はじめに
11月3日の文化の日は、実は「レコードの日」でもあります。ストリーミングで音楽を聴くのが当たり前になった今、「レコードなんて昔のもの」と思っている方も多いかもしれません。ところが最近は、若い世代を中心にアナログレコードを買う人が増え、国内の生産額は30年以上ぶりの高い水準まで回復しています。
👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇
- 【テーマ1】レコードの日が11月3日になった由来
- 【テーマ2】アナログレコードが再び売れている背景
- 【テーマ3】これからレコードを始める人の楽しみ方
記念日の成り立ちから、エジソンの発明に始まるレコードの歴史、最新の生産データ、2026年のイベント情報までまとめました。昔レコードを聴いていた方も、まだ一度も針を落としたことがない方も、ぜひ最後までお付き合いください。
レコードの日とは?日本レコード協会が文化の日に制定した記念日
レコードの日は、日本レコード協会が1957年(昭和32年)に定めた記念日です。「レコードは文化財である」という考えから、国民の祝日である文化の日(11月3日)が選ばれました。
「レコードは文化」という思いが込められた日付
文化の日は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ための祝日です。この日にレコードの記念日を重ねたのは、レコードを単なる商品ではなく、音楽や歌声を後の世代に残す文化の担い手と考えたからだといわれています。
1957年といえば、日本でもLPレコード(長時間再生できるレコード)が広まり始めた時期です。家庭で音楽を楽しむ文化が育っていく中で、その価値を広く知ってもらう日として定められました。
日本レコード協会はどんな団体?
日本レコード協会(英語の略称はRIAJ)は、日本のレコード会社などが集まってつくる業界団体です。協会の公式サイトによると、設立は1942年4月30日で、70年以上にわたって日本の音楽産業を支えてきました。
主な活動は次のとおりです。
- レコードやCDの普及と、新しい需要の掘り起こし
- 著作権や、歌手・レコード会社が持つ権利(著作隣接権)の保護
- 音楽ソフトの生産量などの統計調査と、資料の発行
- 放送局やレンタル店から使用料を集め、権利者に分配する業務
毎年発表される「日本のレコード産業」という統計資料も、この協会がまとめています。後で紹介するレコードの生産データも、この協会の調査にもとづく数字です。
レコードの歴史をやさしく振り返る
レコードの歴史は、1877年にエジソンが発明した蓄音機(音を記録して再生する機械)から始まりました。そこから約150年の間に、形や素材、回転数が少しずつ変わり、今のレコードの姿になっています。
始まりはエジソンの「フォノグラフ」
国立科学博物館の技術史の報告書によると、レコードの歴史は1877年(明治10年)、アメリカのエジソンが発明した「フォノグラフ」に始まります。これは筒の形をした円筒(シリンダー)に音を刻む方式でした。最初に録音されたのは、エジソン自身が歌う童謡「メリーさんの羊」だったと伝えられています。
その10年後の1887年(明治20年)には、ドイツ出身のベルリナーが、平らな円盤に音を刻む「グラモフォン」を発明しました。トヨタ産業技術記念館の資料によると、円盤はプレス(型押し)で大量に作れるため安く製品化でき、円盤式が広く普及していきました。今のレコードの形は、ここから始まっているのです。
SP盤からLP盤・EP盤へ
円盤レコードは、素材や回転数の違いで大きく3種類に分けられます。それぞれの特徴を表にまとめました。
| 種類 | 回転数(1分間) | 主な大きさ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SP盤 | 78回転 | 25cm・30cm | シェラックという樹脂が主な素材。割れやすく、片面の再生時間は数分程度 |
| LP盤 | 33と1/3回転 | 30cm(25cmもあり) | 塩化ビニール製で軽く丈夫。片面約30分と長く、アルバムに使われる |
| EP盤(シングル盤) | 45回転 | 17cm | いわゆる「ドーナツ盤」。1曲ずつのシングルに使われる |
世界で初めてLPレコードの商品化に成功したのは、アメリカのコロムビア・レコード社で、1948年のことです。日本では1951年(昭和26年)に日本コロムビアが「長時間レコード」として初めて発売しました。この日にちなんで、3月20日は「LPレコードの日」とされています。
日本のピークとCD時代の落ち込み
日本レコード協会の統計をもとにしたnippon.comの記事によると、国内のアナログレコードの生産量は1976年に約1億9975万枚でピークを迎えました。生産額は1980年に約1812億円と最高を記録しています。
しかし1980年代にCDが登場すると、レコードは急速に主役の座を明け渡します。生産額は2010年にわずか約1億7000万円まで落ち込みました。最盛期のおよそ1000分の1という、まさにどん底の状態です。この頃は、レコードはもう消えていくものと考えた人も多かったはずです。
アナログレコードが再び売れている理由
どん底からわずか十数年で、アナログレコードは大きく復活しました。2025年の生産額は37年ぶりに80億円を超え、5年連続で増えています。理由は懐かしさだけではなく、「音楽を手元に持つ体験」が見直されていることにあります。
数字で見るレコードの復活
日本レコード協会が発表したデータをもとに、近年の主な動きを並べると次のようになります。
