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【10月29日】インターネットの日とは?最初の通信「LO」と57年の歩み

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はじめに

スマートフォンで調べものをして、メッセージを送り、動画を観る。いまでは当たり前のこうした毎日は、1969年10月29日の夜、アメリカの大学の一室で送られた「たった2文字」から始まりました。この日を記念するのが、10月29日のインターネットの日(International Internet Day)です。

👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇

  • 【テーマ1】世界初のメッセージ「LO」が生まれた夜の真相
  • 【テーマ2】ARPANETが作られた本当の目的と、よくある誤解
  • 【テーマ3】日本と世界のインターネットの歩みと最新データ

「なぜLOGINではなくLOだったのか」「受け取ったのは本当にスタンフォード大学なのか」など、意外と知られていない話も、確かな資料をもとに紹介します。記念日のうんちくとしても役立つ内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

インターネットの日(10月29日)とはどんな記念日?

インターネットの日は、インターネットの元祖とされるネットワーク「ARPANET(アーパネット)」で、コンピュータ同士の最初のメッセージが送られた日を記念する日です。毎年10月29日に、世界各地でインターネットの誕生を振り返る日として知られています。

1969年10月29日に起きたこと

1969年10月29日の夜、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のコンピュータから、カリフォルニア州メンロパークにある「スタンフォード研究所(SRI)」のコンピュータへ、ネットワークを通じてメッセージが送られました。UCLAの計画責任者だったレナード・クラインロック教授が監督し、学生プログラマーのチャーリー・クラインさんが操作を担当しました。

ARPANETは、アメリカ国防総省の「高等研究計画局(ARPA)」が資金を出したネットワークです。名前は「ARPAのネットワーク」という意味で、のちに世界中のネットワークをつなぐインターネットへと発展していきました。

「International Internet Day」として広まった経緯

海外のメディアによると、この日を「International Internet Day」として祝う動きは2005年に始まったとされています。インターネット利用者の団体が呼びかけたという説明もありますが、国連などの国際機関が正式に定めた日ではありません。

日本では「インターネット誕生日」と紹介されることもあります。呼び方はさまざまですが、どれも1969年10月29日の最初の通信を記念している点は共通しています。

世界初のメッセージ「LO」が生まれた夜

世界初のメッセージは、本来送るはずだった「LOGIN(ログイン)」の途中、「LO」の2文字だけでした。3文字目を送ったところで、受信側のシステムが止まってしまったからです。

送ったのは「LOGIN」のはずだった

クラインロック教授がICANN(インターネットの住所を管理する国際組織)のブログに寄せた回想によると、送信は1969年10月29日の午後10時30分に行われました。目的は、UCLAのコンピュータからSRIのコンピュータに「ログイン(利用開始の手続き)」することでした。

手順は少し工夫されていて、UCLA側が「LOG」と打つと、SRI側のコンピュータが残りの「IN」を自動で補い、「LOGIN」を完成させる仕組みでした。ところが「G」を送った瞬間にSRI側のシステムが停止し、届いたのは「L」と「O」だけになりました。

この失敗はすぐに直され、約1時間後には「LOGIN」全体の送信とログインに成功しています。UCLAに残る作業記録(IMPログ)には、この夜の出来事が手書きで短く記されています。

電話で確かめ合いながらの送信

当時の様子で興味深いのは、送る側と受ける側が電話で話しながら作業していたことです。UCLAのクラインさんとSRIのビル・デュバルさんは、それぞれ電話のヘッドセットをつけ、「Lは届いた?」「届いたよ」と1文字ずつ確かめ合っていました。

クラインロック教授は、新しい通信技術の誕生を、古い電話網の力を借りて確認していたことを「皮肉なこと」と振り返っています。のちにインターネットが電話に代わる通信手段になることを思うと、なんとも象徴的な場面です。

「Lo and behold(見よ)」と呼ばれる偶然

英語には「Lo and behold(見よ、なんと)」という、驚きを表す古い言い回しがあります。クラインロック教授は、最初のメッセージ「lo」が、まるでこの言葉のように未来を予言していたと語っています。

アメリカの公共ラジオNPRの取材では、教授が「もっと素晴らしいメッセージを準備しておくべきだった」と笑いながら話しています。歴史的な瞬間は、意外にも何気ない動作テストの中で生まれたのです。

