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【10月29日】世界乾癬デーとは|うつらない皮膚病「乾癬」の基礎知識

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はじめに

「乾癬(かんせん)」という病名を聞いて、「感染」と同じように人にうつる病気だと思った経験はないでしょうか。実は乾癬は、体の免疫の働きが乱れて起こる皮膚の病気で、周りの人にうつることはありません。毎年10月29日の世界乾癬デーは、こうした誤解をなくし、患者さんや家族への理解を広げるための国際デーです。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】世界乾癬デーの由来とWHOが認めた背景
  • 【テーマ2】乾癬の症状と「うつらない」と言える仕組み
  • 【テーマ3】進歩した治療法と周りの人ができる支え方

病気の正しい知識は、患者さんを偏見から守る一番の力になります。自分や家族に関係がない人にも知ってほしい内容を、わかりやすくまとめました。

世界乾癬デーとは?10月29日に込められた意味

世界乾癬デーは、乾癬の患者会が集まる国際組織が呼びかけて始まった記念日です。今では世界保健機関(WHO)も後押しする、世界規模の啓発活動になっています。

始まりは2004年、患者会の国際組織が制定

世界乾癬デー(World Psoriasis Day)を主催しているのは、国際乾癬協会連盟(IFPA)です。IFPAは1971年に設立され、スウェーデンのストックホルムに拠点を置く組織で、世界各国の患者会が加盟しています。

IFPAは2004年に最初の世界乾癬デーを宣言し、毎年10月29日を記念日としました。IFPAの公式サイトによると、現在では70を超える国と地域で、この日に合わせた講演会やキャンペーンなどが行われています。

WHOも「重い病気」と認めた2014年の決議

2014年5月、WHOの最高意思決定機関である世界保健総会(第67回)で、乾癬についての決議「WHA67.9」が採択されました。この決議は、乾癬だけをテーマにした国際的な決議として、IFPAが「最も大きな成果」と位置づけているものです。

決議では、乾癬を「治す方法がまだない、慢性で痛みをともなう病気」と位置づけました。そのうえで加盟国に対し、偏見と闘う啓発活動を進めるよう促しています。特に、毎年10月29日の活動を通じた取り組みが名指しで奨励されました。WHOはこの決議を受けて、2016年に「乾癬に関する世界報告書(Global report on psoriasis)」を公表しています。

2026年のテーマは「若い世代」

世界乾癬デーには、毎年テーマが設けられます。2025年のテーマは、乾癬とほかの病気とのつながりに注目した「ドミノ効果を止めよう」でした。

IFPAの公式サイトによると、2026年は「Look Beyond My Skin(私の肌の向こう側を見て)」をテーマに、18〜35歳の若い世代に焦点を当てています。IFPAは、乾癬のある大人のおよそ3人に1人が、18歳になる前に発症していると紹介しています。見た目の症状だけでその人を判断せず、本人の声に耳を傾けてほしいというメッセージが込められています(2026年10月時点)。

乾癬とはどんな病気?症状と主な種類

乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、その表面に銀白色のフケのようなものが付いてはがれ落ちる、慢性の皮膚の病気です。よくなったり悪くなったりを長く繰り返すのが特徴です。

代表的な3つの症状

乾癬の皮膚には、主に次のような変化が見られます。

  • 紅斑(こうはん):皮膚が炎症で赤くなる
  • 肥厚(ひこう):皮膚が厚くなって盛り上がる
  • 鱗屑(りんせつ):銀白色の皮膚の粉がポロポロとはがれ落ちる

症状は頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざ、腰のまわりなど、こすれやすい場所に出やすいといわれます。爪がにごったり、でこぼこになったりすることもあります。かゆみの有無や強さには個人差があります。

また、傷ついたりこすれたりした場所に新しい発疹が出やすい「ケブネル現象」も知られています。かゆくても強くかいたり、はがれかけた皮膚を無理にむいたりしないことが大切です。

日本の患者数と4つの病型

国立保健医療科学院の資料によると、日本の乾癬の患者数は約43万人と報告されています。ただし、患者数は調べ方によって差があり、「10万人以上」とする資料もあります。男女比はおよそ2対1で、男性に多い病気とされています。

