的だった」と語った記録があります。
  • 1963年の「宇宙機の破片」をめぐる文書:落下した人工衛星などの「宇宙機の破片、または破片と疑われるもの」の回収と公表の仕方について、NASAと国防総省が調整した記録です。ローブ教授の解説によれば、NASAの担当者は公表に慎重な意見を述べていました。ただし、ここで話題になっている破片がふつうの宇宙ごみなのか、UAPに関わるものなのかは、はっきりしません。
  • そのほか:グアム、イタリア、カナダ、ドイツ、モロッコの事例も含まれています。

第1~6弾と第7弾は何が違うのか

第7弾は「量は少ないが、中身が濃い」回です。ここまでの内容を、第1~6弾と比べて整理してみましょう。

比べる点 第1~6弾 第7弾
形式 文書に加え、軍の赤外線映像、音声、写真など PDF文書のみ(動画・画像は初めてゼロ)
規模 40~160件ほど(合計450件) 28件で過去最少(累計478件)
最も新しい事例 2025年の中東の任務報告(第6弾)など 2026年、つまり「今年」の黒い三角形
AAWSAPの扱い 契約書類と、以前から公開済みの研究報告(第6弾) 現地調査報告、計画書、月例報告、自己評価など「業務の中身」
対象 空や海の「物体」や「光」が中心 二足歩行の生物や小さな人型など、「生き物」の目撃談が初めて登場
物的証拠 映像はあるが、正体は特定されず 毛のDNA鑑定が行われたが、結果はイヌとアライグマ
公開の間隔 2~6週間おき 第6弾から35日後

派手な映像はない代わりに、AAWSAPという計画が実際に何をしていたのかを、初めて政府の文書そのもので確かめられるようになりました。一方で、「生き物の目撃談」という新しい要素が加わったことで、見出しだけを見ると「宇宙人が見つかった」と誤解されやすい回でもあります。

実在の「プロジェクト・ブルーブック」との関係

第7弾からは、空軍のブルーブックの記録が、21世紀の国防総省の委託研究の「材料」として使われていたことがわかりました。

ブルーブックの記録はAAWSAPの「材料」になっていた

前回の記事で紹介したとおり、プロジェクト・ブルーブックは米空軍が1952~1969年に行ったUFO調査で、その前身にプロジェクト・サイン(1948年)とプロジェクト・グラッジ(1949年)がありました。

第7弾で興味深いのは、BAASSの目撃データベースの材料として、サイン、グラッジ、ブルーブックの記録が取り込まれていたことです。報道によれば、BAASSのデータベースは当初6つのデータベースを統合したもので、その一つが、3つの計画をあわせた1万3,123件の記録でした(一般に知られる3計画の調査件数1万2,618件とは、数え方の違いで数字が異なります)。

つまり、次のような「史料のリレー」が見えてきます。

  1. 1950~60年代、空軍のブルーブックが目撃報告を集める
  2. 2008~2010年、DIAの委託を受けたBAASSが、その記録をデータベースに取り込んで分析する
  3. 2026年、PURSUEがBAASSの報告書を公開する

カタリナ島の記録に見る「ブルーブック流」の説明

第7弾のカタリナ島の記録のうち、1949年のものはブルーブックの前身のグラッジの時代、1952年以降のものはブルーブックの時代にあたります。「木星の可能性」「おそらく流星」といった判定は、ブルーブックが多くの報告を既知の天体や自然現象で説明していった典型的なやり方をよく表しています。前回紹介したトレモントン事件のように、確証のないまま説明を決めた例もありましたが、木星や流星のように実際にもっともらしい説明も多かったことは、公平のために押さえておきたい点です。

スキンウォーカー牧場は「ブルーブックの事件」ではない

ここで誤解しやすい点があります。スキンウォーカー牧場の騒ぎが始まったのは1990年代で、ブルーブックが終わった1969年よりずっと後のことです。牧場のあるユインタ盆地は以前から「UFO通り」と呼ばれるほど目撃談の多い地域でしたが、ブルーブックが牧場を調べたという記録は知られていません。ブルーブックとスキンウォーカー牧場をつないでいるのは、次に紹介するドラマの方なのです。

ドラマ『プロジェクト・ブルーブック』との関係

ドラマ『プロジェクト・ブルーブック』は、スキンウォーカー牧場を1950年代のブルーブックの時代に持ち込んで描いた創作です。Historyチャンネルで2019~2020年に放送されたこの作品は、天文学者ハイネック博士と、架空の人物マイケル・クイン大尉が、実在のブルーブックの事例を題材に謎を追います。