- 2017年:生産枚数が106万枚となり、2001年以来16年ぶりに100万枚を回復
- 2024年:生産枚数314万9000枚(前年比17%増)、生産額78億8700万円(同26%増)で、1989年以来35年ぶりの水準
- 2025年:生産額が1988年以来37年ぶりに80億円を超え、数量・金額ともに5年連続のプラス
新しく発売されるレコードの数(新譜数)も増えています。nippon.comによると、2011年に41タイトルだった新譜は、2024年には900タイトルと約22倍になりました。
さらに日本レコード協会は2026年3月、協会に入っていない会社の分も推計して含めた、新しい市場規模のデータを公表しました。BCNの記事によると、2025年のアナログディスクの売上推計は約88億4700万円です。生産額とは数え方が違うため数字は異なりますが、どちらで見ても市場が広がっていることがわかります。
人気が戻ってきた背景
日本レコード協会はnippon.comの取材に対し、アイドルやJ-POPの歌手がレコードで新作を出したり、昔のヒット作がレコードで再発売されたりしていることで、ファンのすそ野が広がっているのではないかと答えています。
ほかにも、次のような理由が挙げられています。
- CDより大きなジャケットが、部屋に飾るインテリアとしても魅力的
- ターンテーブルに盤を置いて針を落とす「ひと手間」が、デジタル世代には新鮮
- 比較的安いレコードプレーヤーが増え、気軽に始められるようになった
スマートフォンでどんな曲でもすぐに聴ける時代になったからこそ、好きな音楽を「形のあるもの」として所有したいという気持ちが強まっているとも考えられています。若い人にとっては新しい体験として、昔聴いていた世代にとっては懐かしい再会として、レコードは両方から支持されているのです。
イベント「レコードの日 2026」は11月3日と12月5日の2日間
記念日に合わせて、毎年「レコードの日」というアナログレコードの販売イベントが開かれています。2026年は11月3日(火・祝)と12月5日(土)の2日間の開催です(2026年11月時点の発表)。
記念日とイベントは主催者が違う
少しややこしいのですが、「記念日としてのレコードの日」と「イベントとしてのレコードの日」は別のものです。記念日は日本レコード協会が1957年に定めたもので、イベントはレコード製造会社の東洋化成が2015年から開いています。
イベントの仕組みはシンプルです。開催日の午前0時に、この日のために用意されたレコードが、全国のレコード店やオンラインショップで一斉に発売されます。限定盤も多いため、楽しみにしているファンも少なくありません。
2026年の見どころ
PHILE WEBの記事によると、2026年は12回目の開催で、主な内容は次のとおりです。
- 開催日:DAY1が11月3日(火・祝)、DAY2が12月5日(土)
- 主催:東洋化成株式会社
- 発売タイトル:2日間あわせて100タイトル以上の予定
- アンバサダー:シンガーソングライターのさらさ(DAY1に4作品がレコードで発売)
- 主な作品:浜崎あゆみ、m-flo、back numberなどのほか、アニメ関連のレコードも登場
今年は「これからレコードを聴きたい」という新しい聴き手に向けて、ジャンルを問わず幅広い作品をそろえたとされています。対象作品の一覧は、公式サイトで確認できます。なお、東洋化成は毎年4月に開かれる世界的なレコードの祭典「RECORD STORE DAY」の日本での運営も担っています。
レコードの音が出る仕組みと、これから始める人の楽しみ方
レコードは、盤に刻まれた細い溝を針でなぞり、その振動を電気の信号に変えて音を出しています。始めるのに必要な機材は意外と少なく、最近は初心者でも扱いやすい製品が増えています。
溝と針で音を取り出す仕組み
レコードの表面をよく見ると、細い線が渦巻きのように刻まれています。この溝は、音の波の形そのものが刻まれたものです。溝を刻む作業は「カッティング」と呼ばれ、その精度が音の良さを左右します。
再生するときは、カートリッジ(針の付いた部品)の針先が溝をなぞって細かく揺れます。オーディオテクニカの資料によると、今流通している針先の多くはダイヤモンドでできています。針の揺れはコイルや磁石によって電気の信号に変わり、アンプで大きくされてスピーカーから音として流れます。
始めるのに必要なもの
レコードを聴くために必要な基本の機材は、次の3つです。
- レコードプレーヤー(ターンテーブル):盤を回し、針で音を読み取る機械
- フォノイコライザー:レコードの小さな信号を、ふつうの音量に整える装置
- アンプとスピーカー:音を大きくして鳴らす機材
最近のプレーヤーには、フォノイコライザーを内蔵したものが多くあります。手持ちのステレオやアンプ付きスピーカーにそのままつなげるので便利です。ボタン一つで再生が始まり、終わると自動で針が戻る「フルオート」タイプなら、針の上げ下ろしに不安がある人でも安心です。Bluetoothでワイヤレススピーカーやヘッドホンに飛ばせる機種もあります。
レコードを長く楽しむためのコツ
レコードは繊細なので、ちょっとした扱い方で寿命が変わります。基本のポイントは次のとおりです。
- 盤は縁とラベル部分を持ち、溝の面に指で触れない
- 保管するときは立てて並べ、重ねて置かない
- 直射日光や暖房器具の近くなど、熱がこもる場所を避ける
- 再生前に専用のクリーナーでほこりを取る
昔のレコードが押し入れに眠っているなら、レコードの日をきっかけに出してみるのもおすすめです。カビや反りがないか確認してから再生してください。
よくある質問
レコードの日は毎年11月3日ですか?