乾癬はいくつかのタイプ(病型)に分けられます。同じ資料による日本での割合は次のとおりです。

病型 主な特徴 割合
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん) 最も一般的なタイプ。赤い盛り上がりと鱗屑が出る 97.4%
関節症性乾癬(乾癬性関節炎) 皮膚の症状に加えて関節の痛みや腫れが出る 1.9%
膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん) うみをもった小さなぶつぶつが出る。発熱をともなうこともある 1.1%
乾癬性紅皮症(こうひしょう) 全身の皮膚の大部分が赤くなる 0.4%

なお、乾癬性関節炎の割合は調査によって幅があり、日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは5〜15%程度とされています。

乾癬の原因は?「うつる病気」ではありません

乾癬は、ウイルスや細菌が原因の病気ではないことがわかっています。そのため、触れたり、同じお風呂やプールに入ったりしても、周りの人にうつることはありません。

免疫の乱れで皮膚の生まれ変わりが速くなる

私たちの体には、細菌やウイルスから体を守る「免疫」という仕組みがあります。乾癬では、この免疫を担う細胞の働きが乱れ、炎症を起こす「サイトカイン」という物質が多く作られてしまいます。

その結果、皮膚の一番外側にある細胞が異常に増えます。製薬会社の患者向け資料によると、通常は28〜40日ほどで生まれ変わる皮膚の細胞が、乾癬では4〜5日ほどに縮まっているとされます。十分に育っていない細胞が厚く積み重なり、鱗屑としてはがれ落ちるのです。

「なりやすい体質」と悪化させる要因

はっきりとした原因は、まだすべてわかってはいません。現在は、もともと乾癬になりやすい体質に、生活の中のさまざまな要因が重なって発症すると考えられています。悪化に関わるとされる主な要因は次のとおりです。

  • ストレス
  • 飲酒や喫煙
  • 高脂肪の食事など偏った食生活、肥満
  • けがや摩擦などの皮膚への刺激
  • かぜなどの感染症
  • 一部の薬

名前が似ているための誤解

「かんせん」という同じ読みのため、乾癬は「感染する病気」と間違われやすいという悩みがあります。医療情報サイトの医師への取材記事でも、感染症と誤解されて職場や学校で遠ざけられるケースがあると紹介されています。

見た目が似ているダニの病気「疥癬(かいせん)」と混同されることもありますが、疥癬はヒゼンダニが原因でうつる病気で、乾癬とはまったく別のものです。世界乾癬デーの大きな目的の一つは、こうした誤解を解くことにあります。

皮膚だけではない「全身の病気」としての乾癬

乾癬は皮膚に症状が出る病気ですが、近年は体の中でも炎症が起きている「全身の病気」と考えられるようになっています。皮膚以外の病気を合わせて発症しやすいことがわかってきました。

注意したい主な合併症

医療情報サイト「メディカルノート」の専門医監修記事では、乾癬に合併しやすい病気として次のようなものが挙げられています。

  • 糖尿病、高血圧、脂質異常症などのメタボリックシンドローム
  • 心筋梗塞などの心臓の病気(重症の場合にリスクが高まるとの報告)
  • 乾癬性関節炎(指の関節やアキレス腱などの痛み・腫れ)
  • ぶどう膜炎(目の充血や痛み、見えにくさ)
  • 潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸の病気
  • うつ症状

乾癬性関節炎は、皮膚の症状より先に関節の症状が出ることもあります。関節の痛みや腫れが気になるときは、早めに医師へ伝えることが大切です。関節の変形は元に戻らないことがあるため、早く気づくことに意味があります。

見えない「心の負担」

WHOの世界報告書は、乾癬の患者さんがしばしば偏見を受け、孤独や孤立を感じやすいことを指摘しています。うつ病の割合が高いことや、仕事の機会を失うこと、治療費の負担なども課題として挙げられています。

人目が気になって温泉や大浴場に行けない、電車の座席に皮膚の粉が落ちないか心配になる、といった悩みもよく聞かれます。症状の重さだけでなく、毎日の暮らしの質(QOL)がどれだけ損なわれているかも、乾癬では大切な視点です。

乾癬の治療はここまで進んだ

乾癬は、今のところ完全に治す方法はありません。しかし治療は大きく進歩しており、症状をほとんど気にならない状態に保てる人も増えています。

主な治療法の種類

治療法は、症状の重さや範囲、生活スタイルなどに合わせて選ばれ、組み合わせて使われることもあります。

治療法 内容
外用療法 ステロイドなどの塗り薬で炎症をおさえる。治療の基本
光線療法 特定の紫外線を皮膚に当てて症状をやわらげる
内服療法 免疫の働きを調整する飲み薬を使う
生物学的製剤 炎症を起こす物質だけを狙っておさえる注射や点滴の薬