なお、送信時刻を日本時間に直すと、計算上は1969年10月30日の15時30分ごろにあたります(当時のカリフォルニアは夏時間が終わった直後の標準時でした)。日本ではちょうど昼下がりの時間帯だったことになります。

ARPANETはなぜ作られたのか

ARPANETの主な目的は、数が少なく高価だった研究用コンピュータを、離れた場所の研究者どうしで分け合って使うことでした。「核戦争に耐えるために作られた」という話がよく語られますが、これは誤解だとされています。

高価なコンピュータを分け合うためのネットワーク

1960年代のコンピュータは、部屋を占めるほど大きく、とても高価でした。強力なコンピュータは国内に限られた数しかなく、使いたい研究者が遠くに住んでいることも多かったのです。そこで、各地のコンピュータを通信回線でつなぎ、資源を共有しようという発想が生まれました。

インターネット協会(ISOC)がまとめた「インターネット小史」によると、1969年9月にUCLAへ最初の接続装置が設置され、その1か月後にSRIが続きました。さらにカリフォルニア大学サンタバーバラ校とユタ大学が加わり、1969年の終わりまでに4か所のコンピュータがつながっています。

「核戦争に耐えるため」説の真相

同じ「インターネット小史」は、ARPANETが核戦争に耐えるネットワークとして作られたという話を「誤ったうわさ」とはっきり否定しています。うわさの出どころは、ほぼ同じ時期に行われた別の研究、アメリカのシンクタンク「ランド研究所」による安全な通信の研究だと説明されています。

ただし、資金を出したのが国防総省だったことや、通信網の一部が壊れても動き続ける「丈夫さ」が重視されたことは事実です。そのため、軍事との関係をどう見るかについては、研究者のあいだでも見方が分かれる部分があります。

パケット通信という新しい考え方

ARPANETを支えたのが「パケット通信」という技術です。データを小さなかたまり(パケット)に分けて送り、受け取った側で元どおりに組み立てる方法で、手紙を何枚もの小包に分けて送るようなイメージです。

電話のように通話中ずっと1本の回線を独占する方法と違い、1本の回線を多くの人で効率よく分け合えます。クラインロック教授がUCLAの拠点に選ばれた理由の一つも、ネットワーク上のデータの流れを数学的に研究していたことでした。

ARPANETから現代のインターネットへの歩み

4台のコンピュータから始まったARPANETは、共通の通信ルールの導入やWWW(ウェブ)の登場を経て、世界規模のインターネットへと成長しました。主な出来事を年表にまとめます。

年月 主な出来事
1969年9月 UCLAにARPANETの最初の接続装置が設置される
1969年10月29日 UCLAからSRIへ最初のメッセージ「LO」を送信
1969年11月21日 UCLAとSRIの間に常時つながる回線が完成
1969年12月 UCLA、SRI、UCサンタバーバラ、ユタ大学の4拠点がつながる
1972年 電子メールが登場して人気の用途になり、10月には一般向けの公開デモが行われる
1983年1月1日 ARPANETが通信ルール「TCP/IP」に一斉に切り替わる
1984年10月 日本で大学間ネットワーク「JUNET」の実験が始まる
1990年 ARPANETが役目を終えて運用を終了
1991年 ティム・バーナーズ=リーが世界初のウェブサイトを公開。同年、日本初のウェブページも公開される
1993年11月 IIJが日本初の商用インターネット接続サービスを開始
1995年 Windows 95が発売され、一般家庭への普及が一気に進む

なかでも大きな転機が、1983年1月1日のTCP/IPへの切り替えです。TCP/IPは、種類の違うネットワーク同士でもデータをやり取りできるようにする共通ルールで、ヴィントン・サーフ氏とロバート・カーン氏が中心となって開発しました。この日を「インターネットの本当の誕生日」と考える専門家もいます。

また、インターネットと「ウェブ(WWW)」は同じものではありません。インターネットは世界中のネットワークをつなぐ道路網のようなもので、ウェブはその上で動く「ホームページを見る仕組み」の一つです。電子メールはウェブより約20年も早く、1972年にはすでに人気の使い方になっていました。

日本のインターネットの始まり

日本のインターネットの起源は、1984年10月に始まった「JUNET(ジェイユーネット)」とされています。総務省のこども向け解説によると、東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学の3大学を結ぶ実験から始まり、最終的には約700の機関をつなぐネットワークになりました。