シーズン2第7話「Curse of the Skinwalker(スキンウォーカーの呪い)」(2020年3月3日放送)では、2人がユタ州の牧場を訪れ、若い一家が訴える説明のつかない危険な現象を調べます。先に述べたとおり、実際のブルーブックが牧場を調べた記録は知られておらず、このエピソードは史実をかなり自由に脚色したものです。「若い一家の訴え」という設定は、1990年代のシャーマン一家の話を思わせますが、時代はまったく違います。

面白いのは、ドラマと同じHistoryチャンネルが、ドキュメンタリー番組『スキンウォーカー・ランチの秘密』も放送していることです。フィクションとドキュメンタリーの両方で牧場が描かれてきた中で、今回、政府の調査報告そのものが公開されました。ドラマが「ブルーブックの時代の事件」として描いた牧場を、実際に調べていたのは21世紀の国防総省の委託業者だった、というのが第7弾で見えた「史実」です。

また、シーズン2には「エリア51」を扱った回(第3話)もあり、「秘密の軍事施設の周りで正体不明の飛行物体が目撃される」という構図を描いています。第7弾の黒い三角形も、米国西部の重要施設の近くで目撃されたものです。ただし、施設の名前も場所も黒塗りにされており、エリア51と結びつける根拠はありません。

『X-ファイル』との関係

今回の第7弾は、『X-ファイル』の2つのエピソードと驚くほどよく似た題材を含んでいますが、ドラマが現実の事件をもとにしたわけではありません。前回の記事では、『X-ファイル』の主な着想源は『事件記者コルチャック』や誘拐体験の研究であり、ブルーブックから直接着想を得たとまでは言えない、と紹介しました。

「シェイプス」(シーズン1第19話、1994年)と牧場の「獣人」

1994年4月1日に放送されたこのエピソードでは、モンタナ州の牧場で家畜を襲ったオオカミのような獣が撃ち殺されると、その死体が人間の男性だった、という事件をモルダーとスカリーが調べます。舞台は先住民の保留地の近くで、人が獣に変わる「マニトウ」の伝承がテーマです。作中では、FBIの最初のXファイルが1946年の「獣に変身する男」の事件だったと語られます。

第7弾の牧場報告の「二足歩行で走るイヌのような生物」「先住民の伝承のスキンウォーカー」という要素は、このエピソードの世界とよく重なります。ただし、ドラマが放送されたのは1994年で、牧場の話が世に出たのは1996年です。ドラマが牧場をモデルにしたわけではなく、どちらも先住民の変身伝説という同じ源をたどっている、と見るのが妥当です。そして現実の報告書では、残された毛はイヌとアライグマのものでした。スカリーなら「やっぱりね」と言いそうな結末です。

「ディープ・スロート」(シーズン1第2話、1993年)と黒い三角形

1993年9月17日に放送されたこのエピソードで、モルダーとスカリーはアイダホ州の架空の「エレンズ空軍基地」を訪れます。基地では試作機のテストパイロットが行方不明になっており、ありえない動きをする飛行物体が目撃されていました。基地に忍び込んだモルダーの頭上を三角形の機体が飛び去り、モルダーは捕まって記憶を操作されてしまいます。このエピソードの軍の陰謀の設定は、空軍が「オーロラ」と呼ばれる秘密の試作機を開発したという噂から着想を得たとされています。

第7弾の黒い三角形は、「秘密の施設の近くで」「連邦捜査官が」「音のない三角形の機体を目撃した」という点で、このエピソードとそっくりです。そして、ローブ教授が挙げた「敵対国の秘密開発機なのか」という問いは、『X-ファイル』が30年以上前に描いた「UFOの正体は軍の試作機かもしれない」という発想と重なります。FBIの捜査官がUAPを報告し、その記録をFBIと国防総省がまとめているという現実は、ドラマの設定が半分現実になったようにも見えます。

「政府の秘密の保管庫」というモチーフ

『X-ファイル』では、政府が地球外の物質や生物サンプルを隠しているという陰謀が、シリーズを通しての大きな柱でした。第7弾で明らかになった「回収したハードウェアや生物サンプルの保管庫の設計」「人間以外に由来する可能性のある生物学的物質へのアクセスの要望」という記録は、このモチーフと奇妙に重なります。

ただし、ここははっきり区別しておきましょう。公開された文書が示しているのは、民間の委託業者が「そういうものが手に入るかもしれない」と考えて準備や働きかけをしていた、ということです。政府が実際に地球外の物質を持っていた、という証拠ではありません。「フィクションが描いた世界観を、本気で検証しようとした人たちが政府の予算の中にいた」というのが、第7弾から読み取れる事実です。