治療を変えた「生物学的製剤」

日本では2010年に、乾癬に使える生物学的製剤が初めて承認されました。生物学的製剤とは、バイオテクノロジーで作られた薬で、炎症を起こすサイトカインの働きをピンポイントでおさえます。それまでの治療では効果が出にくかった重い患者さんにも、効果が見られるようになりました。

日本皮膚科学会の指針では、ほかの全身療法で十分な効果がなく皮疹が体の表面の10%以上に広がっている人や、生活の質が大きく損なわれている人などが対象とされています。また、生物学的製剤は日本皮膚科学会が承認した施設で治療を始めることが求められています。近年はJAK阻害薬やTYK2阻害薬と呼ばれる新しい飲み薬も登場し、選択肢はさらに広がっています。

どの治療が合うかは、病型や重症度、ほかの病気の有無などによって大きく変わります。個人の状況によって異なるため、気になる症状がある方は皮膚科の専門医にご相談ください。

世界乾癬デーに私たちができること

世界乾癬デーに一番求められているのは、特別な行動よりも「正しく知って、偏見を持たない」ことです。周りの理解は、患者さんの生きやすさに直結します。

周りの人ができるサポート

  • 「乾癬はうつらない」ことを知り、家族や友人にも伝える
  • 皮膚の症状をじろじろ見たり、からかったりしない
  • 温泉やプールなどで、根拠なく利用を断ったり避けたりしない
  • 本人が話したいときは、症状の見た目ではなく気持ちに耳を傾ける

患者さん本人と家族のために

乾癬は長くつきあう病気だからこそ、一人で抱え込まないことが大切です。日本では、患者会の全国組織である日本乾癬患者連合会と日本乾癬学会、製薬会社が協力し、世界乾癬デーに合わせたイベントなどを開いてきました。

同じ病気の人と経験を分かち合える患者会は、治療の情報だけでなく、気持ちの支えにもなります。家族も、病気について一緒に学ぶことで、本人の不安を軽くすることができます。

よくある質問

乾癬は人にうつりますか?

うつりません。乾癬はウイルスや細菌が原因ではなく、免疫の働きの乱れによって起こる病気です。触れたり、同じお風呂に入ったりしても感染することはありません。

世界乾癬デーはいつ、誰が始めたのですか?

毎年10月29日です。乾癬の患者会が集まる国際組織、国際乾癬協会連盟(IFPA)が2004年に制定しました。2014年にはWHOの総会で、この日の活動を奨励する決議も採択されています。

乾癬は治りますか?

現在のところ、完全に治す方法はまだありません。ただし、塗り薬や光線療法、飲み薬、生物学的製剤などの治療が進歩しており、症状を落ち着いた状態に保てる人が増えています。治療法は専門医と相談して決めることが大切です。

乾癬と疥癬(かいせん)は同じ病気ですか?

まったく別の病気です。疥癬はヒゼンダニという小さなダニが皮膚に寄生して起こる、人にうつる病気です。一方の乾癬は、免疫の異常によって起こる病気で、うつることはありません。

関節が痛いのも乾癬と関係がありますか?

関係している場合があります。乾癬性関節炎というタイプでは、指の関節やアキレス腱などに痛みや腫れが出ます。皮膚より先に関節の症状が出ることもあるため、気になるときは早めに医師に相談しましょう。

まとめ

10月29日の世界乾癬デーは、乾癬への誤解をなくし、患者さんと家族を支える社会をめざす国際デーです。記事のポイントを振り返ります。

  • 世界乾癬デーは2004年にIFPAが制定し、2014年にはWHOの決議でも奨励された
  • 乾癬は免疫の乱れで起こる皮膚の病気で、人にはうつらない
  • 皮膚だけでなく、関節や心臓、心の健康にも影響する全身の病気と考えられている
  • 生物学的製剤などの登場で、治療の選択肢は大きく広がっている

まずは「乾癬はうつらない」という一言を、身近な人に伝えてみてください。その小さな一歩が、肌の症状の向こうにいる一人ひとりを見る社会につながります。

参考リスト

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