はじめに
秋になると、図書館や書店で「読書週間」という言葉を見かけます。なんとなく知っていても、いつ始まり、なぜこの時期なのかまで説明できる人は多くありません。10月27日は、その読書週間の初日です。
👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇
- 【テーマ1】読書週間の期間と2026年の標語
- 【テーマ2】戦後の焼け跡から始まった読書週間の歴史
- 【テーマ3】データから見る読書の今と、2週間の楽しみ方
この記事を読めば、読書週間の意味がわかり、今年の2週間をどう過ごすかのヒントも見つかります。まずは基本から見ていきましょう。
読書週間とは?10月27日から11月9日までの2週間
読書週間は、毎年10月27日から11月9日までの2週間、全国で本に親しむきっかけをつくる運動です。11月3日の「文化の日」をまん中にはさむように期間が決められています。
主催しているのは、公益社団法人読書推進運動協議会(どくしょすいしんうんどうきょうぎかい)です。出版社、書店、図書館などの団体が集まってつくられた組織で、毎年の標語やポスターを決めています。期間中は、全国の図書館や書店、学校で、展示や講演会、おはなし会などの催しが開かれます。
2026年は第80回、標語は「静かだけど、冒険中。」
2026年の読書週間は第80回にあたり、期間は10月27日(火)から11月9日(月)までです。今年の標語は「静かだけど、冒険中。」です。札幌市の図書館では、この標語をそのまま題名にした「2026 読書週間特別行事」を、市内12館で開いています(2026年10月時点)。
本を読んでいる人は、外から見ると静かに座っているだけです。しかし頭の中では、見知らぬ国を旅したり、過去の時代を生きたりしています。この標語は、そんな読書ならではの楽しさを短い言葉で表しています。
初日の10月27日は「文字・活字文化の日」
読書週間の初日である10月27日は、法律で定められた「文字・活字文化の日」でもあります。根拠になっているのは、2005年(平成17年)に施行された文字・活字文化振興法です。
この法律の第1条では、文字や活字の文化が、知識や知恵を受け継ぐことや、豊かな人間性を育てること、健全な民主主義を発達させることに欠かせないと書かれています。つまり、本を読むことは個人の趣味にとどまらず、社会を支える大切な営みとして位置づけられているのです。
読書週間の歴史:1947年、戦後の焼け跡から始まった運動
読書週間は、終戦から2年後の1947年(昭和22年)に始まりました。戦争の傷あとがまだ各地に残るなか、本の力で国を立て直そうという思いから生まれた運動です。
読書推進運動協議会の説明では、そのときの合言葉は「読書の力によって、平和な文化国家を創ろう」でした。出版社、取次会社(本の問屋)、書店、公共図書館が力を合わせ、新聞や放送などのマスコミも加わって、第1回が開かれました。
第1回は11月17日から1週間だった
最初の読書週間は、今とは時期も長さも違い、11月17日からの1週間でした。日本書籍出版協会の年史によると、第1回の標語は「楽しく読んで明るく生きよう」で、数万枚のポスターが配られ、ラジオ番組も使った大がかりな出発だったそうです。
「一週間では惜しい」の声で2週間に
第1回の反響は大きく、「一週間では惜しい」という声が上がりました。そこで翌1948年の第2回から、文化の日を中心にした前後2週間に改められ、10月27日から11月9日という現在の期間が定着しました。
その後、1959年(昭和34年)には、読書週間を一時的な行事で終わらせず、一年中続く運動にしようと、読書推進運動協議会が誕生しました。日本図書館協会や全国学校図書館協議会、日本書籍出版協会など7つの団体が中心となってつくられています。
ルーツは大正時代の「図書館週間」とされる
読書週間のさらに前のルーツは、1924年(大正13年)に始まった「図書館週間」だとされています。これが「図書祭」と名前を変え、戦争の影響で一時中止されたあと、1947年に読書週間として復活したという流れです。読書を広めようとする取り組みは、100年以上前から続いていることになります。
標語・ポスターと「こどもの読書週間」
読書週間の顔ともいえるのが、毎年変わる標語とポスターです。どちらも一般からの公募で選ばれており、その年の空気を映す言葉が並びます。
標語は、読書の楽しさや奥深さを新しい感覚で表した作品を全国から募り、入選作が採用されます。ポスターも、標語をイメージしたイラストを公募して作られ、全国の図書館や書店に貼り出されます。近年の標語は次のとおりです。
| 年 | 回 | 標語 |
|---|---|---|
| 2021年 | 第75回 | 最後の頁を閉じた 違う私がいた |
| 2024年 | 第78回 | この一行に逢いにきた |
| 2025年 | 第79回 | こころとあたまの、深呼吸。 |
| 2026年 | 第80回 | 静かだけど、冒険中。 |
2025年の標語は、804人の応募の中から選ばれたと紹介されています。また、読書週間のシンボルマークとして長く使われてきたのが「ふくろう」です。ギリシャ神話で知恵の女神アテナの使いとされ、知恵の象徴と考えられてきたことから選ばれました。
春には「こどもの読書週間」もある
読書週間には、子ども向けの姉妹版があります。「こどもの読書週間」で、1959年に始まりました。現在は4月23日の「子ども読書の日」から、5月5日の「こどもの日」をはさんで5月12日までの期間に行われています。秋は大人も含めたすべての世代、春は子ども、と覚えておくとわかりやすいです。
データで見る日本人の読書:6割が月に1冊も読まない