懐疑的な見方と、残された疑問

第7弾は「証言は増えたが、証拠はまだ弱い」というのが冷静な評価です。主な論点を整理します。

  • 証言はあっても、証拠は弱い:牧場の報告書は目撃証言とスケッチが中心で、写真などの決定的な証拠はなく、回収された毛は既知の動物のものでした。
  • 黒い三角形も「証言の記録」:ローブ教授が指摘するように、計測された速度やセンサーの生データは公開されていません。大きさや距離の見積もりにも報道によって幅があり、速度の数字は証言から計算したものです。
  • 「未解決」の意味:公式サイトは、資料が「未解決」とされるのは十分なデータがないことなどが理由だと説明しており、地球外の活動と結びつけられたからではありません。
  • AAROの立場は変わらず:AAROは2025会計年度の年次報告書でも、UAP由来の物質が回収・利用された証拠はなく、UAPとの遭遇が直接の原因となった健康被害の確かな報告もない、という結論を維持しています。
  • 黒塗りの多さ:牧場の報告書では牧場名が伏せられ、黒い三角形の記録でも日付や場所が伏せられています。

一方で、今回の公開によって、「国防総省の委託研究が、UFOだけでなく超常現象や謎の生物まで調べていた」ことが公式文書で確かめられたのは事実です。これを「税金の無駄づかいの証拠」と見るか、「科学的に検証しようとした記録」と見るかは、読む人によって分かれます。

よくある質問

UFOファイル第7弾で、宇宙人の存在は証明されたのですか?

いいえ、証明されていません。公開された記録は、UAPが宇宙人の存在を示すのかどうかについて結論を出していません。スキンウォーカー牧場で回収された毛も、DNA鑑定でイヌとアライグマのものとわかりました。

第7弾の資料はどこで見られますか?

米戦争省の専用サイト「war.gov/ufo」で、誰でも閲覧やダウンロードができます。第7弾は「Release 07」として、検索や並べ替えができるデータベースの形で公開されています。資料は英語です。

「時速1,800マイルの黒い三角形」は本当にその速さで飛んだのですか?

速度は計測されたものではなく、「約3秒で約1.5マイル移動した」という目撃者の見積もりから計算した数字です。ローブ教授も、報告にはセンサーで計測した速度や生データが含まれていないと指摘しています。

次の第8弾はいつ公開されますか?

2026年10月24日時点で、具体的な日付は発表されていません。戦争省は、関係機関とともに次の公開に向けて作業を進めているとしています。これまでの公開間隔は2~6週間ほどでした。

まとめ

UFOファイル第7弾のポイントを振り返ります。

  • PURSUEの第7弾は、2026年10月23日(金、米国時間)に公開された28件の文書で、初めて動画を含まない、過去最少の回でした。累計は478件になりました。
  • 目玉は、2010年にBAASSがスキンウォーカー牧場の周辺で行った調査の報告書です。二足歩行のイヌのような生物や小さな人型の存在の目撃談が記録されていましたが、毛のDNA鑑定の結果はイヌとアライグマでした。
  • 前回の記事で「契約書類では確認できない」とした牧場調査は、AAWSAPの業務の一部だったことが公式文書で裏付けられました。ただし、超常現象の実在を示すものではありません。
  • もう一つの目玉は、2026年に米国西部の重要施設の近くで連邦捜査官らが目撃した、音のない黒い三角形です。正体についての結論は示されていません。
  • BAASSのデータベースには、実在のブルーブックとその前身の記録(1万3,123件)が取り込まれており、「ブルーブック→AAWSAP→PURSUE」という史料のつながりが見えてきました。
  • ドラマ『プロジェクト・ブルーブック』は、スキンウォーカー牧場をブルーブックの時代に持ち込んで描いた創作で、実際のブルーブックが牧場を調べた記録は知られていません。
  • 『X-ファイル』の「シェイプス」(獣に変わる男)や「ディープ・スロート」(秘密基地の三角形の機体)は、第7弾の題材と驚くほどよく似ていますが、ドラマが現実の事件をもとにしたわけではありません。

戦争省は、すでに次の公開に向けて作業を進めているとしています。次の注目点は、第8弾で黒い三角形についてのセンサーのデータや映像が出てくるのか、そしてAAWSAPの後継とされるAATIPをめぐる文書が出てくるのか、という点です。気になった方は、公式サイト「war.gov/ufo」で第7弾の原文を一度のぞいてみてください。政府の書類棚の奥から、少しずつ「現実のXファイル」が姿を現しつつあります。

参考リスト

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