記念日としてのレコードの日は、文化の日に合わせた11月3日で毎年同じです。一方、東洋化成が開く販売イベントの日程は年によって変わります。たとえば2025年はDAY1が11月1日でしたが、2026年は11月3日と12月5日の2日間です。
LPとEPは何が違うのですか?
LPは直径30cmが標準で、1分間に33と1/3回転し、片面約30分を収められるアルバム用のレコードです。EPは直径17cmで45回転するシングル用のレコードで、中央の穴が大きいことから「ドーナツ盤」とも呼ばれます。プレーヤーで回転数を切り替えて再生します。
レコードはCDより音が良いのですか?
どちらが良いかは、録音の質や再生機材、聴く人の好みによって変わるため、一概には言えません。レコードは音の波形をそのまま溝に刻むため「温かみがある」と感じる人が多い一方、CDは雑音が少なく扱いやすいという長所があります。聴き比べて、好みの音を見つけるのも楽しみ方の一つです。
レコードプレーヤーはいくらくらいで買えますか?
入門用のフルオートプレーヤーなら、1万円台から購入できる製品もあります。より本格的な音を求めるなら、数万円以上の機種やカートリッジの交換も選択肢になります。価格は販売店や時期によって変わるため、購入前に確認してください。
まとめ
11月3日のレコードの日は、日本レコード協会が「レコードは文化財」という思いを込めて、1957年に文化の日に合わせて制定した記念日です。エジソンの蓄音機から約150年、CDの登場で一時はどん底まで落ち込んだアナログレコードは、今や37年ぶりに生産額80億円を超えるまで復活しました。
その背景には、懐かしさだけでなく、好きな音楽を形として持ち、針を落として向き合う時間そのものを楽しみたいという気持ちがあります。今年のレコードの日は、まず「レコードの日 2026」の公式サイトで発売作品の一覧をのぞいてみてください。気になる1枚が見つかったら、それがあなたのレコード生活の始まりになるかもしれません。
参考リスト
- レコードの日 (記念日 11月3日)|ベストカレンダー
- Outline|The Recording Industry Association of Japan (RIAJ)
- The Recording Industry Association of Japan (RIAJ)
- 日本のレコード産業2025|日本レコード協会
- 好調アナログレコード生産 35年ぶり水準|nippon.com
- アナログレコード37年ぶり80億円超。’25年の音楽ソフト生産額は前年比101%|AV Watch
- アナログレコード国内生産が16年ぶり100万枚越え。音楽ソフト全体は微減|AV Watch
- 2025年の音楽ソフト+音楽配信の推計規模は3988億円 CDなどが57%占める|BCN+R
- 「レコードの日 2026」開催日が決定。今年も11/3および12/5の2DAYS|PHILE WEB
- 「レコードの日 2026」アンバサダーにさらさが就任。avexのヒットアルバムなどのアナログ化も発表|PHILE WEB
- 11月3日“レコードの日”の参加タイトル第1弾が発表|PHILE WEB
- 「RECORD STORE DAY 2026」キービジュアル公開|PHILE WEB
- レコードの日 2025|TOWER RECORDS ONLINE
- アナログディスクレコード技術の系統化報告と現存資料の状況|国立科学博物館
- 館内企画展アーカイブ|トヨタ産業技術記念館
- 世界初の録音・公開された歌は何? エジソンの蓄音機の日|Forbes JAPAN
- 音楽と電気の歴史3 レコード2|サウンドハウス
- LPレコードの日(3月20日 記念日)|雑学ネタ帳
- レコード初心者向け解説|価格.comマガジン
- アナログ製品カタログ|オーディオテクニカ
- フルオートターンテーブル|サライ