読書週間が80回目を迎える今、日本人の読書量は大きく減っています。国の調査では、1か月に本を1冊も読まない人が6割を超えました。
文化庁が2024年9月に公表した令和5年度「国語に関する世論調査」によると、電子書籍を含めて1か月に本を「読まない」と答えた人は62.6%でした。前回の平成30年度調査では47.3%で、それまでの調査でも4割台で推移していたため、急に増えたことがわかります。
- 1か月に読む本が「読まない」:62.6%
- 「1、2冊」:27.6%
- 「3、4冊」:6.0%
- 読書量が以前より「減っている」:69.1%
読書量が減った理由(2つまで回答)では、「携帯電話、スマートフォンなどで時間が取られる」が43.6%で最も多く、「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」が38.9%で続きました。一方で、本を読まない人でも、SNSやネット記事など本以外の文字は75.3%が「ほぼ毎日読んでいる」と答えています。文字そのものから離れたのではなく、文字に触れる場所が本から画面へ移っている様子がうかがえます。
なお、この調査で言う「本」には雑誌や漫画は含まれていません。数字だけを見て悲観するよりも、「まとまった文章をじっくり読む時間」をどう取り戻すかを考えるきっかけにするのが、読書週間らしい受け止め方といえます。
読書週間の楽しみ方:全国の催しと自分でできること
読書週間を楽しむには、近くの図書館や書店の催しに足を運ぶ方法と、自分だけの小さな目標を立てる方法の2つがあります。どちらも特別な準備はいりません。
図書館・書店・古書店街の催しに出かける
読書週間の時期には、多くの公共図書館が特設展示や講演会、本の福袋、リサイクル本の配布などを行います。お住まいの自治体の図書館のホームページを見ると、その年の行事が案内されていることが多いです。
本の街として知られる東京・神田神保町では、秋の恒例行事「東京名物神田古本まつり」が開かれます。千代田区観光協会によると、2026年の第66回は10月23日(金)から11月1日(日)までで、靖国通り沿いに100台を超えるワゴンが並び、約500mの「本の回廊」が現れます。なお、今年は岩波神保町ビルの工事のため、会場の一部が例年と変わると案内されています(2026年10月時点)。
2週間で無理なく1冊を読むコツ
ふだん本を読まない人は、いきなり厚い本に挑むより、続けやすい仕組みをつくるのが近道です。次のような方法があります。
- 薄い本や短編集、エッセイなど、短い区切りで読める本を選ぶ
- 「寝る前の10分」「通勤電車の1駅分」など、読む時間を先に決める
- スマートフォンを別の部屋に置くなど、気が散るものを遠ざける
- 合わないと感じたら途中でやめて、別の本に乗りかえる
- 読み終えたら、ひとことだけ感想をメモしておく
今年の標語に合わせて、「静かに読めて、心が冒険できる本」を1冊選ぶのも楽しい方法です。紙の本でも電子書籍でも、図書館で借りた本でもかまいません。
よくある質問
読書週間は毎年同じ期間ですか?
はい。1948年の第2回から、毎年10月27日から11月9日までの2週間と決まっています。11月3日の文化の日をはさむように設定されているため、曜日は年によって変わりますが、日付は変わりません。
2026年の読書週間の標語は何ですか?
2026年(第80回)の標語は「静かだけど、冒険中。」です。標語は毎年、読書推進運動協議会が一般から募集して決めています。
「文字・活字文化の日」と読書週間は同じものですか?
別のものですが、深い関係があります。読書週間は1947年に民間の出版・図書館関係者が始めた運動で、文字・活字文化の日は2005年に施行された文字・活字文化振興法で定められた記念日です。記念日の日付が、読書週間の初日である10月27日に合わせられています。
「こどもの読書週間」はいつですか?
毎年4月23日から5月12日までです。4月23日の「子ども読書の日」から、5月5日のこどもの日をはさんだ期間で、1959年に始まりました。
まとめ
読書週間は、戦後まもない1947年に「読書の力によって、平和な文化国家を創ろう」という思いから始まり、2026年で第80回を迎えました。期間は毎年10月27日から11月9日で、初日は文字・活字文化の日でもあります。
- 期間は文化の日を中心にした2週間で、2026年の標語は「静かだけど、冒険中。」
- 第1回は1週間だったが、反響が大きく翌年から2週間に広がった
- 今は6割以上の人が月に1冊も本を読まず、読書の時間をどう取るかが課題になっている
まずは、お住まいの地域の図書館のホームページで、今年の読書週間の催しを確認してみてください。そこで出会った1冊が、静かだけれど心おどる冒険の入り口になるかもしれません。
参考リスト
- 札幌市の図書館 行事・展示のお知らせ(2026 読書週間特別行事~静かだけど、冒険中。~)
- スクールコンパス 学校生活行事 読書週間
- 日本書籍出版協会 年史(読書週間・読書推進運動協議会の誕生)
- Precious.jp「読書週間」とは?由来と標語
- 新居浜市 2024年第78回読書週間ポスター資料(ふくろうの由来・こどもの読書週間)
- flier 読書週間(第75回標語)
- 文化庁 文字・活字文化の振興
- 文字・活字文化振興法(平成17年法律第91号)
- カレントアウェアネス・ポータル 文化庁、令和5年度「国語に関する世論調査」の結果を公表
- nippon.com「月に1冊も本読まない」が6割超:進む読書離れ―文化庁調査
- 産経新聞 国語世論調査 本に親しむ環境づくりを
- 千代田区観光協会 第66回東京名物 神田古本まつり