中心となったのは、「日本のインターネットの父」と呼ばれる村井純氏です。村井氏はnippon.comへの寄稿で、アメリカから持ち帰ったモデム(電話回線でデータを送る装置)を使って3大学のコンピュータをつないだと振り返っています。当時は、電話回線にモデムをつなぐこと自体がまだ公式には認められていませんでした。

その後、1988年には大学の研究者や企業が参加する「WIDEプロジェクト」が始まり、ネットワーク技術の実験が進みました。接続を希望する組織が急増したため、1992年に日本初の商用プロバイダー(接続業者)であるIIJが設立され、1993年に接続サービスを始めています。

日本でインターネットという言葉が広く知られるようになったのは、Windows 95が発売された1995年です。ただし村井氏は日経BOOKプラスのインタビューで、インターネットの2つの源流が数か月違いで生まれた1969年こそ、本来の「インターネット元年」と考えるのが妥当だと語っています。

数字で見る現在のインターネット

2026年10月時点で確認できる最新の統計では、世界の約4人に3人、日本では8割以上の人がインターネットを使っています。一方で、まだつながっていない人も世界に約22億人います。

国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)が2025年11月に発表した報告書によると、2025年の世界のインターネット利用者は推計約60億人で、世界人口の約4分の3にあたります。ただし約22億人はまだオフラインのままで、高所得国では94%の人が利用しているのに対し、低所得国では23%にとどまっています。

日本については、総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、2024年の個人のインターネット利用率は85.6%でした。使う機器ではスマートフォン(74.4%)がパソコン(46.8%)を大きく上回っています。年代別では13歳から69歳までの各年代で9割を超える一方、70歳以降は年代が上がるにつれて利用率が下がる傾向があります。

1969年、クラインロック教授はUCLAの発表資料の中で、コンピュータネットワークはいずれ電気や電話のように家庭や職場に届けられる存在になるだろうと予測していました。2文字のメッセージから半世紀あまり、その予言は、いまや世界の大半の人にとって現実のものになっています。

よくある質問

なぜ最初のメッセージは「LO」で止まったのですか?

UCLA側が「LOG」と打つと、受信側のSRIのコンピュータが残りの「IN」を自動で補う仕組みになっていました。ところが「G」を受け取った時点でSRI側のシステムが停止してしまい、届いたのは「L」と「O」だけでした。約1時間後には問題が直り、「LOGIN」の送信に成功しています。

メッセージを受け取ったのはスタンフォード大学ですか?

正確には、スタンフォード大学が設立した研究機関「スタンフォード研究所(SRI)」です。コンピュータ歴史博物館の資料によると、SRIは1970年に大学から独立し、1977年に「SRI International」へ名前を変えました。現在は大学とは別の独立した研究機関です。

インターネットは核戦争に備えて作られたのですか?

インターネット協会(ISOC)の「インターネット小史」は、ARPANETが核戦争に耐えるために作られたという話を誤ったうわさだと否定しています。本来の目的は、高価な研究用コンピュータを離れた場所から共同で使うことでした。ただし資金は国防総省から出ており、軍事との関係については見方が分かれる部分もあります。

日本のインターネットはいつ始まったのですか?

一般的には、1984年10月に東京大学・東京工業大学・慶應義塾大学を結んで始まった「JUNET」が起源とされています。商用サービスは1993年にIIJが始め、1995年のWindows 95発売をきっかけに一般家庭へ広まりました。

まとめ

10月29日のインターネットの日は、1969年にUCLAからスタンフォード研究所へ、ARPANETで最初のメッセージが送られた日を記念する日です。送るはずだった「LOGIN」は途中で止まり、世界初のメッセージは「LO」の2文字になりました。

  • 最初の通信は1969年10月29日午後10時30分、電話で確かめ合いながら行われた
  • ARPANETの主な目的は、高価な研究用コンピュータを分け合うことだった
  • 1983年のTCP/IP導入、1991年のウェブ公開を経て、現在は世界で約60億人が利用している
  • 日本では1984年のJUNETが始まりとされる

たった2文字から始まったネットワークは、いまや世界の約4分の3の人をつないでいます。今日の記念日には、ご家族や友人との会話で「最初のメッセージは何だったと思う?」とクイズを出してみてください。身近な道具の歴史を知ると、毎日のスマートフォンの画面も少し違って見えてくるはずです。

参考リスト

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