はじめに
「やらないといけない仕事や課題があるのに、つい別のことに気を取られて後回しにしてしまう……」「締め切りが迫っているのに、細かいこだわりばかり気にして作業が全然進まない……」と自分を責めて落ち込んでしまうことはありませんか?私たちは日々の生活の中で、物事を計画通りに終わらせられない自分に対して、ついつい劣等感を抱いてしまいがちです。
しかし、安心してください。歴史に名を刻むあの偉大な天才でさえ、実は現代の私たち以上に重度の「先延ばしグセ」と戦っていたのです。教科書や美術書を開けば、非の打ちどころがない超人として描かれるレオナルド・ダ・ヴィンチですが、その素顔は依頼主を激怒させてばかりの超ド級のマイペース人間でした。
👇 本記事でわかる3つの重要ポイント 👇
- 【テーマ1】万能の天才が抱えていた「史上最高の先延ばし魔」という意外すぎる正体
- 【テーマ2】名画『モナ・リザ』が注文主に届けられず未完のまま手元に残された真相
- 【テーマ3】依頼主の教皇をブチギレさせた「ニス作りから始める」驚きの寄り道エピソード
完璧に見える偉人の知られざる人間味あふれる一面を知ることで、自分自身の集中力のムラや先延ばし癖に対する見方が大きく変わり、気持ちがすっと軽くなるはずです。人類史上もっとも愛すべき天才の愉快で不思議なポンコツ劇を、ぜひ最後まで楽しんでご覧ください。
史上最高の「先延ばし魔」レオナルド・ダ・ヴィンチの真実
絵画、解剖学、工学、建築、天文学、数学、音楽など、およそ人間が手を伸ばせるあらゆる分野でずば抜けた才能を発揮し、「万能人」や「天才の中の天才」と称賛されたレオナルド・ダ・ヴィンチですが、実はとにかく物事を最後まで完成させるのが大の苦手でした。
彼は、一つの作品を描き上げたり、一つのプロジェクトを完成させたりする前に、次から次へと新しい興味が湧き上がってしまい、目の前の作業をあっさりと放り出してしまう癖がありました。周囲の人々からすれば「類まれなる頭脳を持ったスーパーマン」であると同時に、「仕事を頼んでも期日通りに絶対に仕上がらない困った人物」でもあったのです。
現代で言えば、複数の仕事を同時に抱えながら、どれも中途半端な状態で別の趣味や研究に熱中してしまうような状態です。そのため、ダ・ヴィンチがその生涯で着手した絵画や彫刻、発明品の大半は、途中で制作がストップした「未完成品」として残されることになりました。歴史的な名声を勝ち得ている彼の裏側には、常に締め切り破りと未納品の山が積み重なっていたのです。
なぜ天才は作業を終わらせることができなかったのか
ダ・ヴィンチが物事を完成させられなかった最大の理由は、彼が持つ異常なまでの探求心と完璧主義にありました。普通の人であれば、「このあたりで区切りをつけて完成にしよう」と妥協する場面でも、彼は決して妥協しませんでした。人物の顔を一つ描くにしても、「表情の奥にある筋肉はどう動いているのか」「光が当たったときに皮膚の表面でどのように反射するのか」といった根本的な謎が次々と気になってしまい、筆を止めて研究を始めてしまうのです。
また、彼の頭の回転があまりにも速すぎたため、制作の途中で「もっと素晴らしい表現技法があるのではないか」「もっと画期的なアイデアを試すべきではないか」と次々に新しい閃きが押し寄せてきました。その結果、昨日まで進めていた絵画に興味を失ったり、最初からやり直したくなったりして、いつまで経ってもゴールにたどり着くことができませんでした。
名画『モナ・リザ』も未完成だった?死ぬまで手放さなかった驚きの理由
世界で最も有名で、ルーヴル美術館の至宝として大切に保管されている名画『モナ・リザ』も、ダ・ヴィンチの先延ばし癖を物語る象徴的なエピソードを持っています。実はこの作品も、彼が死ぬまでずっと手元に置いて加筆し続け、結局正式な納品はされずじまいで終わった作品でした。
本来、『モナ・リザ』はフィレンツェの裕福な絹商人であるフランチェスコ・デル・ジョコンドから、「妻のリザの肖像画を描いてほしい」という正式な依頼を受けてスタートしたお仕事でした。商人は愛する妻の絵が自宅に飾られる日を心待ちにしており、多額の報酬も約束されていました。普通であれば、依頼主の要望に応えて数ヶ月から長くても1〜2年程度で仕上げて届けるのがプロの画家としての務めです。
ところが、ダ・ヴィンチは描き始めた絵のあまりの奥深さに魅了され、締め切りなど完全に忘れて自分の探求の対象にしてしまいました。「どうすれば人間の生きた体温や呼吸まで描き出せるか」に没頭し、極めて薄い絵の具の層を何十回、何百回と塗り重ねる特殊な技法を気の遠くなるような時間をかけて繰り返しました。
約束を反故にしてフランスまで持ち去ってしまった結末
依頼主の商人は「まだ絵はできないのか」「いつになったら納品されるのか」と何度も催促したはずですが、ダ・ヴィンチは「まだ納得がいかない」「あと少しで完成する」と言い訳を重ねて引き延ばし続けました。そして数年が過ぎ、十年以上が経過しても絵を渡すことはありませんでした。
