連載【サイバー防御実務入門】第0回
この記事でわかること
- なぜ「サイバー防御」を学びながら連載するのか
- サイバー防御とは何をすることなのか(ざっくり全体像)
- 連載の構成と、毎回の記事の読み方
- この連載で守る「お約束」
はじめに:専門家ではない私が、なぜこの連載を始めるのか
こんにちは。今回から新しい連載【サイバー防御実務入門】を始めます。
最初に正直に書いておきます。私はセキュリティの専門家ではありません。資格も実務経験もなく、この連載は「ほぼゼロから学びながら、その記録を公開していく」ものです。
それでもこのテーマを選んだのは、ニュースでサイバー攻撃の話を聞かない日がほとんどなくなったからです。企業のシステム停止、個人情報の流出、巧妙な詐欺メール……。「どこか遠い世界の話」だと思っていたことが、いつの間にか自分のスマホやパソコン、家のWi-Fiルーターにまで関わる話になっていました。
専門書を開いても、最初は用語の多さに圧倒されます。だからこそ、初心者がつまずくポイントを、初心者の目線のまま書き残すことに意味があるのではないかと考えました。一緒に学んでいただければうれしいです。
そもそも「サイバー防御」とは?
「セキュリティ対策」と聞くと、ウイルス対策ソフトを入れることや、パスワードを複雑にすることを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろんそれも大切ですが、サイバー防御はもっと広い活動です。
世界中で参考にされている米国NIST(国立標準技術研究所)の「サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)2.0」では、取り組みを次の6つの機能に整理しています。
| 機能 | ひとことで言うと | 身近な例 |
|---|---|---|
| 統治(Govern) | 方針とルールを決める | 家族で「怪しいメールは開かない」と決めておく |
| 識別(Identify) | 守るものを知る | 家にあるネットにつながる機器を書き出す |
| 防御(Protect) | 被害を防ぐ | OSの更新、多要素認証の設定 |
| 検知(Detect) | 異常に気づく | 「新しい端末からログイン」の通知に気づく |
| 対応(Respond) | 起きたときに動く | 乗っ取りに気づいたらパスワード変更・連絡 |
| 復旧(Recover) | 元の状態に戻す | バックアップからデータを戻す |
ポイント
サイバー防御は「攻撃を防ぐ」だけではありません。防ぎきれなかったときに、早く気づき、被害を小さくし、元に戻すところまでが含まれます。「100%防ぐことはできない」という前提に立つのが、現代の防御の考え方です。
サイバー防御は「攻撃を防ぐ」だけではありません。防ぎきれなかったときに、早く気づき、被害を小さくし、元に戻すところまでが含まれます。「100%防ぐことはできない」という前提に立つのが、現代の防御の考え方です。
連載の全体像
連載は大きく3部構成で進めます。基礎を固めたあと、自宅で実践できる内容に進み、最後に企業などの組織で行われている実務の世界をのぞきます。
| 部 | 回 | テーマ |
|---|---|---|
| 第1部 基礎編 |
第0回 | 連載の始め方(この記事) |
| 第1回 | サイバー攻撃の現状 | |
| 第2回 | 基本概念(機密性・完全性・可用性、リスクの考え方) | |
| 第3回 | 攻撃の流れを知る(どこで止めるか) | |
| 第4回 | ネットワークの基礎 | |
| 第2部 身近な防御編 |
第5回 | アカウントを守る(パスワード管理・多要素認証・パスキー) |
| 第6回 | パソコンを守る(更新・設定の見直し) | |
| 第7回 | 家庭のネットワーク(ルーター・Wi-Fi・IoT機器) | |
| 第8回 | フィッシングと詐欺 | |
| 第9回 | ランサムウェアとバックアップ | |
| 第3部 組織の実務編 |
第10回 | ログを読む |
| 第11回 | 監視と検知(SOC・SIEM・EDR) | |
| 第12回 | 脆弱性管理 | |
| 第13回 | インシデント対応 | |
| 第14回 | フレームワークで全体を整理する | |
| 第15回 | クラウドのセキュリティ | |
| 最終回 | 学び続ける方法 | |
| 番外編 | 随時 | ニュースから学ぶサイバー防御 |
※学びの進み具合によって、順番や内容を見直すことがあります。
こんな方に読んでいただきたい連載です
- セキュリティに興味はあるけれど、何から学べばいいかわからない方
- 家族のパソコンやスマホ、家のネットワークを守りたい方
- 小さな会社や団体で、なんとなく「パソコンに詳しい人」扱いされている方
- 専門用語の多い解説に挫折した経験がある方
毎回の記事の構成
各回はできるだけ同じ流れで書いていきます。
- 今回のゴール:その回で何がわかるようになるか
- 用語の整理:最低限おさえたい言葉
- 本文:仕組みや考え方の解説
- やってみた:自分の環境で実際に試したこと(できる回のみ)
- 攻撃者はこう考える:守る理由がわかる、攻撃側の視点のコラム
- まとめと今日からできること
- 参考資料:根拠にした公的機関などの資料
この連載で守る「お約束」
⚠ 必ずお読みください
- 試すのは自分の機器・自分のアカウントだけにします。他人のシステムやWebサイトに無断でアクセスしたり、調べたりする行為は、不正アクセス禁止法などの法律に触れるおそれがあります。
- 攻撃の具体的な手順は扱いません。「攻撃者はこう考える」のコラムでも、防御に必要な考え方の説明にとどめます。
- 根拠は公的機関などの一次情報に置きます。IPA(情報処理推進機構)、JPCERT/CC、警察庁、NISTなどの資料を参照し、記事末に出典を載せます。
- 誤りに気づいたら訂正します。学びながら書いているため、間違いを含む可能性があります。訂正した場合は、記事内にその旨を記載します。
- 記事の内容は執筆時点の情報です。重要な判断をされる場合は、必ず最新の公式情報や専門家にご確認ください。
✏ 筆者のひとこと
それではみなさん、次回から一緒に学びましょう!
それではみなさん、次回から一緒に学びましょう!
まとめ
- この連載は、セキュリティ初心者の筆者が学びながら書く「学習記録」です。
- サイバー防御は「防ぐ」だけでなく、「気づく・対応する・元に戻す」まで含む活動です。
- 基礎編、身近な防御編、組織の実務編の3部構成で進めます。
- 試すのは自分の環境だけ。攻撃手順は扱わず、根拠は一次情報に置きます。
次回予告:第1回「サイバー攻撃の現状」
警察庁の統計やIPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」をもとに、いま日本でどんな攻撃が起きているのかを数字で確認します。
警察庁の統計やIPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」をもとに、いま日本でどんな攻撃が起きているのかを数字で確認します。
参考資料
- NIST「The NIST Cybersecurity Framework (CSF) 2.0」
https://www.nist.gov/cyberframework - IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「情報セキュリティ」
https://www.ipa.go.jp/security/index.html - 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/
※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。