それどころか、ダ・ヴィンチは晩年にイタリアを離れてフランス国王フランソワ1世に招かれた際、依頼主の所有物になるはずだったこの肖像画を自分の手荷物として勝手にフランスへ持っていってしまいました。そして、フランスのアンボワーズ城の近くにある館で息を引き取るその瞬間まで、枕元に置いて筆を入れ続けたのです。
依頼した商人からすれば「大金を前払いしたのに、妻の絵を永遠に届けてもらえず、海外へ持ち去られてしまった」という大迷惑極まりない話です。しかし、その飽くなきこだわりと異常なまでの先延ばしがあったからこそ、何百年経っても世界中の人々を魅了してやまない、あの謎めいた微笑みが誕生したとも言えます。
教皇をブチギレさせた大暴走!描く前に「ニス作り」から始める寄り道
ダ・ヴィンチの「寄り道癖」は、一般の市民だけでなく、当時の最高権力者であったローマ教皇さえも巻き込んで大騒動を引き起こしました。教皇から直々に名誉ある絵画の注文を受けた際も、絵の具を塗る前に「画面のニス」の研究から始めるなど寄り道ばかりして、「この男は始める前から終わりの心配をしている!」と依頼主を激怒させたのです。
この事件が起きたのは、ダ・ヴィンチがローマに滞在していたときのことでした。当時の教皇レオ10世は、彼に大きな絵画作品の制作を依頼しました。教皇からの依頼といえば、当代一流の芸術家にとって最大の栄誉であり、名声と莫大な報酬を約束された大チャンスです。他の画家であれば、すぐに下絵を描き、助手たちを集めて一気に制作を進めるところでした。
しかし、ダ・ヴィンチの思考回路はまったく異なっていました。彼が仕事部屋にこもって何日も熱心に取り組んでいたのは、カンバスに向かって筆を動かすことではなく、油や樹脂を混ぜ合わせ、薬草を蒸留して新しい「保護用ニス」を作り出す化学実験だったのです。
「この男は始める前から終わりの心配をしている!」と教皇が呆れた真相
教皇レオ10世は、進み具合を確認するために使者を送ったり様子を見に行ったりしたことでしょう。しかし、目に飛び込んできたのは、真っ白なカンバスの前で、楽しそうにフラスコやビーカーを温めながらニスの調合に夢中になっているダ・ヴィンチの姿でした。
絵の輪郭すら描かれていないのに、作品が完成した一番最後に表面へ塗る保護用のニスをせっせと開発している様子を見て、教皇は堪忍袋の緒が切れました。そして、歴史に残る有名な呆れ言葉を吐き捨てたのです。「哀れな男よ、この男は物事を始める前から、すでに終わりの心配ばかりしている!これでは何も仕上がるはずがない!」
教皇の怒りはごもっともでした。普通に考えれば、まず絵を完成させてから、乾くまでの間にニスを用意すれば良いだけの話です。しかし、ダ・ヴィンチにとっては「何百年先も絵画を美しく保つための完璧なニス」を作ることと「絵を描くこと」は同じくらい重要な探求テーマであり、一度気になると順番通りに作業を進めることがどうしてもできなかったのです。
天才のポンコツエピソードから学べる現代の教訓
ダ・ヴィンチの行動を現代のビジネスや学校生活に当てはめると、完全に「仕事ができない問題児」に見えてしまうかもしれません。プレゼン資料の1枚目のスライドを作る前に、フォントの歴史や色の心理効果について徹底的に調べ始めて数日間を無駄にしてしまうようなものだからです。
しかし、こうしたダ・ヴィンチの「愛すべき寄り道」こそが、彼の持つ圧倒的なオリジナリティの源泉でもありました。彼が絵画の制作を放り出して人体の解剖に熱中したからこそ、筋肉や骨格の構造を正確に捉えたリアルな人物画が描けました。水や空気の流れを観察してスケッチに没頭したからこそ、柔らかく溶け合うような空気遠近法が生み出されました。
私たちは普段、「早く終わらせること」「効率よくこなすこと」「決められた手順に従うこと」ばかりを求められがちです。もちろん社会生活においては納期を守ることも大切ですが、物事に夢中になりすぎて脇道にそれてしまったり、細かい部分にこだわりすぎて作業が止まってしまったりする瞬間には、あなたにしか生み出せない深い洞察や創造性が隠れていることもあります。
歴史上もっとも偉大な天才でさえ、依頼主から怒鳴られ、締め切りを破り、作品を未完のまま投げ出していたという事実を知れば、「物事が思うように進まない自分」を過剰に責める必要など少しもないと感じられるのではないでしょうか。
まとめ
レオナルド・ダ・ヴィンチは、人類屈指の万能の天才でありながら、私たちが親近感を抱かずにはいられない「史上最高の先延ばし魔」でした。名画『モナ・リザ』を死ぬまで手放さずに未納品のまま抱え込み、教皇からの重大な依頼でも「まずはニス作りから」と寄り道して激怒されたエピソードは、彼の尽きない好奇心と完璧主義を何よりも雄弁に物語っています。
もしあなたが日々の勉強や仕事で、「また先延ばしにしてしまった」「寄り道ばかりして計画通りに進まない」と自己嫌悪に陥りそうになったら、ぜひダ・ヴィンチのこのポンコツな一面を思い出してみてください。寄り道やこだわりの多さは、裏を返せばそれだけ物事に対する探求心が豊かである証拠でもあります。
天才の愉快な失敗談を笑って受け止めながら、焦らず自分のペースで目の前の興味や課題に向き合っていきましょう。
参考リスト

